どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

317

ロアが、着替えに行くのじゃ! と言って俺達はロアの後ろを着いていって暫く経った。

「なぁロア、どこに行くんだよ」
「シルクが知ってる所じゃよ」

俺が知ってる所ねぇ店内に。
あんまり出歩かないから想像が付かないな……。
そもそも、今から着替えるのか? 普通ハロウィンって夜にやるものであって、日が昇ってる時はしないぞ?

だから今から着替えるのは明らかに早すぎると思うんだが……そこんところ分かってるか?

「着いたぞ」

と、着いたのか……やれやれ、どこに連れて来たんだ?
……って! こっここは俺の店!? 間違える筈がない、紛れもなく俺の店だ! なんでここ? 着替える為にここに来る必要なんてないよな?

そんな疑問は皆感じたのか戸惑い始める、しかしそれをスルーして、すたすた店内に入ってくロア。 
俺達はその後を追い掛ける形でついていく、ロアが向かったのは俺の店のスタッフルームだった。
さてここで当然、なんでここに来たんだ? って疑問が膨れてくる。
ここは素直に聞いてみるか、スルーされたまま黙ってる訳にはいかないからな。

「なぁ……」
「ん?」
「なんで、俺の店に来たんだ?」
「着替える為じゃが?」 

俺の問に「何を今更」って感じに答えてくる。
なるほど、だからここに来たわけか。
って、まて……ここで着替えるだと!

「いや、ここには衣装なんてないし……脱衣場なんて何処にも」
「無くても構わんじゃろう、ぱぱっと着替えれば問題ない。それと衣装ならあるぞ? ヴァームが魔法でしっかり持ってきている筈じゃ」

話の途中で、大丈夫じゃない要素があったぞ! にこにこ言って誤魔化しても、俺は聞き逃さなかったからな!

「いやっ、女もいるし! そこんとこっ、問題あるから!」
「くふふふふ、必死になりおって。まぁ、そう言うと思っておったよ」

必死に抗議したら、にまぁっと笑ってきた。
なんだよ、そりゃ必死に言うよ……問題あるんだからな。
と言うか、なんでそんなにニヤついてるんだよ……なんか気になるな。

「と言うのは、わらわの冗談じゃ。見事に騙されおったのぅ」

くははははぁっと高らかに笑うロア、なるほど、つまりお前は俺をからかってたのか……すると隣にいたラキュが「やっぱりね……」と呟く。
流石は弟、気づいていたのか……だったら教えてくれよ。

「今回に限っては男女男の娘別けて着替えさせてやろう。感謝するのじゃぞ?」

今回に限ってはと来たか。
だが本当にそうだな、いつも着替えるときは目の前にロアやアヤネが居ようが着替えさせてたのに……どういう風の吹き回しだ?

疑問を感じて、指を口元に当ててると……ラキュが口を開いた。

「ねぇ、なんだか良く分からないけどさ……今日は趣向が違うみたいじゃないか」
「くふふふふ、特別な日には特別な事をしたくなる物なんじゃよ、弟よ」

特別な事か……。
一体なに考えてるか分からないな、まぁろくな事じゃ無いんだろうな。

「まぁ、そんな事よりじゃ……そろそろ始めるかの」

っと……。
どうやら始めるみたいだな、そしたら周りの奴等はそれぞれ違う反応を取り出した。

「ハロウィン楽しみだね」
「そぉですねぇ」

純粋に嬉しそうなアヤネとシズハさん。

「おほほほ、ついに始まるのですわっ。ハロウィンと言うなの宴が!」

やたらテンションの高いラム。
……そう言えば、ラムの声を聞くの久し振りかもしれない。

「はぁ……たくっ、面倒だがやらねぇと後がこぇからなぁ」
「そうですっ、きぃ君の言う通りですっ」

あまり乗り気で無い様子のメェと鬼騎。

最後に残ったヴァームは力無く不気味に「うふふふふ……」と笑い。

「ロア様、いつでも……準備は……出来て……います……よ」

と話す。
ヴァーム、お前は祭りに参加せずに休んだ方がいいんじゃないか?
なんか今にも倒れそうな位ふらふらしてるぞ。

「では、着替えるのじゃっ! と行きたい所じゃがぁ……その前にっ!」

パチンッ……。
ロアが指を鳴らした、びっくりした。
箱だ、小さな箱が現れた……大きさはティッシュ箱くらいだな。
色は白で、箱一杯にでかでかと"外れ無し"と書いてある。

……で、その妙な雰囲気が出てる箱はなんだ?

「くじ引きじゃ!」

俺の疑問に答える事無く、ロアは突然そう言った。
皆は「へ?」「は?」「ほぇ?」などと様々な反応を取る。
くっくじ引きだと? くじ引きって……あのくじ引きだよな?

にこにこ笑うロア、俺達はロアの考えてる事が理解できなかった。

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