どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
51
 「落ち着き…ましたか?」
一頻り恐怖の絶叫を上げて暫くたった頃……。
「あぁ…お陰様でな」
俺はカボチャ頭の女の子クータンに出されたハーブティによって心を落ち着かせていた。
「申し訳……ないです…」
「いや、謝る事は無いだろう」
向かいのソファーに座ったまま、ぺこりと頭を下げてくるクータン……ハロウィーンのカボチャみたいに表情は笑っているのだが、何度も言うように声が暗い、そのギャップについていけない。
「そうだよ、シルク君の言う通りだよ」
足を組んでくははっと笑いながらハーブティを飲むラキュ、お前のその物言い……さっきの事反省していないな? さっきあれほど叩き倒したと言うのに……。
「ん、どうしたのシルク君?」
「何でもない……」
まぁ、叩き倒してた時も反省してる様子は全く無かった……だからこれ以上言っても無意味だ。
「そう…ですか……そう言う…事にしておき…ますね」
そう言ってクータンは再び頭を下げる、この素直な気持ちを色んな奴等に教えてやりたいくらいだ、そう思ってしまい深いため息をつく、そんな俺の様子を見て不思議そうな顔をするラキュは、じぃっーーと俺を見てくる。
「あっ……あの…貴方は男の子ですか?」
「紛れもない男だ!」
男の娘ではないので悪しからず! 強い口調で言うとクータンは身体をびくつかせる。
「すっ…すみません……ちょっと気になったんです
そうですか…男の娘ですか」
なんだろう、今の「おとこのこ」と言う言葉に違和感を感じたが…気のせいだろう。
「そうだ……お茶菓子は…要りますか?」
クータンは手を合わせて言ってくる、今更だが彼女はカボチャの被り物をしているから当然表情が読めない……少しコミュニケーションが取りづらいな。
「あぁ、頂きます」
「僕も頂くよ、クータンのお菓子は美味しいからね」
そんな事は置いておいてお茶菓子を貰おう、ラキュの言葉から察するにクータンが今からだすお茶菓子は手作りと言う事になるな……楽しみだ。
「でっでは……出しますね……アッブラ ト ミズゥ ワァ マザラァナッイィ……」
なんだ今の呪文みたいな物は? あっ……あぶ……ん? 駄目だ言いづらい……そんな呪文みたいなのを唱えクータンはテーブルに小さな手をかざす、するとそこに皿が出て来た……おぉ、これは間違いなく魔法だ。
今出したお皿もアンティーク……うむ、ここまでこう言う物を見ると彼女の趣味が分かってしまうな……と、まじまじと皿を見ているとクータンの手が紫色に怪しく光る、その光と共に。
「カボチャケーキ……です……今朝つくり……ました」
ケーキが現れた……いつ見ても魔法は不思議だ、ん? これ魔法で出したって言ったけど……鮮度とかは大丈夫なのか? っ! 失礼な事を思ってしまった。
「心配しなくても大丈夫だよ」
と、そんな俺がそんな事を考えているとラキュが俺の肩を叩いて話し掛けてくる。
「今のは『収納する魔法』から取り出したんだよ」
「しゅ……収納する魔法?」
まっまた良く分からない魔法が出てきた。
「簡単に言えば物を収納出来る魔法だね、収納された物はそのままの状態に保たれる、だからあのケーキは腐ってないよ」
「うぅ……酷い…です、腐ったのなんて……だしませんよ……おばか」
なっ成る程……これは万能な魔法だ、と言うかラキュ……他にも言い方があるだろう、クータンが落ち込んだじゃないか、いや……ここは俺が失礼な考えをしたのも悪い。
「そうだよな……ごめん」
深々と頭を下げて謝る、するとラキュも同じ様に頭を下げてくる。
「ごめん…変な事言ってしまったね」
その様子を見たクータンは慌てる様子を見せ、手をわたわたと騒がしく上下させる。
「あっ……その、分かって……くれたら…良いんです、だから……頭上げてください」
そう言われたので頭を上げる、このままだとお互い謝るを続けてしまいそうだ、ならば……。
「早速、食べて良いか?」
「はっはい……どうぞ…」
