どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
189
「……と言う事があったんじゃよ、くははははは」
ロアの話しは乾いた笑いで終わった。
えと、その話について色々突っ込みたいんだが……ダメか? まぁダメだろうな。
「なるほど、そう言う事があったんですか」
ロアの話を聞き終わったヴァームは腕を組んで、うんうん頷いてる。
どこに納得し何が分かったのか? 良く分からないが……ヴァームからまだ怒気の様な物を感じるので恐い。
「確認ですが、嘘はついていませんよね?」
「つっついておらぬ! わらわは真実しか話していない! しょっ証拠ならあるのじゃ!」
嘘……まぁ疑うのは無理もないよな、だって信憑性ないもんな。
するとロアは慌てて指をパチンと鳴らす、そしたら何も無い所から服が1着落ちてきた。
これは見覚えがある、俺が普段着てた服だ、だがそれは女性物に仕立てられてしまった。
ロアの話では、汚れて上に破けてると言ったが……本当だ、破けてるし汚れてる、この汚れは……何かのソースっぽいな。
「な? 汚れておるじゃろう? 言っておくがわらわが汚したんじゃないからな、疑うでないぞ」
ロアはそれを持ってヴァームに見せ付ける。
するとヴァームは目を細めてくすりと笑う、うぉ……なんか恐い。
「ふふふ、どうやら言ってる事は本当のようですね……」
「うっうむ、わらわは嘘はあまりつかんぞ」
そこはつかないとハッキリ言った方が良いぞ、と言うか、ボケをいれる余裕があるんだな……俺だったら無理だ。
「まぁこの場で嘘をつく理由はありませんからね」
はぁ……、大きなため息をはいてロアから服を受け取る。
あっ、今気付いたが、汚されたあの服はヴァームの作った服だと言うが元を正せばあれは俺の服の服だ。
つまり、俺の服が誰かに汚されたって事になるよな。
まぁ……別の意味で俺の服は汚されちゃってるけどな。
「どしたの、なんか暗い顔してる」
「いや、気にするな……もう過ぎた事だ」
隣にいるアヤネが心配そうに聞いてくるから遠い目をして答える。
「ロア様」
「はっはひ」
そんな感傷に浸ってるとヴァームが強い口調で言い放つ。
身体をビクンとさせ姿勢を正すロア、伏せ目でヴァームを見つめる。
「考えすぎです」
「ほっほえ?」
かっ考えすぎ? その言葉にロアは疑問を浮かべる。
いやロアだけじゃない、この部屋にいる全員が疑問を浮かべた。
「確かに服を汚されのは腹立たしい事ですが……星をまるごと破壊する程怒りません」
キッパリ言い放つヴァーム、いや……すまないが、それは信じれない。
さっきから怒る様子を見てると、ロアが言った様に怒りに任せて星1つを破壊する雰囲気が出てた。
それにヴァームはそれが可能だと思うんだ、だって隕石破壊できるからな。
だが考えすぎか、真面目な顔で本人が言うんだからそうなんだろう。
「流石の私でも、汚した人の存在自体をこの世から消す程度に抑えます」
……うん、星消すより怖いな。
しかも真顔で言ってるから余計怖い、その恐怖で場が凍り付いてるよ。
「ひっ、はっはわわわわっ」
近くで聞いてたロアは座ったままずりずりと後ろへ下がる。
分かる、分かるぞ、あんな事を近くで聞いたらそう言う対応をする。
と、その時だ、ヴァームがいきなり笑顔になり、パンっと手を叩く。
「と、そんな事はどうでも良いのです」
皆はビックリする、ロアも驚いて動きを止める、そんなロアに手を差し出すヴァーム。
「本当の事が分かってスッキリしました」
「っ、んっんう?」
なにをどうすれば良いか分からない表情でヴァームを見るロア、激しく躊躇しつつもヴァームの手を握る。
すると、ヴァームはそのままロアを立ち上がらせる。
その後、手を離して頭を下げる。
「申し訳ありません、てっきり全てロア様がやった事だと思ってました」
頭を下げたままの謝罪、その様子を見てロアは動揺した、だが直ぐに表情を引き締める。
「うっうむ、分かってくれればよいのじゃ、わらわも……その、ハッキリ言えば良かったの、申し訳ないのじゃ」
そして頭を下げた。
どうやら丸く収まりそうだ、良かった……ずっとこのままあの修羅場が続くのかとドキドキしたが、やっと終わるのか。
あぁ疲れた……ほっと一息ついて安堵する皆、ロアとヴァームは頭を上げてお互い見つめ合う。
「ふふふ、あれだけしばき倒したのにすんなりと許してくれるのですね?」
「バカを言うな、そうじゃな……シルクにとびきり可愛い服をプレゼントすると言う事で許してやろう」
「了解しました」
「いや、了解するなよ!」
思わず口に出てしまった。
コイツ等、微笑ましく仲直りしてるなぁと思ったらとんでも無いことを言ったぞ! これじゃ丸く収まってない! 俺だけ被害が出てるぞ!
