どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

309

「わぁぁっ、でっかいお風呂ですよぉ」

さて、どうしたものか。
わらわは湯船につかり考える。
目の前でわいわい騒いでおるシズハ、さっきまでの話しを聞くと……なんとアヤネの母だと言うではないか。

母にしては言動がアホじゃし、にわかには信じられん。
じゃが、嘘ではないらしい……こんなのが親で良いのかのぅ。

 と、そんな事はどうでも良いのじゃ。
問題はそのシズハが今もこの場にいると言う事じゃ!

わらわはてっきり直ぐに帰ると思っておった。
しかしじゃ……「ハロウィン楽しみだからぁ、それまでいまぁす」とか言いおった!

なんで貴様が参加する気でいるんじゃぁぁっ、と激しく言ってやったが「えへへへぇ」と笑う始末。
もう、なんと言うか……なんて言えば良いか分からんかった。

でじゃ、時が経って夕食。
図々しくもシズハは「お手伝いするからぁ、一緒にたべまぁす」とか言って鬼騎の手伝いをしおった。

鬼騎は驚いておったよ。
で……その料理の腕なんじゃが、流石アヤネの母と言うべきか……なんとも形容しがたい物が出来てしまった。

最早、あれを料理と言って良いのかすら分からん物……皆はそれをひきつった顔をしながら食べておったよ。
じゃが、鬼騎が別の料理をつくっとたから事なきを得た、助かったぞ鬼騎……今お主はおらぬが改めてこの場で感謝する、ありがとう。

あぁそう言えば、その場にはラキュが居なかったのぅ。
珍しいのじゃ、夕食時は必ず現れると言うのに。

まぁ……そんな事は置いといてじゃ、その夕食が済んでその後に「お風呂入りまぁすぅ」と言いおった。

お主、本当に大人か? もしや貴様……ダメな大人じゃな? なんて疑問を抱いてる内にシズハは、てててぇと掛けて行きおった。

一応止めたぞ? 「ふざけた事をいうでないわ!」と言ったぞ?
しかし、それも通じず今に至る……。
因にヴァームもこの場におらぬ、なんか「衣装を作るので少し引きこもります」とか言って自分の部屋におる。

あの時のヴァームは顔がニヤけておったよ、あの顔をした時のヴァームはとても気分が良い時じゃ。
これは、ハロウィンの衣装は期待以上の物が出来そうじゃのぅ。

「はふぅ……気持ちいぃですぅ。しぃ君も入れば良いのにぃ」

ふんっ、一緒に入らせてたまるか。
今回に限ってはシルクには「今日は一緒に入らぬ」と言った。

シズハが居らねば問答無用で一緒に入ると言うのぃ……。

くぅぅぅぅっ、ものっすごい不服じゃぁ! じゃがこうでもせぬとシズハの奴はアヤネ以上にシルクにベタベタくっつくからのぅ。

それは見ていて腹立つ、それにあのシズハのたゆんたゆんの胸……あれはメェクラスのおっぱい。
あんなもの押し付けられたら……ここら辺が血の海と化すじゃろう。

それに今は裸じゃからな、生乳接触の破壊力は凄まじい……わらわはそらを利用してイチャイチャしようと思っとったのに……シズハのせいで計画がおじゃんになったのじゃ!

早く帰れ! 少しは良い奴かもと思ったが今はそうは思わんからな? 貴様はアヤネと同様の邪魔者じゃ!

「うん、私もそう思う。ロア……なんであんな事言ったの?」
「変な虫がつかん様にする為じゃ」
「変な虫?」

こやつ、なんの事か分かっておらんな?
それにアヤネよ、貴様はこの状況でも一緒に入りたいと思っておったのか。
ぶれんやつじゃのぅ、そう言う所だけ見習わないといかんのぅ。

なんて思っておったら、シズハが静かになったのぅ、さっきまであんなにはしゃいでおったのに。

ちゃぷんっ……。
ん? アヤネが隣に来おった、ちらっと見ると……ふぅっと言いながら汗を拭っておった。

「ちょっと良い?」
「……相変わらず突然じゃな、まぁ別に構わんよ」
「そう、じゃぁ言うね」

むぅ……やけにじぃっと見てきおるなぁ、なんか気になる視線じゃな。

「負けないよ」

そんな視線を感じておったら、熱い意思を感じる事を話してきた。
負けない……か、何に対して負けないかは、まぁ予想はつくのぅ。

「くふふふ、これまた不意に宣戦布告してきたのぅ。わらわも負けるつもりはないぞ?」

ふっ、と笑って言ってやるとアヤネは睨んできた。

「なになにぃ、喧嘩ぁ? ダメだよぉ、仲良くしなきゃダメぇ」

バチバチと火花が散っておったら、水をさすシズハ。
……まぁ今風呂に入っておるんじゃし、よしとするかの。

しかし……アヤネの今の言葉、何かやらかしそうな予兆的な物を感じる。
これは気のせいか? まぁ……考えても分からんから警戒だけはしておこう。

そして、ハロウィンの事もしっかりせんといかんのぅ、それにシルクとイチャつくのも忘れてはいかん。
やれやれ……やる事は沢山じゃなぁ。

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