強引ではあるが食べるとしよう、クータンが作ったカボチャケーキの見た目は、黄色のドーム状のケーキ……カボチャケーキ、食べた事が無いからどんな味か想像がつかない、だが仄かに甘い香りがしてくる、この鼻腔を擽るこの感じ、きっと美味しいだろうな。
ん? 今クータンは今朝焼いたって言ったが……ここはずっと夜なんじゃないのか? なのに今朝……まぁ、細かい事は置いて置こう。
クータンはカボチャケーキをケーキナイフで1人分に切り分ける。
「フォークです……あっ……ハーブティの御代わり…いれておきますね……」
そして魔法でフォークを取り出すクータンはティーポットも魔法で取り出す、そして俺達の了解を得ずに飲み掛けのティーカップにハーブティを注ぐ。
「ありがとうクー、じゃ頂くよ」
ラキュはフォークを受けとりカボチャケーキを小さく切り分け口に含む、よし! 俺も食べよう、そう思って俺もクータンからフォークを受けとる。
「頂きます」
「はい…召し上がれ…」
フォークで1口サイズに切って口に含む……その瞬間、カボチャの甘さとスポンジの香ばしさが口一杯に広がった。
「美味しい……」
と、口に出てしまう程に美味しい……これ程のお菓子は食べた事が無い。
「良かったねクー、シルク君美味しそうに食べてくれてるよ?」
「はっはい……本当に…笑顔です……作った甲斐がありました……」
そんな会話を聞きながらカボチャケーキを食べ進める俺……此処でハーブティも頂こう。
「……っ!」
ごくりっと喉にハーブティが通った時に驚いた、抜群に食べ合わせが良いのだ……この感想をクータンに言わなければいけない。
「美味しいよ…クータン」
「はうぁっ……うっ嬉しい……です…」
一瞬変な声が出たクータンは下を向く、ん? どうかしたのだろうか……。
「じゃ、もう少し頂こうか……」
そう言ってラキュが微笑みながら言ってくる。
「そうだな…」
今はゆっくり身体を休めよう、あぁ……疲れてたから余計に美味しく感じるな、俺とラキュは暫くの間、美味しいお茶菓子に舌鼓をうつ事にする。
 一頻りカボチャケーキとハーブティを堪能した時、クータンは話し出す。
「あっ……そう言えば…お2人は……あたいに…何かご用……ですか?」
そんな言葉をクータンが口にした時だ、ラキュが手に持っていたティーカップをテーブルに置いて目を細めて話し出す。
「そうだよ、突然現れたのは君の力を借りたいんだ」
「何か…事情がある……みたいですね……」
クータンは両指をからませながら俯く、そうだ俺達はヴァーム達から逃げる為に行動しているんだった……だがクータンに何をしてもらうつもりだ? と言うかクータンはどんな人物なんだ?
「わかり…ました…あたいに…出来る事が……あれば…強力します」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
疑問を浮かべる俺を他所に二人で話を進める。
「なぁ……クータンに何をして貰うんだ?」
「簡単な事だよ……」
ラキュは俺に向けてウインクする、全く想像がつかない、本当に何をする気だ?
「クーは此処に長く住んでて城下町地下には詳しいよね?」
ラキュはクータンの肩を持ち笑顔で話しかける、すると急にクータンは震えだす。
「はい……そうですよ? あたいは……光が苦手……だから……此処にいるんです、ここの事は…誰よりも……詳しいです」
そして身を屈め頭を押さえる、その瞬間、ずぅんっーーと言う効果音が出そうな程に落ち込む様子を見せる、するとラキュが「あっ…しまった」と口ずさむ、なっなんだ? 場の空気が重くなり始めた様な気がする。
「あたいみたいな根暗は光なんて嫌いなんですよ……当たり前ですよね? あたいは暗い所がお似合いなんです……あはははっ笑っても良いですよ? と言うか笑うしか無いですよね……」
ペラペラとマシンガントークを始めだすクータン……自分の謙遜が止まらないだと? なっなんなんだ、この娘は!
クータンの凄まじい自虐発言に口をポカーンと開ける俺、ラキュは頭を押さえソファーに深く座り直す、そしてため息まじりにこう言った。
「どうしよう……」
あのラキュが同様している…コスプレ騒動の時異常に困った様子を見せている……だと! これ追われてる時より不味くないか?
