どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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最近、僕は悩んでる。
悩む質じゃないと自分でも思ってるんだけど、深く悩んでしまっている。

そのせいなのか知らないけど、最近上の空だなぁって自分でも思ってる。
いっつもぽけぇってしてて、皆は「変だなぁ」って思ってるんじゃないかな?

シルク君なんかは「どうしたんだ? 心配だ」とか思ってるんじゃないかな?

そんな事を考えながら、外を歩いてる。
そう言えば、朝食の時に不審者がどうのとか言ってたけど……大丈夫かな? もし現れたとしたら、その人に「なんで此処に来たの?」と言いたいね。
不審者が、わざわざ魔王城に来るなんて余程の暇人かなにかに違いないよ。

とまぁ、それはおいといて……僕が何に悩んでるのか気になるよね? それは……って、あっ。

「……悩んでたらこんな所に来ちゃったなぁ」

周りを見て気付いた。
ここは城下町地下じゃないか……。

いつ来ても上は夜空、歩くのはホラーな魔物達。
どうやら今日も元気そうだ、話してたり商売してたりしてる。

って、あ……数人の男の魔物が僕を見たね。
で、顔を赤くしたね……なんで顔を紅くしたのか知らないけど、とても不愉快な気持ちになったよ。

って、そんな事はすっごくどうでも良いんだ……。
はぁ、別に来る予定なんて無かったのなぁ。
お陰で不機嫌になったよ……。

どうやら考え事をしてたら、ついここに足を運んじゃったみたいだね。

って、いやいや待ってよ。
ここに来る為には下に落ちなきゃ行けない……と言う事は、無意識で下に降りたって事だよね?

うわっ、こわ……どんだけ悩んでたんだよ僕は。
下に落ちた事に気づかなかったの? 良く無事に着地出来たね。
無事に着地したとしても、魔物じゃなかったら死んでたよ?

よし、今度から考え事しながら歩くのはよそう。

「まぁ……でも、少しここを歩くのも良いかも知れないね」

今は気持ちがもやもやしてる、それが少しだけでも晴らす為にね。
と言う事で歩こう……と言っても何処へ行く?
裏通り? それとも表通りをあるこうか……あるいはあまり知られてない道を歩くのも良いかもね。

と言っても、そんな道知らないけどね……ここはクーに会いに行く時にしか行かないからね。
そんな道知らないよ、でも表通りなら詳しいよ。

「……どうしようか」

立ち止まって腕を組んで考えてみる。
このまま決まらなかったら帰ろう、用は無かったからね。

それと、本音を言ってしまえば……今まさによだれ垂らして変態的な視線を向けてくる此処からとっとと出ていきたい。

無意識とはいえ此処に来たんだから歩こうかな、とか思ったけど……帰ろう、帰って自分の部屋でじっとしておこう。

よしっ、そうと決まったら早く帰ろう……。

「ラキュ君?」

ん? 後ろから声がした。
振り返ってみると……最近あったクータンがいた。
今日も、いつもの服である、黒いローブを着ている。
手にはトートバックを持っている、それには野菜だとか果物だとか調味料もろもろが入ってる。

「クーか、妙な所で会ったね」
「そっそう……だね」

カボチャの被り物をぐっと持ちながら頷く。
まさか会うとは思わなかったなぁ……だってクーは、家に出るのは珍しい事だからね。

「あの……どっどうしてここへ来た……の?」

人目が気になるのか、やたらキョロキョロしてるクー。
人見知りで話ベタだから外に出たからないんだけど……流石に冷蔵庫に食材が少なくなったら出てくるみたいだ。
後、雨の日とかも出てくるらしいよ、そんな話クーから聞いた事があるよ。

「あぁ、えと……考えてたら此処に来てたんだよ」
「へ?」

間の抜けた声が出た。
そりゃそうか、理由が理由だしね……。

「えっえと……え?」

あ、理解出来ないのか困惑してる、すっごいあたふたしてるよ。
被り物の中の顔はきっと真っ赤なんだろうなぁ……。

「まぁ、そんな訳だからこれから帰る所なんだけど……荷物重そうだね、持とうか?」
「へ? あっ、えっ……うぅっ、えと、だだっ大丈夫!」

ぶんぶん首を振るクー、これ絶対遠慮してるよね?
だって、腕ぷるぷるしてるもの。

「遠慮しなくて良いよ、ほら行くよ」

そう言って、クーのトートバックを強引に取る。
うぉっ、予想以上に重いね……凄く買い込んだんだね。

ずしっと来る重さだ、だけどそのままクーの家へと歩き出す。

「あっ、まっ待ってくださいぃっ!」

そしたらクーが慌てて着いてきた。
まったく、友達なんだから遠慮しなくて良いのに……ま、それが彼女の個性なんだけどね。

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