どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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なんだろう、違和感を感じる。
凄く様子が変だ、なんと言うか……えと、よく分からないが、変だと言うのは分かる。

「んん? シルク、なにを黙ってわらわを見つめておる。さっさと食べんか」
「おっおぉ」

いっいけない、ロアの言う通り今は食事中なんだ。
だが……気になる、すっごく気になる。

そんな気持ちになったのは……少し時間を遡る事になる。



鬼騎に部屋に居ろと言われて時間が経った。
その間に破壊音とか身体が震える位恐ろしい何かを感じ取ったりしていた。

だからメェに、身体の拘束を解けと言ってるんだが……といてもらえない。
ずっと「だめです」の一点張り。

でも、そこから時間が経った頃、その何かの感覚はパタリと消えた、そして、破壊音も消えた。
あまりの静けさに「え?」と声を漏らした俺は固まってしまった。

「静かになったですね」

ポツリと言ったメェの言葉に、頷いて同意する。
なっなんだ? 静かになったのは良いけど……この静かさ、逆に怖いぞ。

「どうやら落ち着いたみたいです。良かったですぅ」
「……え?」

メェが気になる事を言った。
落ち着いた? 確かに今は静かになってるが……なんで落ち着いたなんて分かるんだ?

「メェ、落ち着いたって……どういう事だ? 実際そうとは限らないのに……まるで分かった様に言ったよな」

それが気になって聞いてみた。
そしたら「しまったです!」と声を上げて、俺から視線を反らした。

「あ、えと……あれです! メェは人間とは違うですっ、つっつまりあれです! 魔物の勘ですっ、それ以外の何物でもないです!」

これ、なにか隠してないか? 確実に誤魔化してるよな? 誤魔化し方下手だけど……。
喋り終わった、下手くそな口笛を吹いてるメェ、これは追求した方が良いかもしれない。

「メェ、もしかして……さっきの破壊音とかの事。お前なら分かってるんじゃないか?」
「え、あぁ……にひひひ」

笑って誤魔化したな。
あ、後ろ向いた……で、何か呟いてる。

「うぅぅ、くわしくは分かんないですけど、これ言って良いんです? わっわかんないですぅぅっ。でも、メェの勘が黙ってろって言ってるです」

ボソボソ声だから何言ってるかよく分からない。
だけど何かを知ってるのは確かだ、メェの反応を見れば分かる。

「なぁ、メェ」

聞こえるように呼び掛けて見る。
そしたらビクッと身体を震わせて「ひゃぁいっ!」って返事をした。

「なっなんです?」

半笑いのメェ、カタカタ震えながら、にっと笑う。

「知ってたらで良い。さっきの騒動……何があったのか教えてくれないか?」

そう俺が言ったとき、メェの額から汗がダラダラ流れ始めた。
なんて分かりやすい奴だ、これで何かを誤魔化してる事も分かった。

でも、なんで誤魔化す必用がある? さっきの事が何なのか知ってたら、教えても良いと思うけどな。
別に知るくらいなら何の問題も無いのに。

そう思ったら聞きたくなってきた、なんとか聞き出そう。

そう思い、またメェに話し掛けようとした……その時だ。

バタンッーー
扉が強く開いた、俺とメェの視線はそこに集中する。
部屋に入って来たのは……息を切らしてる鬼騎だった。

「今帰ったぞ……って、しぃ坊なんで縛られてんだ?」

包帯でぐるぐる巻きにされてる俺を見て頭に?を浮かべる鬼騎。
これはメェに縛られたんだよ、お陰で顔と手と足以外動かせない、だからさっさとほどいてほしい。

「まっまぁ……それよりもだ。さっきの音の事が分かったから言うぞ」

それよりもって……結構重要な事だぞ? まぁ、状況が状況だからスルーするか、さっきの事の方が気になるからな。

「えとな、あの音は……なんも大した事は無かったぞ」

こほんっ、と咳払いしつつこう言って来た。
え……たいした事は無かった? あんなにでかい音が鳴ってたのに? 何も無かったのか?

「いやぁ、ほんっとロア嬢は大袈裟な奴だよな。カッカッカッ」

豪快に笑う鬼騎、俺はその言葉に不信感を持たずにはいられなかった。
……いかにも嘘っぽい、だって目が超泳いでるし、話す声も変な感じだった。

こっこの二人、本当は何があったのか知ってるな? で、それをなんで隠すんだ? 気になる、気になるから絶対に聞き出してやる。

そう思って俺は詳しく話しを聞いてみる事にした。

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