どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

351

メェと鬼騎が捜索隊に加わり暫く経った後、まだ僕と姉上は探していた。

道行く魔物達をスルーして、くまなく辺りを見渡してみる。
だけどいない、あれからずぅっと探し回ってるけど、ぜんっぜんいない。

「ここまで見付からないものなのかな?」
「そうじゃのぅ……。恐らくじゃが、アヤネの奴がシルクを抱っこして移動してるのでないか?」
「あぁ、それはありえるね」

アヤネの体力は魔物並みだからね、そうだとすれば探すのは骨が折れるよ。

「でもさ。アヤネも人間だから限度があるよね?」
「そっそうじゃが、アヤネに限度はあるのかえ?」
「いや、あるでしょ……多分」

なかったら、本物の魔物だよ。

「もう、ここにはいない可能性がないかえ? だって、探してもおらんし」

姉上は髪を弄りながら言ってくる。
うぅん……その可能性はあるかも知れない、と言うかそれしか有り得ない気がしてきた。

「じゃぁ、地上に出てみる?」
「うむ、そうした方が良いじゃろう」

うんうん、と頷く姉上。
だったらそうしようか……あ、でもメェと鬼騎はどうしよう。
を2人を放置して戻るのは気が引けるなぁ……。

「じゃ、姉上は先に戻ってて、僕はメェと鬼騎に伝えてから行くよ」
「うむ、了解じゃ」

と言う訳で、素早く移動した。
姉上の方も素早い動きで走っていく、どうやら脚の方の痺れはとれたみたいだね。 

これなら、はやく見付けられそうだ。
姉上、がんばりなよ……。



「くっ……まだちょっぴり痛いのぅ。じゃが、さっき程ではない!」

ラキュと別れたわらわは、地上へと急ぐ。
なるべく近道、家の屋根の上を歩いていく、他の魔物の目線の注目されておるが構わぬ。

よし、このまま真っ直ぐ言えば出口じゃな。
って、うおっと! 浮かんでるカボチャに当たる所じゃった、誰じゃ……こんなカボチャを浮かべた奴は。

あ、わらわか。
って……ボケとる場合じゃないの、さっさと向かおう。

と言う訳で、ささっと移動したわらわ。

ようやっと地上に出れた。
おぉ、日が傾いておる、相当地下におったようじゃな。
あそこにおると時間の感覚が可笑しくなるのぅ。

「それはともかく。さっさと見付けようかの」

その為には、このいりくんだ路地から出んといかんな。
えぇと……どこ行けば近道なんじゃったかな? 確かこっちじゃ!

タタタタァッ……っと素早く走る。
とりあえずあれじゃ、城に行こう、あそこは高いところに建ってるからのぅ。
わらわは魔王じゃからな、並みの視力は持っておらぬよ。

高地から見下ろせば見付けられるじゃろう、2人がそこにいればの話じゃけどな……。

そう思いながら、ドンドン走る。
と言うか、地上に誰もいんのぅ、皆地下に行ってしまったのか?

そうだとすると、なんか寂しいのぅ。
まぁ……命令したのはわらわじゃがな、くはははは。

とっ、城前まで来たぞ。
さぁて、階段を登って振り返り見下ろすとするか……。

トットットッ……。

リズムよく階段を昇る、昇りきった後はクルリと回れ右して景色を見る。
んー……あぁ……ダメじゃな、誰もいない。
やはり地上には居なかったか、ならば地下にもど……。

バタンッーー

ん? 物音がしたのぅ、これは扉が開く音じゃな。
しかし、なぜそんな音がするのじゃ? 気になるから振り替えって見た……って、うぉ!? 

ダダダダダダッーー

あっアヤネじゃ! アヤネがわらわに向かって走ってきおった。

「あっアヤネ!」

咄嗟に呼び止める、だがしかし……アヤネはわらわを無視して何も言わずに走り去っていった。

「なっなんじゃ無視しおって。と言うかあやつ、泣いておらんかったか?」

チラッとじゃが頬に涙が伝ってるのが見えた、泣いていたのなら、なぜ泣いたのじゃ?

「まぁ、それはおいといてじゃ。アヤネが城から出て来たと言う事はシルクは城におるじゃろう」

は2人はさっきまで一緒にいた。
じゃからそうである可能性は高い、もしシルクがそこにおったら、即効抱き付いて問い詰め無ければならんのぅ。

アヤネと何をしてたのじゃぁっ! て感じでな。
くふふふふ……覚悟するのじゃぞ、シルク!

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品