「あははは……もう、本当に笑うしか……笑うしか…ない、もう……あたい……煮込みカボチャになりたい……」
「いっ言ってる意味が分からない……」
つい言葉に出てしまった、口に出てしまうのは当たり前だ、だってそうだろ? なんだよ煮込みカボチャになりたいって!
「こうなると止まらないんだよね…クーは良い人なんだけど、地雷が多すぎるんだよ…」
ラキュは疲れきった顔で話してくる、確かにこれはもう止められないな。
「どうせあたいが煮込みカボチャになっても……誰も食べてくれませんよね……あはははぁ…笑うしかないよぉ……本当に…笑うしかない……あはは……はは」
くっ空気が重い! どんだけネガティブなんだこのカボチャ娘は!
「クーに此処の地上の抜け道を教えて貰いたかったんだけど……この様子じゃ無理そうだね」
「ぬっ抜け道?」
ラキュは立ち上がり漆黒のマントを靡かせる。
「逃げながら話すよ、ほらっ立って」
「あっあぁ……」
もう出ていくのか……いや、正直出て行きたかったから安心した……って、このままクータンを放置して大丈夫なのか?
「あぁ……お日様なんて無くなれば良いんです……あははは、そしたら皆で一生お茶会出来ますねぇ」
ほら、なんか病んでる雰囲気を出して来たぞ? 躊躇していると……。
「クーなら放っておいたら治るから早くっ!」
「わっ分かった!」
少し強い口調で言ってくるラキュに身体が反応し立ち上がる……少し罪悪感を感じてしまうな、さらばクータン……今度会う時は沢山お話しよう、そう思いながらラキュと一緒に家から出る。
「そう言えばお茶会ってお話ししなくちゃ駄目ですよね……まぁ残念な事にあたいに会話のボキャブラリーは皆無なんですけどね……胸と同じで……ぷふっ……むっ胸と同じって、あははっ今のギャグ最高に面白いかも……あははぁ」
クータンの暗い声音で語る言葉は俺達に聞こえなかった、やっと身体を休まったのに、一瞬にして疲れた気がする……どうやらまだ逃走劇は続きそうだ。
一頻り恐怖の絶叫を上げて暫くたった頃……。
「あぁ…お陰様でな」
俺はカボチャ頭の女の子クータンに出されたハーブティによって心を落ち着かせていた。
「申し訳……ないです…」
「いや、謝る事は無いだろう」
向かいのソファーに座ったまま、ぺこりと頭を下げてくるクータン……ハロウィーンのカボチャみたいに表情は笑っているのだが、何度も言うように声が暗い、そのギャップについていけない。
「そうだよ、シルク君の言う通りだよ」
足を組んでくははっと笑いながらハーブティを飲むラキュ、お前のその物言い……さっきの事反省していないな? さっきあれほど叩き倒したと言うのに……。
「ん、どうしたのシルク君?」
「何でもない……」
まぁ、叩き倒してた時も反省してる様子は全く無かった……だからこれ以上言っても無意味だ。
「そう…ですか……そう言う…事にしておき…ますね」
そう言ってクータンは再び頭を下げる、この素直な気持ちを色んな奴等に教えてやりたいくらいだ、そう思ってしまい深いため息をつく、そんな俺の様子を見て不思議そうな顔をするラキュは、じぃっーーと俺を見てくる。
「あっ……あの…貴方は男の子ですか?」
「紛れもない男だ!」
男の娘ではないので悪しからず! 強い口調で言うとクータンは身体をびくつかせる。
「すっ…すみません……ちょっと気になったんです
そうですか…男の娘ですか」
なんだろう、今の「おとこのこ」と言う言葉に違和感を感じたが…気のせいだろう。
「そうだ……お茶菓子は…要りますか?」
クータンは手を合わせて言ってくる、今更だが彼女はカボチャの被り物をしているから当然表情が読めない……少しコミュニケーションが取りづらいな。
「あぁ、頂きます」
「僕も頂くよ、クータンのお菓子は美味しいからね」
そんな事は置いておいてお茶菓子を貰おう、ラキュの言葉から察するにクータンが今からだすお茶菓子は手作りと言う事になるな……楽しみだ。
「でっでは……出しますね……アッブラ ト ミズゥ ワァ マザラァナッイィ……」
なんだ今の呪文みたいな物は? あっ……あぶ……ん? 駄目だ言いづらい……そんな呪文みたいなのを唱えクータンはテーブルに小さな手をかざす、するとそこに皿が出て来た……おぉ、これは間違いなく魔法だ。
