どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

239

アヤネさんが部屋から立ち去った後、私は腕を組んで思います。

宣戦布告でしょうか? そう言う事を言ったあと、アヤネさんが部屋から出ていきましたね……。
まぁ、あんな事言われれば怒って出ていくのは当たり前でしょうね。

「……」

ふぅ……でもまぁ、諦めて欲しいのは本心ですしね。
言ってはいけない事だとは承知していましたが……言わずにはいられなかったんですよね。

「酷いですね……私は」

そう呟いた私は、ソファに深く腰掛けます。
……さて、そろそろ良いですかね?

「そろそろ出て来てはどうですか?」

この部屋に隠れてる人に出て来て貰いましょうか。

「……あ、バレてたんだね。つまんないなぁ」

そう言って、何も無い場所から棺桶が現れます。
そこから現れたのはラキュ、ふふふ、いつからいたんでしょうね。
と言うか……久々に見ましたね、棺桶ワープ。

「ふふふ……」
「何笑ってるのさ」
「あ、気にしなくて大丈夫ですよ?」
「………ふぅん」

じとぉ……。
と、睨んでくるラキュ様、そんなラキュ様を無視して、聞きたい事を聞いて見ましょうか。

「何時からいたんですか?」
「ん? あぁ……最初からかな」

そう言ったラキュ様はゆっくりと、私の正面にあるソファに座ります。

「あら、そうなんですか?」
「そうだよ、今日は色々と変な事があったからね……気になったから怪しい人を付けたんだ」

なるほど……だから食事が済んだ後、アヤネをこっそり付けていたと……。
ですが、気になりますね。

「何故アヤネが怪しいと思ったのですか?」
「あぁ、それは話すと長くなるね……」

困った顔のラキュ様、「んー……」と唸った後、再び話始めます。

「えとね? 最初様子が可笑しかったのはシルク君だったんだよ……何か考え事してるのか、様子が変だったんだ」
「ほぉ……シルク様がですか」

……その理由は分かりませんが、気になったんですね。
では、続きを聞きましょうか。

「食事をしてる時も、アヤネをちらちら見ててさ、もしかしてアヤネと何かあったのかな? って思ったんだ」

アヤネさんがシルク様に何か相談したとなると、その反応を取るでしょうね。
シルク様は他人に優しいですからね……色々と考えてたんでしょう。

と言いますか、ラキュ様、良く他の人を観ていますよね。
他人の事に興味無さそうに見えて、一番他人を気にする魔物ひとですからしょうがないですね。

「ふふふ……」
「なっ何笑ってるのさ」
「あら、失礼しました。気にせず続けて下さい」

じとぉっと睨んでくるラキュ様に微笑むと、不信な顔をして「そう……」と呟きます。 

「ずっと気になってたからさ……気配を消して後ろから付けてみた。そしたらこの部屋に辿り着いたってわけ」
「……なるほど、そうなんですか」

その様にしてラキュ様はここに来たんですね? ふふふ、気になった事が分かってスッキリしました。
そう思ってると、ラキュ様がくすりと笑います。

「で、隠れて話を聞いてたら面白い話をしてたね……君達、メェに告白を促したんだね」
「当然聞いてますよね、えぇ……そうですよ? 私、アヤネさんに頼まれて面白そうだから強力したんですよ?」
「面白そうだから……ね。きっとメェは拒否したんだろうね」

呆れた顔のラキュ様、まぁその通りなんですが、最後にはきちんと勇気を出しましたよ。

「ふふふ、ですがメェは心も力も強いんです。きっと告白しましたよ」
「だとしたら言いたい事があるよ」

はぁ……と息を吐くラキュ様、はて? 言いたい事とは何でしょうか?

「長い間、告白を先延ばしにしてた訳だけど……他人に言われて、さっ! とするなら始めからしろよ! って言いたいよ」
「あらあら、ラキュ様もそう思いますか」

ふふふ、当然そう思いますよね。
でも、告白ってそう言うものなんでしょうね。

「……メェの事もそうなんだけど、脳筋はどうしてるのか気になるよ」

と、考えてた時です。
ふと物思いにふけた顔でそんな事を言います。

「鬼騎がどうかしたんですか?」
「ん、あぁ……ちょっとね、色々あってね」

含みのある言い方ですね。
気になりますが……長くなりそうですし、話すのは遠慮しましょうか。

「はぁ……なんと言うかあれだね。明日が色んな意味で不安だよ」
「あぁ、ラキュ様もそう思いますか」
「うん、そんな早くは進展しないと思うけど……そうなったとしたら……どうなるんだろうね?」

言い終わった後、ラキュ様は苦笑しました。
そうですね……もし明日、イチャイチャする様を見せ付けられたら色々と気まずいですよね。

もしくは、告白が大失敗して、そんが原因で暗い雰囲気を出されたとしたら、もう気まずい所の騒ぎじゃありません。

「まっ、それは明日にならないと分からないから、今は考えないとして……」

ぱんっ!
突然手を叩くラキュ様、少し驚きました。
目を見開いてラキュ様を見ると、真剣な表情かおで私を見てきます。

「アヤネに姉上の事言ったんだね」

……。
そのラキュ様の声音は低く冷たさを感じた。

「……えぇ、言いましたね」
「って、聞くまでもないか……ずっと聞いてたんだし、間違いはないか」

冷静に答えた後、ラキュ様は目を細めて私を見てきます。
そして、足を組んで再び話始めます。

「……なんであんな事言ったの?」
「あんな事とは、何の事でしょう?」
「へぇ、しらを切るんだ……。分かってる癖に」

くふふ……。
不適に笑うラキュ様は、バンッ! とテーブルを叩きます。

「少し話しに付き合ってくれるかな?」
「えぇ、気が済むまでお付き合いしますよ?」

私がそう答えた後、ラキュ様は明らかに怒りを露にしました。
どうやら怒らせてしまった様ですね……でしたら徹底的に話し合うべきですね。

明日、ギスギスした雰囲気にならないように……ね。

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