どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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「あの……ヴァーム?」
「はい、なんでしょうか?」
「わらわは何故四つん這いになってるんじゃ?」
「ふふふ」
「え、何じゃその笑みはっ、いたぁっ!」

なぜ俺達はロアが四つん這いさせられヴァームにお尻を叩かれてるのを見ていなければいけないのだろう。

「あらあら、お仕置きにお尻をペンペンは基本中の基本でしょう?」
「え、いや……確かにそうじゃが、わらわは魔王じゃぞ? そんなわらわに向かって」

おい、今の突っ込む所だぞ、そんな基本なんて無いって突っ込む所だからな!

「姿勢を崩さないで下さい」
「あっ、はい」

立ち上がろうとしたロアを一言叱るヴァーム、それに素直に応じるロア、もう帰りたい……。

「ではロア様、今からお尻を叩きますが、何か言うことはありますか?」
「ある! ありまくるのじゃ! えとな? あの服の盗難には訳があ……」
「言い訳は止めて下さい」
「ぎゃんっ! 酷いのじゃぁぁっ!」

バッシィィン、良い音が鳴った。
言いたい事がありますか? と言ったのに関わらずヴァームは情け容赦なくロアのお尻を叩いた。
従者が主のお尻を叩くその様子は暫く続いた、叩く度にロアが「ぎゃぁっ」とか「ひゃんっ」と言う悲鳴を上げた。
その様子を見ていたラムは「羨ましいですの」と言っていた。
だったら変わってやれ、と思ったが黙っていた、だってドMが叩かれて喜ぶのを見るのは……なんか色々と痛々しいだろ?
と、そんな感じでロアへのお仕置きは続く。


「ひぃ……ひぃ……おっお尻が、お尻がぁぁぁ」
「ふふふ、お尻ペンペンはこれくらいにしておきましょうか」

終わった、やっと終わった、そう思うほどヴァームのお尻ペンペンは続いた。

「えと、終わったなら……もう俺達帰っていいか?」

ここでやっと俺が口を開いた。
皆も俺の言葉に応じる様に「そうだそうだ」と言っている、だがヴァームは俺達を見た後、首を横に振った。

「ダメです、皆様にはまだやって欲しい事がありますから」

にこっ、不適に笑った後お尻を突き出して倒れるロアの両脇に手を通して座らせる、その座らせ方は正座だった。

「ヴっヴァーム? わらわお尻叩かれてるのに、せっ正座させるのかえ?」
「そうですが何か問題でも?」
「え、あっ、その……問題無いのじゃ」

やらせたい事って何だよ……。
もうお仕置きは済んだんだからいいだろ、まさかまだお仕置きするのか? ヴァームの怒りの根は深い様だ。

「さてロア様」
「くっ……叩かれたお尻が圧迫されて、いっ痛いのじゃぁぁ」

悶えるロアを見下すヴァーム、するとロアの肩をポンっと叩き強く睨む、ロアがぶるっと震えた。

「ロア様?」
「っ、なっなんじゃ?」
「私の仕立てた服は何処にあるんですか?」

あっ、やっとその事に触れたか。
さっきからお仕置きが続いてて何時になったらそれを聞くのか気になってたんだ。

と、思ってた時だ。
ロアがそっと視線を反らした、この状況で無言を貫く気か? 止めておいた方がいいじゃないか? 言わないとまたお尻を叩かれるぞ。

「えと、そっそれなんじゃが……」
「まさか、無くした……なんて事言いませんよね?」

ギロリッーー
ロアに向けられた威圧感なのに、その部屋にいる全員に向けられた様な気がする、身体の震えが止まらない……。

「なっ無くして等おらん! じゃが……」
「じゃが、なんですか?」

冷や汗を流しつつチラチラとヴァームを見る。
とても言い辛い事なのか口をパクパクさせている、だが決心したのか真っ直ぐヴァームの方を向いてこう言いはなった。

「そっその前に話を聞いてくれんか?」

ロアは澄んだ目でヴァームを見つめる。
するとヴァームは深いため息をはいた後「構いませんよ」そう言ってロアの話を聞くことにした。
良く聞くになれたな、まだお仕置きが始まるのかと思った……。

「あっありがとなのじゃ! えと、じっ実はの……」

ペコリと一礼した後、こうしてロアは話をしていく。

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