今出したお皿もアンティーク……うむ、ここまでこう言う物を見ると彼女の趣味が分かってしまうな……と、まじまじと皿を見ているとクータンの手が紫色に怪しく光る、その光と共に。
「カボチャケーキ……です……今朝つくり……ました」
ケーキが現れた……いつ見ても魔法は不思議だ、ん? これ魔法で出したって言ったけど……鮮度とかは大丈夫なのか? っ! 失礼な事を思ってしまった。
「心配しなくても大丈夫だよ」
と、そんな俺がそんな事を考えているとラキュが俺の肩を叩いて話し掛けてくる。
「今のは『収納する魔法』から取り出したんだよ」
「しゅ……収納する魔法?」
まっまた良く分からない魔法が出てきた。
「簡単に言えば物を収納出来る魔法だね、収納された物はそのままの状態に保たれる、だからあのケーキは腐ってないよ」
「うぅ……酷い…です、腐ったのなんて……だしませんよ……おばか」
なっ成る程……これは万能な魔法だ、と言うかラキュ……他にも言い方があるだろう、クータンが落ち込んだじゃないか、いや……ここは俺が失礼な考えをしたのも悪い。
「そうだよな……ごめん」
深々と頭を下げて謝る、するとラキュも同じ様に頭を下げてくる。
「ごめん…変な事言ってしまったね」
その様子を見たクータンは慌てる様子を見せ、手をわたわたと騒がしく上下させる。
「あっ……その、分かって……くれたら…良いんです、だから……頭上げてください」
そう言われたので頭を上げる、このままだとお互い謝るを続けてしまいそうだ、ならば……。
「早速、食べて良いか?」
「はっはい……どうぞ…」
強引ではあるが食べるとしよう、クータンが作ったカボチャケーキの見た目は、黄色のドーム状のケーキ……カボチャケーキ、食べた事が無いからどんな味か想像がつかない、だが仄かに甘い香りがしてくる、この鼻腔を擽るこの感じ、きっと美味しいだろうな。
ん? 今クータンは今朝焼いたって言ったが……ここはずっと夜なんじゃないのか? なのに今朝……まぁ、細かい事は置いて置こう。
クータンはカボチャケーキをケーキナイフで1人分に切り分ける。
「フォークです……あっ……ハーブティの御代わり…いれておきますね……」
そして魔法でフォークを取り出すクータンはティーポットも魔法で取り出す、そして俺達の了解を得ずに飲み掛けのティーカップにハーブティを注ぐ。
「ありがとうクー、じゃ頂くよ」
ラキュはフォークを受けとりカボチャケーキを小さく切り分け口に含む、よし! 俺も食べよう、そう思って俺もクータンからフォークを受けとる。
「頂きます」
「はい…召し上がれ…」
フォークで1口サイズに切って口に含む……その瞬間、カボチャの甘さとスポンジの香ばしさが口一杯に広がった。
「美味しい……」
と、口に出てしまう程に美味しい……これ程のお菓子は食べた事が無い。
「良かったねクー、シルク君美味しそうに食べてくれてるよ?」
「はっはい……本当に…笑顔です……作った甲斐がありました……」
そんな会話を聞きながらカボチャケーキを食べ進める俺……此処でハーブティも頂こう。
「……っ!」
ごくりっと喉にハーブティが通った時に驚いた、抜群に食べ合わせが良いのだ……この感想をクータンに言わなければいけない。
「美味しいよ…クータン」
「はうぁっ……うっ嬉しい……です…」
一瞬変な声が出たクータンは下を向く、ん? どうかしたのだろうか……。
「じゃ、もう少し頂こうか……」
そう言ってラキュが微笑みながら言ってくる。
「そうだな…」
今はゆっくり身体を休めよう、あぁ……疲れてたから余計に美味しく感じるな、俺とラキュは暫くの間、美味しいお茶菓子に舌鼓をうつ事にする。
 一頻りカボチャケーキとハーブティを堪能した時、クータンは話し出す。
「あっ……そう言えば…お2人は……あたいに…何かご用……ですか?」
そんな言葉をクータンが口にした時だ、ラキュが手に持っていたティーカップをテーブルに置いて目を細めて話し出す。
「そうだよ、突然現れたのは君の力を借りたいんだ」
「何か…事情がある……みたいですね……」
クータンは両指をからませながら俯く、そうだ俺達はヴァーム達から逃げる為に行動しているんだった……だがクータンに何をしてもらうつもりだ? と言うかクータンはどんな人物なんだ?
