どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

236

今まさに、鬼騎がニヤた顔をメェに見せつけながら気絶した頃……。

メェに告白させる発端を作り出した2人はこんな事をしていた。


「むぅちゃんの部屋、来るのを初めてかも」
「ふふ、そうですね。私も人を呼んだのは初めてです」

ここは、むぅちゃんの部屋、あの後、赤鬼さんの部屋でご飯を食べ終わった後、シルクとお風呂に入って楽しんだ後、むぅちゃんと話したい事があるからシルクと別れてむぅちゃんを探し当てその事を話したら、この部屋に招待されたの。

他人の部屋に入るのって、なんかどきどきする。
でも、シルクの部屋に比べたら、そんなにどきどきはしない。

と……そんな事は置いておいて、折角だから部屋の紹介をするよ。
むぅちゃんの部屋は、意外と普通の感じ。
服が好きだから、てっきり自分の部屋も服ばかり置いてる物だと思ったけど……そんな事は無かった。
普通に、本棚やクローゼットが置いてある部屋だ。

「さぁ、御掛け下さい」

そう言われて、部屋の中央にある、ソファに座る。
うん、ふかふか……疲れてたら此処で寝ちゃいそう。

そんな事を思ってると、むぅちゃんは私の対面にあるソファに座わった。

「ふふふ……随分リラックスした顔をするのですね」
「うん、やる事やったから」

メェちゃんは、しっかりと勇気つけた。
好きな人がいるのに、告白しないのはダメな事だから背中を押したけど……どうなのかな?

昨日をどうだったか聞いて、ダメだったらまた勇気付けよう。

「そうですか」
「うん」

ふぅ……。
息を吐くむぅちゃんは、頬に手を当てる、何か考えてる様な顔だ、何を考えてるのかな?

「驚きですね」
「……ん?」

えと、何に対して驚いてるの? 私、よくわかんない。
首を傾げてると、苦笑するむぅちゃん。

「あぁ……申し訳ないです。メェがあんな事を言ったのが驚きって事です」
「どゆこと?」

謝るむぅちゃんだけど、私はまだ、何の事を言ってるか分かんない。

「メェが私の衣装部屋を出る前に行った言葉、あれだけの言葉を言えたのに、何故今の今まで告白しなかったかが驚きと言う事です。分かりましたか?」

ふむ……優しい口調でいってくれたね。
そう言われたら何とか分かるかも、少し考えて見よう。

目を瞑り、顎に手を当てて考えてみる。
そしたら、これかな? と言うものが頭に過った。
んー……もしかしてあの事かな?

「えと、メェはありのままの姿できぃ君にぶつかって見るですよ! って言葉の事?」
「そう、まさにそれです」

びしっ……。
指を指して言ってくる、むぅちゃん。
そか、この事か……当たってて良かった。

私もあの言葉に驚いたよ。
背中を押す様な言葉を行ったけど……あんなに目の色を変えて、あんな台詞を言うとは思わなかった。

もっと言葉を掛けないとダメかな? と思ったけど……案外すんなりと勇気を出してくれた。
なんか拍子抜けって感じ……むぅちゃんの言う通り、それなら直ぐに勇気を出して言えば良かったのに。

「勇気と言う物は良く分かりませんね。言おう言おうと思って言えなくても、他人から言われれば急に勇気を出して言えてしまうと言う事……良くあると思います」
「言ってる意味半分わかんないけど……多分そうなんじゃない?」

でも、勇気を出したのなら私は嬉しい。
メェちゃん、上手く行ってるかな?

「ふふふ、アヤネさんは正直者ですね」
「うん、人間正直が一番だよ。嘘は適度につくのが一番だよ」
「あらあら、正直者なのに嘘は適度につくのですね?」
「人間ってそう言うものだよ」

笑い合う私とむぅちゃん、するとむぅちゃんは顔付きを変えて、私の顔を見てきた。

なんだろ、そんなに見られると恥ずかしい。

「アヤネさんからメェの事を話された時、面白そうだと思って乗りましたが……複雑な気分になりました」
「そうなんだ」

複雑な気分……。
なんで、そんな気分になるか分かんないけど、頷いておこう。

「告白する勇気はふとした切っ掛けですんなりと出る物なんですね、そうなると……」

あっ、更に見つめてきた。
しかも何か言い掛けてたのに止めちゃった。
そう言うの気になるから、しちゃダメだよ?

「……少しあれな気がしますが、言ってしまいましょうか」

???
ぶつぶつ言ってる……凄い気になる。
むぅちゃんは、さっきから変だ。

……なんか、気になってきた。
声掛けてみよっかな?
そう思っていると、むぅちんが話し掛けてきた。

「アヤネさん、突然ですが……自分の事を置いて、他人を気に掛けるのもそう言う物なのでしょうか?」
「っ!」


どきっとした。
むぅちゃんは微笑してる。
なっなんの事を言ってるんだろ? 

「アヤネさんはシルク様の事を想ってますよね?」

うん、それはあってる。
私は黙って頷いた。

「ですが、シルク様が好きなのは……一応ロア様です」

それは、らっ君に聞いた。
……って、ん? 一応? それ、どう言う事?

「後からやって来たアヤネさんは圧倒的不利だと言うのに……随分と余裕がありますね?」

ふふっと、不適に笑うむぅちゃん。
空気がピリッとした。
ちょっと、むっとした……ムカついたからキツい言葉を掛けてやろ。

「何が言いたいの?」

睨みながらむぅちゃんに言ってみると、くすっと笑ってこう言ってきた。

「先程行った通りです。アヤネさんは随分と余裕があるそうですね。ロア様の方が圧倒的に有利だと言うのに」

……ぷちんっ。
私の中で何かがキレた、顔に熱が籠ってくのが分かる。
気がついたら、ソファから立ち上がって、むぅちゃんを見下ろしてた。

「意味わかんない事言わないで」 
「……申し訳ありません、少し思う所があって突っ掛かってしまいました。謝ります」

凄む私に対して、むぅちゃんは立ち上がって、頭を下げて謝ってきた。

謝ってもダメ、そんなんじゃ私は納得しない。
だからか、ダンッ! とソファ側にあるテーブルを手で強く叩いた。

「謝るなら……さっき言った事を説明して、じゃないと殴る」

頭を上げるむぅちゃんは、また笑った。

「あらあら、怖いですね……それは本気ですか?」
「嘘は言ってない」
「そうですか……」

困りましたねぇ……。
そう呟いて、頬を掻くむぅちゃん。
いきなり、私を怒らせる事を言ったむぅちゃん……なんでそんな事を言ったのか気になる。
それと、私よりロアの方が有利な理由を聞きたい。

「分かりました。私もいきなり突っ掛かってしまいましたらね……謝罪の意味を込めてお話しましょう」

目を見開く私……むぅちゃんの言葉を聞いて、私はどきどきしてる。
……何を言うんだろ? 気になりつつも、私はまたソファに座った。

「ですが……宜しいのですか?」
「なにが?」

私が座ったのを見て、むぅちゃんもソファに座る。
宜しいも何も、私は早く聞きたい気分、早く話して欲しい。

「まぁ良いでしょう。いつかはお願いするつもりでいましたし……話しましょう、それは、随分昔の事です」

一瞬、険しい顔をしたむぅちゃんは、そう言って話始めた。
私はそれを黙って聞いて行く……それを聞き終わった時、驚いて、暫く何も言えなくなるのは、この時の私はまだ知らない。

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