どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

413

またまた時間は遡る。
今度は、シルクの話である……時間は、夕食が終わりフドウに呼ばれ話しをする所から。
さぁ今度は、どんな話しを繰り広げるのだろうか……? 



とある空き部屋、椅子に座る俺。
部屋に包まれる緊迫した空気に震えて、思わずきょろきょろと辺りを見回してしまう。

「シルク君」
「はっはい!」

渋い声でフドウさんが話し掛けてきた。
直ぐ様よそ見をやめてフドウさんを見る、くっ……すっごい睨んでる。
威圧感的な物を感じる、あっ因みに、この場にはシズハさんもいる。
フドウさんの隣に椅子を持ってきてニコニコしながら俺を見て座ってる。

「話しは、シズハから聞いた」
「……」

こっこわい、低い声で話すのがすっごく恐い。
これ……今から何か言われる流れだ。
だから覚悟を決めて、きゅっと眼を瞑った。

「アヤネの告白を振ったらしいな」
「……はい」
「そうか」

そんな質問に、うつむいて答えてしまう。
前を向いて話さないとダメだが、そんな事できる状況じゃない、怖くて前を見れない、だからうつ向いてしまった。

空気が重いな……ズシッと来るこの感じ、堪える。
二人の視線が俺に集中してるのが分かる、あぁ……胃が痛い、キリキリする。

「ありがとう」
「…………え?」

きっと怒鳴られる、そう思って身構えてたんだが……違った。
かっ感謝……された? 今、凄く困惑してる、思わず眼をカッ! と開いてしまった。

「あぁ、言葉足らずだった。きちんと返事をしてくれて、ありがとう。そう言う意味のありがとうだ」
「え? あ……はい」

あ、なんだ。
言葉が足りなかっただけか、ビックリした。

「やはり、相手の告白にはきちんと答えてやんとな」
「そ、そう……ですね」

ズキッ……と心が痛んだ。
アヤネのあの時の顔を思い出してしまったからだ。
あの時は泣いていたな、俺をじっと見て……涙を流していた。
くっ、と表情を歪め、俺はまた下を向いた。

「ふむ」

そんな俺に、ため息混じりの声を漏らす。
チラッと前を向いて見ると、下唇を上唇に重ね難しい顔をしている、シズハさんはと言うと……変わらずニコニコ顔のままだ。

「シルク君」
「はっはい!」

びくっ! と身体を跳ねさせ返事する。
そしたら、フドウさんの方も驚いて身体を跳ねさせた。

そして、ゴホンッ! と咳払いする。

「アヤネの告白の返事は本心を言ったのか?」
「……」
「どうなんだ?」

もちろん、本心を言った。
その事を聞かれた、ここはその通りだと言えばいいんだが……言うのが恐い。
フドウさん、鋭い目つきで俺を見ている。

空気が冷えきっていくのが分かる。
そんな空気の中、俺は恐る恐る口を開ける、もちろんゆっくりとだが前を向いた。

「はっはい、本心を……言いました」

ゆっくり、相手が焦れったいと思うほどゆっくり話した。
はぁ……息苦しいな、ただ話してるだけなのに疲 れる。
それに、心臓がバクバク鳴ってる。
だから余計に疲れを感じてしまう。

「そうか」

そんな中、髭を触るフドウさん。
そして、隣にいるシズハさんと小声で何かを話始める。
目の前で内緒話をされると気になる、だがここは何も聞かず話が終わるのを待とう。
流石に今の状況で何話してるのか聞く胆力は持っていない。

「……」

……こっちを見た。
じろって感じで見てきてる、だから固い顔のままペコリと頭を下げた。
謎の行動だ、俺は一体何をしてるんだ……。

「ひとつ良いだろうか?」
「っ!? どっどうぞ!」

びっびっくりした。
突然話した! 思わず椅子から転けそうになった……だが両足で踏ん張って堪えた。

「いまから、我の今思ってる事を話す。長くなるが……聞いて欲しい」
「はっはい」

フドウさんの思ってる事……。
正直聞くのは断りたかった、だがそうもいかない……聞かないとダメな雰囲気だ。
だから頷きながら答えた。

「そうか、ありがとう」

微笑し笑った後、フドウさんは、昔を思い出すかの様に斜め上を向いて……話始めた。

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