「わかり…ました…あたいに…出来る事が……あれば…強力します」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
疑問を浮かべる俺を他所に二人で話を進める。
「なぁ……クータンに何をして貰うんだ?」
「簡単な事だよ……」
ラキュは俺に向けてウインクする、全く想像がつかない、本当に何をする気だ?
「クーは此処に長く住んでて城下町地下には詳しいよね?」
ラキュはクータンの肩を持ち笑顔で話しかける、すると急にクータンは震えだす。
「はい……そうですよ? あたいは……光が苦手……だから……此処にいるんです、ここの事は…誰よりも……詳しいです」
そして身を屈め頭を押さえる、その瞬間、ずぅんっーーと言う効果音が出そうな程に落ち込む様子を見せる、するとラキュが「あっ…しまった」と口ずさむ、なっなんだ? 場の空気が重くなり始めた様な気がする。
「あたいみたいな根暗は光なんて嫌いなんですよ……当たり前ですよね? あたいは暗い所がお似合いなんです……あはははっ笑っても良いですよ? と言うか笑うしか無いですよね……」
ペラペラとマシンガントークを始めだすクータン……自分の謙遜が止まらないだと? なっなんなんだ、この娘は!
クータンの凄まじい自虐発言に口をポカーンと開ける俺、ラキュは頭を押さえソファーに深く座り直す、そしてため息まじりにこう言った。
「どうしよう……」
あのラキュが同様している…コスプレ騒動の時異常に困った様子を見せている……だと! これ追われてる時より不味くないか?
「あははは……もう、本当に笑うしか……笑うしか…ない、もう……あたい……煮込みカボチャになりたい……」
「いっ言ってる意味が分からない……」
つい言葉に出てしまった、口に出てしまうのは当たり前だ、だってそうだろ? なんだよ煮込みカボチャになりたいって!
「こうなると止まらないんだよね…クーは良い人なんだけど、地雷が多すぎるんだよ…」
ラキュは疲れきった顔で話してくる、確かにこれはもう止められないな。
「どうせあたいが煮込みカボチャになっても……誰も食べてくれませんよね……あはははぁ…笑うしかないよぉ……本当に…笑うしかない……あはは……はは」
くっ空気が重い! どんだけネガティブなんだこのカボチャ娘は!
「クーに此処の地上の抜け道を教えて貰いたかったんだけど……この様子じゃ無理そうだね」
「ぬっ抜け道?」
ラキュは立ち上がり漆黒のマントを靡かせる。
「逃げながら話すよ、ほらっ立って」
「あっあぁ……」
もう出ていくのか……いや、正直出て行きたかったから安心した……って、このままクータンを放置して大丈夫なのか?
「あぁ……お日様なんて無くなれば良いんです……あははは、そしたら皆で一生お茶会出来ますねぇ」
ほら、なんか病んでる雰囲気を出して来たぞ? 躊躇していると……。
「クーなら放っておいたら治るから早くっ!」
「わっ分かった!」
少し強い口調で言ってくるラキュに身体が反応し立ち上がる……少し罪悪感を感じてしまうな、さらばクータン……今度会う時は沢山お話しよう、そう思いながらラキュと一緒に家から出る。
「そう言えばお茶会ってお話ししなくちゃ駄目ですよね……まぁ残念な事にあたいに会話のボキャブラリーは皆無なんですけどね……胸と同じで……ぷふっ……むっ胸と同じって、あははっ今のギャグ最高に面白いかも……あははぁ」
クータンの暗い声音で語る言葉は俺達に聞こえなかった、やっと身体を休まったのに、一瞬にして疲れた気がする……どうやらまだ逃走劇は続きそうだ。
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