どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
300
カチャリッ、と扉はゆっくり開かれた、そこに立っていたのは……。
「話は部屋の外で聞いてましたよぉ」
やけにゆるーい喋り方をする猫の着ぐるみを着た誰かだった。
「その質問はぁ、私がばぁっちり答えてあげますよぉ」
着ぐるみの猫の手をぐっ! と握ってガッツポーズ……それを見た俺とヴァームは口を開けて呆然とした。
……誰? え? なに? 魔物?
混乱した頭を抱えてその着ぐるみを見ていると、ヴァームは真剣な顔付きになり、素早く着ぐるみの方へ近付く。
「どちら様でしょうか? 客人では……ありませんよね?」
ピリッ……。
空気が引き締まった、ヴァーム、警戒してるな。
目の前に怪しい奴が現れたらそうなるだろうが……はっ迫力がすごい。
それに気圧されて、俺は震えてる。
……でもなんだ? なんだか不思議な感じがする、あの怪しい奴の声、どこがで聞いた事がある。
喋り方も、あいつの雰囲気も何処か覚えがある。
いやいや気のせいだろう、こんな妙ちきりんな知り合いは俺にはいな……いと思ったがいたな。
それはアヤネだ、かといってアヤネみたいなおとなしい雰囲気じゃなくて、どんな場をゆるぅくしてしまうゆるゆるな雰囲気……。
なんだ? 俺はあの着ぐるみの中の奴を知ってる……のか?
「わぁ、怒ってますぅ? ダメですよぉ怒っちゃぁ」
……ほんっとゆるゆるした声音だ、聞いてて眠くなる。
そう思いながら、謎の着ぐるみを見る。
「質問に答えてくれませんか?」
「んー? あぁ……えーとですねぇ、私はですねぇ……勝手に入っちゃった人ですよぉ」
コリコリと頭をかく着ぐるみ、明らかにヴァームは怒っているのにお構いなしだ。
肩がピクピク動いてる。
後ろからだなら分からないが、多分笑いながら眉をピクピクさせてるんだろうなぁ。
「ふざけてるのですか?」
「ふざけてないですよぉ、ちょっとしたお茶目さんですよぉ」
うっうぉぅ……あっ明らかに相手は怒ってるのに自分の喋り方を変えない、あっある意味図太い人だな。
いや、中の奴は人なのか?
魔物の可能性もあるよな……。
いや、着ぐるみ着て中身が魔物だったら「なんで着ぐるみ着たんだ」って話になるか。
「だからピリピリしないでください」
「…………」
無言のヴァーム、それだけでとてつもない迫力を感じる。
やっやばいな……少し離れよう。
「それと、それを脱いで下さい。男の娘に着せる大切な衣装なんです」
「えぇ、それは困りますよぉ。これ脱いだら全裸なんですよぉ」
どうしよう、二重の意味で困ってしまった。
この2人、とんでもない事を口走ったぞ。
というかこれ、突っ込んだ方が良いのか?
「そんなの知りません。脱いで下さい」
「えぇ、やですよぉ。はっ! もしや貴女女の裸を見たがるって事は……そう言う人ですかぁ? ……あ、貴女尻尾と角がありますねぇ。そう言えば何度かこっそりと見た覚えがありますぅ」
「何を言うんです? 私はノーマルです! ちゃんと旦那もいます、その着ぐるみは男の娘に着せると言ったでしょう! あと勝手に話しを変えないで頂けますか? 最後に、今更それを言うんですか?」
うぉ、凄い。
ヴァーム……ひとつひとつ的確に突っ込んでいったなぁ、俺なら面倒臭くなって放棄してたよ。
今もまさにそうだ……変な事色々いってたが突っ込む気になんて起こらない。
と言うか、この着ぐるみの人と話してると脱力するなぁ。
で、この人? の話しを聞いてて思った事がある、この自分の頭の中で思った事しか言いわないこの感じ……アヤネにそっくりだ。
やっぱり、俺はこの喋り方をする人を知っている……それが確信に近付いてきた。
しかし思いだけない、こんな着ぐるみを着る様な人? と会った事があるか? あったんなら深く記憶に焼き付いてるのに……ダメだ、思い出せない。
「あぁ、ごめんなさいぃ。ついうっかりですよぉ、えへへへぇ」 
ぺこりと頭を下げる着ぐるみ、ヴァームは呆れた様に息を吐く。
さっき怒っていたのに、その雰囲気はもうない……すっかり毒気を抜かれたんだな。
「……取り合えず、名前を聞かせてくれませんか?」
腰に手を当てつつ下を向いていった。
そう言えば名前聞いてなかったな……初めての印象がインパクト有り過ぎたから忘れてたと言うのもあるけどな。
そう思っていると、着ぐるみの人? は手をぽんっと叩いた。
「あぁ、そう言えば名乗ってませんでしたねぇ、うっかりさんですぅ。では名乗りますねぇ、私ぃシズハ ブレイブって言いますぅ、よろしくぅ」
「……っ!?」
その名を聞いた瞬間、目を見開いてしまった。
……え、しっシズ……ハ。
今、この着ぐるみはそう言ったのか?
シズハ ブレイブ……。
その名前、俺は……俺は知っている、と言うか子供の頃に出会ってる。
あの着ぐるみの言ってる事が本当なら、この人は、このゆるぅい雰囲気を持つ人は……アヤネの母さんだ!
