どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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「ぁぅぁぅぁぅぁぅぅぅ」

ロアがゆさゆさ身体を左右に揺らしながら、さっきから、あうあう言ってる。
その間も手は握られたまま、だから手汗がすごい……なんかヌルヌルしてきた。
正直、そろそろ手を離してもらいたい、だがロアが離してくれない。
非常に困った。

「その、な。ナハトはじゃなぁ……ぅぅ」

で、話しも進んでいない。
ずっとこんな調子だ、ナハトが一体どうした? と言うか、ロアがナハトについて話をするのって……初めてじゃないか? 前に「好きな人の名はなんじゃ?」とか「ナハトとはどんな人じゃ?」と聞かれたりした。
だけど、それ以外は聞いてこなかった。

そっそう考えると、凄く気になってきた。
あ、でも……今は明らかに言い辛そうにしてる。
だから無理に聞くのは……なんか悪い気がする、でっでも聞きたい。

……とっ取り敢えず、こういって見るか。

「ロア、もしかして……話し難かったりするのか? だったら無理に言わなくても……」
「へぁ!? あ、えぇ……えぇっとぉ、くっくはははは……その、じゃなぁ……」

やはり心配だからそう言ってみたんだが……。
突然笑いだした、きっ気味悪い。

「いっ言える! 言えるぞ! いっ言って、やっやる……のじゃ!」
「おっおぅ、じゃじゃぁ……言ってくれ」
「え!? あっ……そっそうじゃな、でっでは、言おうかの、くはははは」
「いや、くははははって……だっ大丈夫か? 無理してないか?」
「しっしとらん! しとらんよ!」

かんっぜんに無理してる様にしか見えないんだが……。

「うぅっ……」

ほら、顔を紅くしだした……それに妙にかくつき始めた、無理してる証拠だ。
それと……顔汗が半端なくなってきた、同時に手汗もヤバい……。

うん、これは聞くのはよそう。
そう思って「話はまた今度にしよう」と言おうとした。
そしたら、熱のこもった目で真っ直ぐ見つめられ、こう言われた。

「あ、あのな? えと……その、この流れで質問をするのは、へっ変じゃが……質問するぞ……良いかの?」
「え? あ、別に良いが」

うっ上目使いで言われた。
ドキッとしてしまって、即答してしまう。
色っぽい……な、なんて思ったらロアがほっとした顔を見せた。

「そっそうか……なっなら聞くぞ!」
「おっおぅ」

凄く気合い入ってるな、何故かは知らないけど……。

「シルクは言ったな。ナハトが好きと……」
「っ!!」
「どう……なのじゃ?」

いや、どうなのじゃ? って、それ……答えて良いのか? 目の前で自分と違う人を好きって言われるんだぞ? そっそんな事……。

「そう困惑した顔をせんでくれ。わらわが聞きたいと言っているんじゃ……なんも気にせんよ」

いや、そうは言うが……。
口をモゴモゴ動かし言い淀む、その間、じぃ……とロアを見つめた。
真剣な顔、してるな……なぜかは知らないが、この顔を見たら……言っても大丈夫、そんな気がした。

だから、俺は深く息を吐いた後……。

「あぁ好きだよ。今でも……その、愛して……る」

言った、頬を赤く染めながら……な。
くっ……なんか、こう言う事言うの超恥ずかしい。
と思った瞬間、ロアの顔がハッキリと真っ赤になった。
たっタコと良い勝負だ、って思ってる場合じゃない! ロアがフラフラしてる!

「だっ大丈夫か!?」

ずいっとロアに近付いて言ってみる。
そしたら……。

「うひゃぁっ!?」

そんな悲鳴を上げた、その後……俺の手を離し。

「うぁぁぁぁぁっ!! うぐぅぅうぅぅっ。うっひゃぁぁぁぁぁ!!!」

奇声を発して部屋から出ていってしまった。
……え? は? ほえ? なんなの……今の、どんな反応? と言うか……なんで逃げたんだよ。

なんて思ったが……。
良く分からないので、取り合えずロアを追い掛ける事にした。

だって、心配だからだ。
取り敢えず、追い付いたら……落ち着かせてやろう。

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