どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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それから、暫くたった後……ずっと立ちっぱなしだったからソファーに座った。

「ふぅ……」

そしたら、思わず間の抜けた声が出た。
まぁね、それはしかたないよ、どうやって突っ込んだら良いのか分からない事が起きたんだもん。

「あ、あの……ごっごめん……なさい。さっ先に、いっ言うっ、べき……だった」
「あ、うん。それはもう良いよ」

顔を手で隠しながら話すクーに、僕は微笑んで返した。
いやぁ……ほんとまいった。
うん、まいったね。

「えっえと!! あっあたいっ……負けたく、無かったから。その……うぅ」

負けたくないねぇ。
何に負けたくないのか分からないね、でもこれだけは分かる……今のクーは、完全に空回りしてるね。

「そか。でもさ……今でも辛いんでしょ? だったら被り物、した方が良いんじゃない?」

まぁ、その被り物……料理に使っちゃったけどね。
また別のを使うと良いよ。

「だっ! ダメ。それだと……なびかない、から。ちゃんと……すっすが、素顔……みせ、ないと」

カァァ……と顔を紅くしたね。
なびかない、か。
うん、なんの事かサッパリだね。

「ら、ラキュ……君は。あたいは……被り物、した……方が、良い……の?」

っ!? うっ上目使い……なっなんで、そんな目で見つめて来るのさ……。

「あっあたいの顔、隠した……方が、良い……の?」
「違う! そんな事言ってない!」

突然何いってんのさ。
僕はそんなつもりで言ってない! だから強く言い放った。
クーは、ビクッ! となったけど……暫くしたら安心したのか微笑んで「そ、そか」そう言った。

「……ラキュ君」
「ん?」

うつ向いたクーは、指をもじもじさせながら、僕をチラチラ見てくる。
……なっなんだろ、どことなく熱のこもった目で見られてる気がする。

「すっ、素顔のあたい……どっ、どうかな?」
「え?」

またまた突然だね。
どうかなって……可愛いと思うよ? え、ちょっと待って……これ、口で言わなきゃダメ?

はっ恥ずかしいんだけど、いっ言わなきゃダメだよね。
すっごい見てくるし、あと呼吸が荒い。
もうそろそろ限界が近いのかな? また限界を向かえる前に言おうか、恥ずかしいけど。

「かっ可愛い……よ」

くっ……いま、ものっすごい顔赤いだろうね。
クーめ、何を言わせるのさ……。

「ひゃっ!? かわっ……かわわわわわ」

おぅふ。
分かりやすく慌てたね。
あ、唇噛んだ。
……なんか、ガン見してくるんだけど、なんで?

「っ。きょっ、今日の……と、とこ……ところは! かっかえっ帰りましゅ!!」
「え、帰るの? ……って、もう帰ったし」

行動速い……もういなくなっちゃった。
その事に呆然してると、僕の後ろからひょこっとメェが顔を出してきた。

「クータンちゃん、照れてたですねぇ」
「あ、起きたんだ。さっきまで倒れてたのに」
「にひひぃ。倒れてたですけど、気は失ってないです!」
「あぁ、そうなんだ」

じゃぁ、ずっと床で寝そべってたんだね。
……だったら起きれば良いのに。

「なぁんか、面白い話してたから倒れた振りしてたてです」

にひひひ、と妖しく笑うメェ。
ツンツン、と肘で小突いてきたから、軽くベシッと叩いて止めさせる。

「面白く無いから。どこを見てそう思ったのさ……」

やらしく笑って……何が可笑しいんだか。

「全部ですよぉ。いやぁ……ラキュ様もやるですねぇ」
「なに笑ってんのさ。腹立つなぁ」

まったく、マッドな医者の考える事は分からないね。

そう思って、ふぅ……と一息。
取り敢えず、自分の部屋に行こう。
疲れたからね、クーの事は……色々思う事はあるけど、クーだって変な事をする時はある。
そう思う事にしよう、と言う訳でこの事は解決!

「一息ついたら、アヤネを探しにいこ」

そう呟いて部屋から出ていく。
その時に、チラッとメェを見てみた。
「にひひひぃ……」って今も妖しく笑ってた。

そんなメェの事は放っておいて……僕は部屋に戻った。

はぁ……今日のクーは、本当に可笑しな事、してたなぁ。
でも……素顔を見せてたのは頑張ったねって思ったよ。
「無理しないで」とか色々言ったけど、クーが頑張るって言うなら、それで良い。
頑張れ、クー……応援するよ。。

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