「ふふ、ではロア様には……そうですね、1日シルク様を着せ替え人形にして良い権限を下さい」
「無視か!」
「よかろう」
「良くないっ、人の話をきけぇぇぇ!」
俺の叫びは虚しくこだました。
するとラキュが「まぁまぁ」と言って俺を落ち着かせてくる、いや……まぁまぁじゃないよ、こっちに被害が出てるんだよ! お前も止めてくれよ!
なんて事をしてたら皆の表情に笑いが出て来た。
ギスギスした空気は完全に取り払われたのだ、俺だけギスギスしたままだけどな……。
「つうことはよ、話しは終わったんだな?」
と、ここで鬼騎が口を開いた、それに応じる様にメェも「そうです、もう帰って良いです?」と言ってくる。
するとヴァームは皆の方を向いてこう言ってくる。
「あっ、待ってください……皆様にはして欲しい事があるのです」
あっ、そう言えばそんな事を最初に言ってた気がする。
さて、なんだろう?
ヴァームは俺達に汚れた服を見せ付けながら喋り出す。
「皆様には服を汚した犯人を見付けて欲しいのです、あっ、急ぐ事はありませんよ?  では、解散! うふふふふふ」
その言葉に深い怒りを感じた。
……急ぐ事はないか、そう言うのなら笑顔で威圧しないでくれ、普通に恐い。
皆は震えながら頷いて部屋を後にした、今後は犯人探しの事でまた騒ぎになりそうだな……。
と、そんなこんなでヴァームド怒り事件は閉幕した。
だが、俺達は気付いていなかった、魔王城で起きている異変についてを。
ロアの話しは乾いた笑いで終わった。
えと、その話について色々突っ込みたいんだが……ダメか? まぁダメだろうな。
「なるほど、そう言う事があったんですか」
ロアの話を聞き終わったヴァームは腕を組んで、うんうん頷いてる。
どこに納得し何が分かったのか? 良く分からないが……ヴァームからまだ怒気の様な物を感じるので恐い。
「確認ですが、嘘はついていませんよね?」
「つっついておらぬ! わらわは真実しか話していない! しょっ証拠ならあるのじゃ!」
嘘……まぁ疑うのは無理もないよな、だって信憑性ないもんな。
するとロアは慌てて指をパチンと鳴らす、そしたら何も無い所から服が1着落ちてきた。
これは見覚えがある、俺が普段着てた服だ、だがそれは女性物に仕立てられてしまった。
ロアの話では、汚れて上に破けてると言ったが……本当だ、破けてるし汚れてる、この汚れは……何かのソースっぽいな。
「な? 汚れておるじゃろう? 言っておくがわらわが汚したんじゃないからな、疑うでないぞ」
ロアはそれを持ってヴァームに見せ付ける。
するとヴァームは目を細めてくすりと笑う、うぉ……なんか恐い。
「ふふふ、どうやら言ってる事は本当のようですね……」
「うっうむ、わらわは嘘はあまりつかんぞ」
そこはつかないとハッキリ言った方が良いぞ、と言うか、ボケをいれる余裕があるんだな……俺だったら無理だ。
「まぁこの場で嘘をつく理由はありませんからね」
はぁ……、大きなため息をはいてロアから服を受け取る。
あっ、今気付いたが、汚されたあの服はヴァームの作った服だと言うが元を正せばあれは俺の服の服だ。
つまり、俺の服が誰かに汚されたって事になるよな。
まぁ……別の意味で俺の服は汚されちゃってるけどな。
「どしたの、なんか暗い顔してる」
「いや、気にするな……もう過ぎた事だ」
隣にいるアヤネが心配そうに聞いてくるから遠い目をして答える。
「ロア様」
「はっはひ」
そんな感傷に浸ってるとヴァームが強い口調で言い放つ。
身体をビクンとさせ姿勢を正すロア、伏せ目でヴァームを見つめる。
「考えすぎです」
「ほっほえ?」
かっ考えすぎ? その言葉にロアは疑問を浮かべる。
いやロアだけじゃない、この部屋にいる全員が疑問を浮かべた。
「確かに服を汚されのは腹立たしい事ですが……星をまるごと破壊する程怒りません」
