どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

388

「とまぁ、こんな感じの事がおきたんだ……分かって貰えたかい?」

ヘッグの話が終わった。
うん……なるほど、理由は分かった。
だけど所々突っ込みたい所が山程ある、だけど今はスルーしよう。

「うん、分かったよ。色々あったんだね」
「あぁ色々あったよ。ここへ来る途中にも色々あったんだ……聞きたいかい?」

長くなるけど、と続けるヘッグ。
長くなるのか……だったら良いや、今は聞くにはなれない。

「いや、いまは良いよ」
「そうかい」

残念そうに呟くヘッグは、脚を組み、ふふっとか細く笑った。
どうしても言いたかったみたいだ、その話しは忘れてなかったら機会を見て聞くよ。

「で……来てみたら騒動が起きてたから驚いたって感じかな?」
「その通りだよ、いやぁ驚いたね」

いや、はっはっはっと軽い感じで笑ってるけどさ……実際、かなり驚いたんじゃない? あ、でも……あの登場の仕方ならあんまり驚いて無かったのかも知れない。

「だから止める為に色々考えたんだ。なかなかクールな登場だったろ? 止めるとき、フドウと打合せしたんだぜ?」

ほら、やっぱりあんまり驚いてないじゃん。
本気で驚いてるなら登場の仕方とか考えないもん。
と言うか、打合せなんかしてないで、止めるならさっさと止めてよ。

「あぁ、うん。そうだね」
「ん? えらく素っ気ない返事だね……」

そんな返事にもなるよ。
まぁ……その登場の仕方で助かったんだけどね。

「さて、話しは終わったけど……他に聞きたい事はあるかい?」
「ん? あぁ……そうだね」

んー……どうだろ、聞きたい事は全部聞けた気がする。

「特に無いね」
「そうかい」

ふふんっと笑うヘッグは、僕にクスリと笑い掛けた。
なんでそこで笑うのかな? まぁ、どうでも良いか。

「話が終わったなら、我はアヤネの所へ行くぞ」

すっ、と立ち上がったフドウは、ゆっくりと立ち上がりそう言った。
アヤネの所へ行く……それ、大丈夫なのかな? いや、無事辿り着けるかな? て言う点で心配なんだ。

だから、僕はチラリと鬼騎とヴァームに目配せする。
どちらも首を傾げている、うん……心配してるのは僕だけじゃ無いみたいだ。

「だったら案内するよ。場所分からないでしょ?」

だからそう言った。
だけど、言い終わった瞬間、ガチャリ……と扉が開いた。

誰だろ? と思い、扉へと視線が集中する。
この部屋に入ってきたのは……。

「おっじゃましまぁす……って、えぇぇぇっ!?」

シズハだった。
元気良くニコニコ笑いながら入ってきたんだけど、シズハを見た瞬間、目をめい一杯開いて驚いた。

「ふっふぅちゃん!?」

それに、驚いたのはシズハだけじゃない。
フドウもだ、彼もビクッ! と身体を震わせて「しっシズハっ!?」と声上げて驚いた。

お互い驚きあったあと、互いに近付いて、ペタペタと身体を触り合う。

「まっ幻じゃありませんねぇ……つまり、本物の……ふぅちゃん?」
「うっうむ、我は本物だ」
「きゃぁぁっ、ふぅちゃぁぁんっ!」

そして、シズハはフドウにばふっ! と抱き付いた。
それに驚きはしたけど、フドウはしっかりシズハを支えた。

えっえぇっと……なに? なんかいきなり目の前でイチャつきが始まったんだけど……これ、どうするの?
そんな様子に戸惑いつつ、小声でヴァームに「ねぇ、これ何とかしてよ」と話し掛けるとけど「わっ私には無理です」と言われてしまう。

いや、無理て……諦めないでよ。
呆れた表情でフドウとシズハのイチャつきを見る。
あぁあぁ、抱きあっちゃってまぁ……この場に僕達がいるの分かっててやってるのかな?

そんな事を思いつつ、二人のイチャつきが終わるまで見守った……。

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