どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

241

魔王城では、大きな進展が起きている。

話しはがらりと代わり場所も、魔王城はから遠く離れた霧がかかる村で何かが起きていた。

「ここに我の娘が来なかったか?」

現在外は少し肌寒くなっめきた夜、家の灯りを確認し、とある体格の良い男が家を尋ねていた。

「えっ……突然尋ねて訳の分からない奴だな」

呆気に取られる村人はその人を上から下までくまなく見る。

「……あんた誰だい? えらく気品溢れる服を着てるねぇ」
「年老いてはいるが、我は騎士だ。で? 我の娘は来ているのか?」

照れ臭そうに頬をかく体格の良い人、村人は困った顔をする。

「いやぁ、あのさ……うち、あんたと初対面だし、あんたん所の娘なんて知らないんだよね」
「ふむ……そうか」

それを聞いた体格の良い男も困った顔をする。
さて、この体格の良い男だが……以前の話にも出てきている。

皆様は覚えているだろうか? 自分の娘を探していて、自分の家で迷子になるくらいの方向音痴。

そう……アヤネの父、フドウ ブレイブである。
と言うか、フドウさん? 貴方、初対面の人に「娘は来なかったか?」と良く聞けたね。

「それは困ったな、本当に困った」
「そうかい……なんだい? もしかして家出かい?」

大変だねぇ……と言いたげな顔で腕を組む、村人。
すると、フドウが眉をピクリと動かした。

「良く分かったな、貴様まさか……ストーカーか?」
「いや、こう言うのって大体予想つくからさ……って!  ストーカー!? 違うよ!」

ぶんぶんっと首を振る村人さん。
酷い言いがかりである。
必死に否定する様を見て、フドウは「ふむ」と呟き口許に指を横に当てる。

「違うのか、そうか……それはすまんかったな」

ぽりぽりと頭を掻いた後、頭を下げるフドウ。
以外と聞き分けがいい人で驚いてしまった……。

「いっいや、分かってくれたなら良いんだよ……えと、もういいかな? 夜も遅いしそろそろ寝たいんだ」
「ん、そうか……悪かったな、ゆっくり眠れ。ではおやすみなさい」

フドウはそう言って、ペコリと頭を下げた後、扉を閉める。

「……さて、歩きに歩き回ってここまで来たが、我が娘は見つからない。どうするべきか」

とことこと歩いて腕を組み、空を見上げる。
秋の夜空も星が沢山輝いている……あ、今日は三日月が出ている。

なんて綺麗なんだろう。

「……ダメだな、考えても答えはでん。ならばする事はただ1つ、ただ歩くのみだ」

と、綺麗な景色を紹介してたら、とんでも無いことを決心した。
目をカッ! と開いて堂々と言う事じゃない。

それって、ただの行き当たりばったりじゃないか! そう突っ込む人がいないので、フドウはどんどん進む。

「次は北に進んでみよう、ダメなら東だ。世界は広いが、こうやって歩き回れば何時かは見付かる。我はそうやって探し物を見付けて来た男だ」

いや、格好良い事言ってる様だけど……やっぱり行き当たりばったりだね。
だめだ、突っ込みがいないから、フドウを止める人は誰もいない。

「そうやって、シズハと言う恋人を探す事が出来た駆らな……ふはは」

あ、少しにやけた。
と言うか、自分の妻との初対面をさらっと紹介しないでほしい。

「あの時は道迷ってて、何時もの様に歩き回ってたら……シズハと出会った。あれは運命と言って良いだろう」

そっそうですか……。
って、さっきから一人言言ってるけど……大丈夫? 少し寂しかったりする?

ダッダッダッ……。
村を見渡しながら歩くフドウ、時おり立ち止まり、目を瞑って考える仕草を取り、また歩き出す。

先程からそれを繰り返している。
そして、フドウはぽつりと呟いた。

「寂しいな……」

厳つい顔をしているのに、意外と寂しがり屋だった。
だが、表情には出さずにただ歩き続ける。

この調子だと、アヤネがいる魔王城に辿り着くのに何年掛かるか分からない。
だがフドウは諦めない……彼は娘を探す為に、ただ大地を歩むのであった。

果たしてアヤネと再開する事は出来るのか? それは誰も知らない事である。

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