どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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僕は考えた、2人にどう声掛けようかよぉく考えた。
普通に話し掛けても面白くない、話し掛けた後、面白くなるような話掛け方をしよう。

んー……なにが良いだろう、取り合えず、今まさに変な事してるから、気まずそうに「えと、なっなにしてるの?」って話し掛けてみる? いやいや、そんなの僕らしくない。

やるなら、ばしっ! と、ハッキリ声掛けたいよね。
……あぁ、もぅ。
悩んでたらイライラしてきた、もう何時も通りで良いや、それで面白くなる様祈ろう。

「なにやってんのさ」

しらぁ……とした目線を向けて話しかけてみる。
うん、何事もストレートが一番だよ。
そのかいあってシルク君の慌てた様子が見れた。

「らっららっラキュっ!?」

余程驚いたのか叫んじゃってる。
アヤネの方はノーリアクション……いや、小声だ「わぁ」と言ってるね。
一応驚いてるみたい、反応が小さいなぁ。

「えと、その、こっこれはだな……」

と、それはおいといてだ。
シルク君の弁解タイムが始まった。
アヤネを伸せたまま、手をわたわた動かして、必死の形相で言ってくる。

とっても面白い状況だけど、顔には出さずに黙って聞いてあげた。
その話を暫く聞いた後……。

「ふぅん、なるほどね。なんであんな事してたかの理由は分かったよ」

こう言ってあげた。
それに安堵したのか、ものっすごい安心した顔付きになった。

「でもさ、それってシルク君がアヤネの背中を押せば早々に解決出来たんじゃないの?」

でも、ここでその話を終わらせるのは面白くないので意地悪しよう。

「あ、いや……そうなんだが、あまりに痛くて……出来なかったんだ」
「ふぅん、なるほどね」

くふふふ。
予想通りの反応だけど、気まずそうに僕から視線を反らしてるのが面白いね。

なんて思ってたらアヤネがシルク君に話し掛けた。
そのやり取りを、じぃ……と見る。

なんだろう……。
さっきの感覚がまた来てる、心がチリチリ燃えるようなあの感覚。
なんだか良く分からないけど……良い気分じゃない事だけは分かる。

あぁ、なぜだか分からないけどムカムカする。
なんでかな? 2人は普通に話してるだけなのに。

……。
うん、一旦この事を考えるのは止めておこう。

「話しは終わった?」
「ん、終わったよ」

取り合えず声を掛けてみた、そしたら、アヤネが答えた。
話が終わったら何か話そう……話題を変えれる様に話した方が良いよね? あ、だったら……。

「そう、だったら一緒に行かないかな? 一人で歩いてたから暇だったんだよね」

こんな感じでどうだかな?
あ、良かったみたいだ。
シルク君の表情が明るくなった……ってあれ? 直ぐに暗くなったね。

「悪い、疲れたからもう少し休みたいんだ」
「え、そうなの?」

あぁ……つまり休みたいんだね? これは無理に連れ出すのは止めといた方が良いか。

でも、それだと1人で歩く事になるからなぁ……あ、別にそれでも良いんだよ?
でも、そろそろ誰かと話しながら歩きたい……と、さっき思ったんだよねぇ。

「シルクは休みたい気分……だったら私もそうする。そう言う気分になった」
「え? あっ……そっそうか」

なんて事を思ってたら、アヤネがそんな事を言った。
その台詞に驚くシルク、驚いたのは僕もだ。

アヤネが、自分の気持ちを抑えた? いつもなら拒否しても無理矢理連れ回してたのに……。

その様子をみて、また僕の心が焼かれた気分になった。
今度はチリチリじゃない、メラメラって感じだ。
……だめだ、良くない感情が出てきてる。

くそっ、なんなのさこの気持ちは……イラつくなぁ。
そんな気持ちを表に出ないようにする。
その為に……。

「そか、疲れたなら仕方無いね。じゃぁ、1人で歩こっと」

こう言った、それに申し訳なさそうに謝るシルク君。

「悪いな」
「気にしなくて良いよ。疲れてるのは分かってるからさ」

にっ、と笑って平静を装う。
んー……ダメだね、これじゃ気持ちが晴れない。
ここは強引に話を変えちゃおう。

「でさ、1つ聞きたいんだけど……」
「さっきの事なら説明したぞ?」

いやいや、シルク君の上にアヤネが座った話じゃないよ。

「いや、そこじゃなくてね……気になったんだよ。僕と別れた時、シルク君達は何してたのかなぁってね」
「あ、なんだ……そこか」
「うん、そこだよ」

これは正直知りたかった事、だから聞いてみた、そしたら……。

「クータンの家に行って、そこら辺歩いて、クータンの家に行って今に至る……ってとこだな」
「行ったり来たりしてるじゃん、なにやってんのさ」

こうかえって来た。
それ、謎の行動過ぎない? 

「まぁ、色々あったのは分かるよ……で? 姉上は? ヴァーム達もいないようだけど?」

姉上かアヤネのどっちかが連れ回してたんだろうなぁ……そりゃ休みたくもなるよ。

で、話は変わって。
今いないメンバーはどこにいるのさ? 気になったから聞いてみた。
そしたら意外な答えが返ってきた。

「あぁ、ヴァームなら倒れた」
「えぇ!?」

たっ倒れた? あいつが?

「なんで倒れたのさ」
「過労で倒れたんだ。クータンの家でお菓子を摘まんだと同時にバタンと倒れたんだ」
「……なるほど、過労ね」

かっ過労って……嘘みたいだけど、シルク君はこんな時に嘘を言う人じゃない。
信じられない話だけど……本当の話って事になるね。

「倒れる位なら休めば良かったのに……」

ぼそっと呟いたあと、大きなため息をはいた。
そしたら、続けてシルク君が話してきた。

「シズハさんとラムはヴァームを城に運んだんだ、居ない理由はそれだな」
「ふぅん……。で、姉上は? 一番くっついてそうなのに居ないんだけど」

事情は分かった。
でも言った通り、姉上がここにいないのは可笑しいんだよね。
ずっと、シルク君との距離を詰めるのが目的でハロウィンを開催したのに……当の本人いないじゃないか。

「色々あってクータンに説教されてるよ」
「…………」

え……クータンに、せっ説教? いっ色々って……何があったのさ。
あ、でも大体予想がついた。

きっとあれだ、クータンの家で何らかの原因で暴れたんだ。
クータンが怒る事と言えばそれだね、彼女の家は貴重な家具とか沢山置いてあるからねぇ……。
昔に僕が「クーはさ、怒ったの見たこと無いけど、なにしたら怒るとかあるの?」と聞いたんだ、そしたら「あっ暴れちゃ……ダメ……だよ? おっ怒るから」て言っていた、だから姉上は暴れちゃったんだと思う。

「まぁ、何があったのか敢えて聞かないよ。大体予想はつくからさ」
「そっそか」

そう言いながら、苦笑いした。
クーは怒ったの見たことないから、ある意味恐いんだよね。
これ……様子見に行った方が良いんじゃないかな?

「取り合えず様子見てくるよ」

なので思った事を言ってみた。

「もう行くのか?」
「うん、色々と心配なんだよね……」

ほんっとうに心配なんだ。
きっと姉上は今頃、悶えてるんだろうなぁ……。
今すぐシルク君に会いたいと思ってる筈だ。
でも今はシルク君はアヤネと一緒にいる。

……姉上にとって、そうなるのは一番嫌な事。
なのにそれをさせちゃってる。

「ほんと、なにやってんのさ……」

そう呟いて、僕はクータンの家に急いでいった。

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