どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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「話しよっか」ラキュがそう言ったから休憩室へと案内した。
魔物達が騒ぐ声が少し漏れて聞こえるが、ここでなら2人きり邪魔が入らず話せる。

「あぁ、まずは突然来た事を謝るよ。ごめんね」
「いや、気にしなくて良いぞ。むしろ来てくれて良かったよ」

あのままだと、巻き込まれたかもしれないからな……いや、確実に巻き込まれた、だから良く来たなラキュ。

「よっ……と」と呟いて椅子に座るラキュ。
それを見て、俺も座った。

「……」
「……」

その瞬間、ラキュがじとぉっと見てきた。
ぅぉぅ……なんだなんだ、なんか鋭い目で見られてる。
もしかして、怒ってる?

「あ、ごめん。あまり見るもんじゃないね。くはははは」
「おっおぅ」

急に笑った、なんか……不気味だな。
なんか知らんが、緊張してきた。

「いやぁ、相変わらず騒がしいね、あいつら」
「え、あ……そうだな」

年中騒いでる気がする。
正直、なんで疲れないのか不思議だ。
そこは、人間と魔物の体力の差なのか? それにしても……やっぱり騒ぎすぎだけどな。

「少しは静かにして欲しいよ。あと……不愉快な言葉は慎んで貰いたいよね」
「あぁ。激しく同意する」

口を開けば「可愛い」「コスプレしてくれ」「男の娘はぁはぁ」だもんな。
それに加えてドMだから、怒ったりしたら悦ぶし、叩くとご褒美になる。
もうどうしようもないから無視してるが、それもあいつ等を焚き付けてるんだよな……。
はぁ、どうなってんだよあの魔物達は。

「……さて、軽い話はここまでにしようかな」

おっと、空気が変わった。
真剣な目で見てくる。
そんなに見られると気まずい……意味もなく固くなってくるじゃないか。
でっ出来れば、そんなに強い視線を与えないで欲しいな……。

「あ、そんなにかたくならないでよ。大した話はしないからさ」
「そっそうか」

いや、そうは言ってもな。
かたくなる物はかたくなる。
それにんー……なんだろ、今の言葉、なぁんか疑わしいな。
ラキュから漂うこの雰囲気、なんか大した事を聞かされる気がする。

「えぇと、どうしようかな……どう話そう」

ほら、大した話をしないと言っときながら、眉間にしわ寄せて指を唇に手を当てて考えてるじゃないか。
大した話なら、そんな熟考してそうな体勢は取らないよな?

「あぁやめやめ、回りくどいのはめんどくさい。ストレートに話すよ」

お、どうやら考えがまとまったみたいだ。
ごくっと無意識に唾を飲んで身構える。
あぁ……ドキドキしてきた。

「姉上がなんでシルク君の事、好きなのか聞きたくない?」
「……え」
「姉上、ずぅぅっとシルク君の事、好き好き言ってるよね? それ、なんでか……教えてあげようか?」

にこっと笑らいながらラキュは……大した事をいった。
何が大した話はしないだ、予想通りしたじゃないか。

「ん、どうかした? 口をポカーンて開けて……」
「いや、突然凄い事を聞くから……つい」
「あ。そうなんだ……ふぅん」

いや、ふぅんって、随分軽くいってくれるな……。

「まぁ、気にせず聞いてよ」
「え。どうするか聞いたのに聞かせるのか? 俺、まだ答えてないのに」
「聞きたくないって言っても聞かせるつもりだよ。と言うか……多少は興味持ってるんじゃないの?」

まっまぁ……そうだが。
前々から気にはなってた、なんでロアは俺の事が好きなんだ? 気になって聞いた事もある、そしたら「可愛いから」と返ってきたのを覚えてる。
理由はそれだけ? 他に理由は? 色々思ったんだが……あれからその事を考えて無かった。

「興味は……ある」

良い機会かも知れない。
教えてくれるなら聞いてみよう。
気になるから……な。

「そう。じゃ、教えてあげるよ。でもま、前から秘密にしとけって言われてたんだけどね……色々あったからね、もう言うよ」

秘密にしとけ? 誰にそんな事を……って、考えるまでもなくロア、だよな?
って、言うなって言われてるのに言っても良いのか?

「あ、そんな不安そうな顔しないでよ。話したのバレても問題ないからさ、多分」
「たっ多分て……」

それは問題ないとは言えないだろう。
でっでも……ここまで話を振られて「やっぱり聞かない」とは言えない、もう気になってしまって仕方無いんだ。

「ま、大丈夫だよ。じゃ、話すよ……」

不安があるが、聞こう。
俺は険しい顔をして頷いた。

「あぁ……分かった」

正直、聞いてどうするんだ? って感じはあるんだが……聞いておきたいんだ。

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