どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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と、考えていたんだけど……。

「ふたりとも煩い。静かにしないとクーちゃんが泣いちゃう」
「なっ泣かないですよっ、あっあたいっ、ネガティブカボチャですけど、泣き虫じゃ、なっないですぅっ!」

アヤネが先に止めた。
で、クーが突っ込んだ……ナイス突っ込みだね、でも、ネガティブカボチャってなに?

「むっ……そっそうじゃな、一旦落ち着くとするのじゃ」
「申し訳ありません、クータンさん」

あ、静かになったね。
……流石に、他人の家では自重するんだね、そう言う気配りが出来るなら、普段もちゃんとしてほしい物だよ。

「……ラキュ様? 何か言いたそうな顔をしていますが、どうなさいました?」

おっと、妙な事を考えてたらヴァームに悟られてしまう。

「なんでもないよ、気のせいじゃない?」
「そうですか」

ここは、冷静にポーカーフェイスで誤魔化そう。
……うん、上手く誤魔化せたみたいだね、にこっと笑って紅茶を飲み始めたよ。

と、落ち着いた所でそろそろ話を切り出そうかな?

「ねぇ。聞いても良いかな?」
「ラキュよ。お前が言わんとしてる事はわらわにはお見通しだ! それを当ててやろう」

フォークでシフォンケーキをぷすんっと刺し、ぱくりと食べる姉上。
誇らしげに僕を見てる、えと……これは乗った方が良いのかな?
乗らないと、「ノリの悪い奴めっ!」とまた喚き倒して煩いからのってあげようか。

「うん、当ててみて」

棒読みにならない様に気を付けつつ言った。
そしたら、むんっと胸をはってシフォンケーキをぱくりと食べて口をもきゅもきゅさせる。

……え? 言わないの? なんでそこで食べるの? あっ、紅茶を飲んだね。
ティーカップを置いた、どうやら今から言うみたいだ。
全く、言うならすっと言いなよ。

「ズバリっ、なぜわらわが此処にいるか……じゃろ?」

どやっ、と言わんばかりにキメ顔をする姉上。
それを僕は、優しい視線で見てあげた。
アヤネの方は、シフォンケーキと紅茶に夢中みたいで話を聞いていない。

ヴァームは笑顔のまま静かに座ってる。
クーは、「あぅあぅ」言いながらかくかく震えてる。

えぇと……なにこれ、どう反応すれば良いの? 取り合えず正解だから正解って言えば良いのかな?

「あぁうん……そうだよ、良くわかったね」
「おぅ、偉く間の空いた返答じゃな……まぁそれは良い、なにせ正解したからのぅ」

ソファーに深く腰掛け踏んどりかえる、うわぁ……あんな誰もが簡単に予想できる問題を当ててここまで偉そうに出来るなんて……姉上はある意味凄い魔物だね。
なんて事は言わずに「うん、凄い凄い」と言ってあげる。

そしたら姉上は照れたのか顔を赤くさせ、頭をかりかりかく。
そして、アヤネに視線を向けて。

「どうじゃアヤネよ、わらわの予想が的中した所を見たじゃろ? 凄いじゃろ? とてもお前には出来んじゃろ」

自慢した。
子供だなぁ……あっ、いけない失礼な事を思ってしまった。
えと、この場合は……うん、やっぱり子供だなぁと思う事にしよう。

「んぁ? にゃにかいっは?」

と、自己解決してたら、首をかくっと傾けてアヤネが話した。
口にはシフォンケーキがいっぱい入ってるから、何言ってるか分からない。

もきゅもきゅと口を動かし、ごくんっと飲み込み再び話した。

「何か言った? 私、今までケーキに夢中だったから聞いてなかった」
「………いや、なんでもない」

で、まさかの聞いてなかった発言、明らか不機嫌な顔をしてそっぽを向く姉上。
自慢は失敗したね、どんまい。

「で、その答えを言って欲しいんだけど……ダメかな?」

心の中で姉上を労った後、そんな言葉をかける。
そしたらロアは僕を見て……。

「秘密じゃよ、じゃが1つだけ教えてやるのじゃ。今後やろうとしてる事でちょっとな……」

こう答えた。
そして、ティーカップに残った紅茶を飲み干してソファーから立ち上がる。
そしたらヴァームも立ち上がった。

「詳しくは後で話してやるのじゃ。クータンよ、世話になったの。ラキュ、アヤネ暗くならぬ内に帰ってくるのじゃぞ。でわの」

それだけを言って、とことこ扉の方に歩いて、姉上とヴァームは出ていってしまった。
今後やろうとしてる事? また何かするの?

全く、姉上は頑張ってるな……。
少しくらい休めばいいのに。

「……ロア、なにかしようとしてるの?」

つんつん、アヤネが僕の頬をつっついて話し掛けてきた。

「そうみたいだね、何をするのか分からないけど……変な行事じゃないと良いね」
「私は変な事でも楽しければ平気」
「あ、僕は無理。姉上がやる変な行事は僕とシルク君にとっては精神的苦痛な事が殆どだからね」

だから、今姉上の話を聞いて少しだけ胃が痛くなったよ。
……変な事じゃない事を願うしかないね。
ま、そう願って叶った覚えはないんだけどね……。

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