「話は部屋の外で聞いてましたよぉ」
やけにゆるーい喋り方をする猫の着ぐるみを着た誰かだった。
「その質問はぁ、私がばぁっちり答えてあげますよぉ」
着ぐるみの猫の手をぐっ! と握ってガッツポーズ……それを見た俺とヴァームは口を開けて呆然とした。
……誰? え? なに? 魔物?
混乱した頭を抱えてその着ぐるみを見ていると、ヴァームは真剣な顔付きになり、素早く着ぐるみの方へ近付く。
「どちら様でしょうか? 客人では……ありませんよね?」
ピリッ……。
空気が引き締まった、ヴァーム、警戒してるな。
目の前に怪しい奴が現れたらそうなるだろうが……はっ迫力がすごい。
それに気圧されて、俺は震えてる。
……でもなんだ? なんだか不思議な感じがする、あの怪しい奴の声、どこがで聞いた事がある。
喋り方も、あいつの雰囲気も何処か覚えがある。
いやいや気のせいだろう、こんな妙ちきりんな知り合いは俺にはいな……いと思ったがいたな。
それはアヤネだ、かといってアヤネみたいなおとなしい雰囲気じゃなくて、どんな場をゆるぅくしてしまうゆるゆるな雰囲気……。
なんだ? 俺はあの着ぐるみの中の奴を知ってる……のか?
「わぁ、怒ってますぅ? ダメですよぉ怒っちゃぁ」
……ほんっとゆるゆるした声音だ、聞いてて眠くなる。
そう思いながら、謎の着ぐるみを見る。
「質問に答えてくれませんか?」
「んー? あぁ……えーとですねぇ、私はですねぇ……勝手に入っちゃった人ですよぉ」
コリコリと頭をかく着ぐるみ、明らかにヴァームは怒っているのにお構いなしだ。
肩がピクピク動いてる。
後ろからだなら分からないが、多分笑いながら眉をピクピクさせてるんだろうなぁ。
「ふざけてるのですか?」
「ふざけてないですよぉ、ちょっとしたお茶目さんですよぉ」
うっうぉぅ……あっ明らかに相手は怒ってるのに自分の喋り方を変えない、あっある意味図太い人だな。
いや、中の奴は人なのか?
魔物の可能性もあるよな……。
いや、着ぐるみ着て中身が魔物だったら「なんで着ぐるみ着たんだ」って話になるか。
「だからピリピリしないでください」
「…………」
無言のヴァーム、それだけでとてつもない迫力を感じる。
やっやばいな……少し離れよう。
「それと、それを脱いで下さい。男の娘に着せる大切な衣装なんです」
「えぇ、それは困りますよぉ。これ脱いだら全裸なんですよぉ」
どうしよう、二重の意味で困ってしまった。
この2人、とんでもない事を口走ったぞ。
というかこれ、突っ込んだ方が良いのか?
「そんなの知りません。脱いで下さい」
「えぇ、やですよぉ。はっ! もしや貴女女の裸を見たがるって事は……そう言う人ですかぁ? ……あ、貴女尻尾と角がありますねぇ。そう言えば何度かこっそりと見た覚えがありますぅ」
「何を言うんです? 私はノーマルです! ちゃんと旦那もいます、その着ぐるみは男の娘に着せると言ったでしょう! あと勝手に話しを変えないで頂けますか? 最後に、今更それを言うんですか?」
うぉ、凄い。
ヴァーム……ひとつひとつ的確に突っ込んでいったなぁ、俺なら面倒臭くなって放棄してたよ。
今もまさにそうだ……変な事色々いってたが突っ込む気になんて起こらない。
と言うか、この着ぐるみの人と話してると脱力するなぁ。
で、この人? の話しを聞いてて思った事がある、この自分の頭の中で思った事しか言いわないこの感じ……アヤネにそっくりだ。
やっぱり、俺はこの喋り方をする人を知っている……それが確信に近付いてきた。
しかし思いだけない、こんな着ぐるみを着る様な人? と会った事があるか? あったんなら深く記憶に焼き付いてるのに……ダメだ、思い出せない。
「あぁ、ごめんなさいぃ。ついうっかりですよぉ、えへへへぇ」 
ぺこりと頭を下げる着ぐるみ、ヴァームは呆れた様に息を吐く。
さっき怒っていたのに、その雰囲気はもうない……すっかり毒気を抜かれたんだな。
「……取り合えず、名前を聞かせてくれませんか?」
腰に手を当てつつ下を向いていった。
そう言えば名前聞いてなかったな……初めての印象がインパクト有り過ぎたから忘れてたと言うのもあるけどな。
そう思っていると、着ぐるみの人? は手をぽんっと叩いた。
「あぁ、そう言えば名乗ってませんでしたねぇ、うっかりさんですぅ。では名乗りますねぇ、私ぃシズハ ブレイブって言いますぅ、よろしくぅ」
「……っ!?」
その名を聞いた瞬間、目を見開いてしまった。
……え、しっシズ……ハ。
今、この着ぐるみはそう言ったのか?
シズハ ブレイブ……。
その名前、俺は……俺は知っている、と言うか子供の頃に出会ってる。
あの着ぐるみの言ってる事が本当なら、この人は、このゆるぅい雰囲気を持つ人は……アヤネの母さんだ!
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