キッパリ言い放つヴァーム、いや……すまないが、それは信じれない。
さっきから怒る様子を見てると、ロアが言った様に怒りに任せて星1つを破壊する雰囲気が出てた。
それにヴァームはそれが可能だと思うんだ、だって隕石破壊できるからな。
だが考えすぎか、真面目な顔で本人が言うんだからそうなんだろう。
「流石の私でも、汚した人の存在自体をこの世から消す程度に抑えます」
……うん、星消すより怖いな。
しかも真顔で言ってるから余計怖い、その恐怖で場が凍り付いてるよ。
「ひっ、はっはわわわわっ」
近くで聞いてたロアは座ったままずりずりと後ろへ下がる。
分かる、分かるぞ、あんな事を近くで聞いたらそう言う対応をする。
と、その時だ、ヴァームがいきなり笑顔になり、パンっと手を叩く。
「と、そんな事はどうでも良いのです」
皆はビックリする、ロアも驚いて動きを止める、そんなロアに手を差し出すヴァーム。
「本当の事が分かってスッキリしました」
「っ、んっんう?」
なにをどうすれば良いか分からない表情でヴァームを見るロア、激しく躊躇しつつもヴァームの手を握る。
すると、ヴァームはそのままロアを立ち上がらせる。
その後、手を離して頭を下げる。
「申し訳ありません、てっきり全てロア様がやった事だと思ってました」
頭を下げたままの謝罪、その様子を見てロアは動揺した、だが直ぐに表情を引き締める。
「うっうむ、分かってくれればよいのじゃ、わらわも……その、ハッキリ言えば良かったの、申し訳ないのじゃ」
そして頭を下げた。
どうやら丸く収まりそうだ、良かった……ずっとこのままあの修羅場が続くのかとドキドキしたが、やっと終わるのか。
あぁ疲れた……ほっと一息ついて安堵する皆、ロアとヴァームは頭を上げてお互い見つめ合う。
「ふふふ、あれだけしばき倒したのにすんなりと許してくれるのですね?」
「バカを言うな、そうじゃな……シルクにとびきり可愛い服をプレゼントすると言う事で許してやろう」
「了解しました」
「いや、了解するなよ!」
思わず口に出てしまった。
コイツ等、微笑ましく仲直りしてるなぁと思ったらとんでも無いことを言ったぞ! これじゃ丸く収まってない! 俺だけ被害が出てるぞ!
「ふふ、ではロア様には……そうですね、1日シルク様を着せ替え人形にして良い権限を下さい」
「無視か!」
「よかろう」
「良くないっ、人の話をきけぇぇぇ!」
俺の叫びは虚しくこだました。
するとラキュが「まぁまぁ」と言って俺を落ち着かせてくる、いや……まぁまぁじゃないよ、こっちに被害が出てるんだよ! お前も止めてくれよ!
なんて事をしてたら皆の表情に笑いが出て来た。
ギスギスした空気は完全に取り払われたのだ、俺だけギスギスしたままだけどな……。
「つうことはよ、話しは終わったんだな?」
と、ここで鬼騎が口を開いた、それに応じる様にメェも「そうです、もう帰って良いです?」と言ってくる。
するとヴァームは皆の方を向いてこう言ってくる。
「あっ、待ってください……皆様にはして欲しい事があるのです」
あっ、そう言えばそんな事を最初に言ってた気がする。
さて、なんだろう?
ヴァームは俺達に汚れた服を見せ付けながら喋り出す。
「皆様には服を汚した犯人を見付けて欲しいのです、あっ、急ぐ事はありませんよ?  では、解散! うふふふふふ」
その言葉に深い怒りを感じた。
……急ぐ事はないか、そう言うのなら笑顔で威圧しないでくれ、普通に恐い。
皆は震えながら頷いて部屋を後にした、今後は犯人探しの事でまた騒ぎになりそうだな……。
と、そんなこんなでヴァームド怒り事件は閉幕した。
だが、俺達は気付いていなかった、魔王城で起きている異変についてを。
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