どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
180
またまた時間と場所は変わる。
ロア達が海へ行って、すっかり夏になった魔王城城下町、主のいない城下町はいつもと変わらず賑わっていた。
だが、どこか浮かない表情をしている者がチラホラいる。
「はぁ、シルクたんとラキュたんがいない、やる気がでない……」
「早く帰ってこないかなぁ」
魔物達は虚しい顔で空を見上げる、時折ぶつぶつ呟いてはため息つく、そんな事を繰り返してる魔物もいる。
どうした、全体的に気分が墜ちているぞ?
「俺も海に行こうかなぁ」
「バカ、行った所でシルクたんとラキュたんはどこの海に行ったか分かんないだろう」
「そこはほらっ、あれだよ、匂いを辿ってだな」
「ワープしたからな、匂いは残ってないぞ」
「つまりあれか、手詰まりか」
「そうみたいだな」
「「はぁ………」」
同じタイミングでため息、相当病んでいる。
これはシルクとラキュが帰ってきたら偉いことになるだろう、そう思うとあの2人の身が心配になってくる。
と、傷心してる魔物達の間をゆっくりと歩いて行く者がいた。
その姿はカウボーイの格好をした男……とてもダンディだ。
「己は再びここに来た……なぜなら風が俺を呼んだから」
だが、妙な事を口走っている……首に巻いている焦げ茶色のスカーフが風でバタバタと靡く。
カウボーイハットを深く被り周りを見渡す変な人……クスリと笑いつつこう言った。
覚えてるだろうか? 以前の話に出てきた、神の息吹、久々の登場である。
「空気が淀んでいる、なにやら悪しき力を感じる」
淀んでいるのは貴方の言葉使いだと思うが……まぁ、そこは気にしないでおこう。
「風を感じる己としては放っておけない事だが……己はやる事がある、すまないな」
そう言って彼は颯爽と立派に建つ魔王城へと足を進めていく、なんか格好良い台詞を言って自分の世界に浸っている所悪いが、この場にいる全員が彼の事など見向きもしていない。
「ここが魔王城、風を感じる者としては1度来たかった場所だ……ふっ、血がたぎるぜ、これも風の影響か、ふふふふ」
イタイ、イタい人がいる。
で、そんなイタい自称、風を感じる人は魔王城の前まで来た。
彼はその城を見上げる……「さど恐ろしい者が住んでいるんだろう」と口ずさみ笑う。
まぁ言わせて貰うと、彼が想像している様な者はこの城にはいない。
ただハードスキンシップな魔王と、トマト大好きな魔王の弟、ドMのスライム、筋肉マッチョな鬼の料理人、マッドな羊の医者、コスプレさせるの大好きなドラゴン、魔王に誘拐された人間と、その人間を探しに来た残念でアホな人間がいるだけだ。
あぁ、忘れていた、あと1人……じゃなくて1匹いた。
「ん? 入り口の前にいるのはピンクのドレスを身に纏う女性と…………っ! 頭が3つある犬っ!」
そう、今まさに城の入り口にいる顔が3つある犬……ケルベロスだ。
って、え……隣にいる女性は誰だ?
そんな疑問が浮んだが、それに構わず神の息吹はその女性に近付く、すると……非常にのんびりした声が聞こえてきた。
「へぇそーですかぁ、主さん、お帰り遅くなるんですかぁ、大変ですねぇ」
「わんっ、わうわんっがうわぅっ」
「あぁそーですねぇ、一緒に連れてって欲しかったですよねー」
うふふぅ……と笑う非常にのんびりした雰囲気をもつ女性、目はとろーんとした形、酔った様な顔をしているが……酔っているのか?
「ばぅっ、わうわうっ! わぉんっ」
「はぁ、やっぱりさみしぃんですかぁ、だったら遊んであげましょぅか?」
と言うか、さっきから屈んでケルベロスのケールと話している様に見えるが……気のせいか?
そんな様子を見た神の息吹は微笑し「獣の声を聞く女、こちら側の人間か」と意味わからん事を言っている。
とその時だ、のんびりした女性が立ち上がって神の息吹の方を振り向く。
「私に何か様ですかぁ? 城下町にいた人ですよねぇ、気配を感じましたぁ」
また、うふふぅ……と笑う女性、神の息吹は驚いた様子で女性を見るが直ぐに睨みを返す、そして構えをとった……。
「気配を感じる……か、それが本当なら凄い事だ、貴様一体何者だ?」
「私ですかぁ、えとですねぇ、私はですねぇ、アヤネのお母さんですよぉ」
っ、知った名前が出てきた、あっアヤネのお母さんだと!?
「アヤネ? 誰だか知らんが、その母か……名前はなんと言う?」
「あっ、そぅでしたぁ……名前言わないとダメですねぇ」
ゆるーくそう言った後、女性は深々と頭を下げる。
「私ぃシズハ ブレイブと申しますぅ、はじめましてですねぇ」
言い終わった後、シズハと言う女性は顔を上げる。
にこっと笑って「よろしくねぇ」と答える……。
これが、シズハ ブレイブと神息吹ののんびりとした初対面である。
ロア達が海へ行って、すっかり夏になった魔王城城下町、主のいない城下町はいつもと変わらず賑わっていた。
だが、どこか浮かない表情をしている者がチラホラいる。
「はぁ、シルクたんとラキュたんがいない、やる気がでない……」
「早く帰ってこないかなぁ」
魔物達は虚しい顔で空を見上げる、時折ぶつぶつ呟いてはため息つく、そんな事を繰り返してる魔物もいる。
どうした、全体的に気分が墜ちているぞ?
「俺も海に行こうかなぁ」
「バカ、行った所でシルクたんとラキュたんはどこの海に行ったか分かんないだろう」
「そこはほらっ、あれだよ、匂いを辿ってだな」
「ワープしたからな、匂いは残ってないぞ」
「つまりあれか、手詰まりか」
「そうみたいだな」
「「はぁ………」」
同じタイミングでため息、相当病んでいる。
これはシルクとラキュが帰ってきたら偉いことになるだろう、そう思うとあの2人の身が心配になってくる。
と、傷心してる魔物達の間をゆっくりと歩いて行く者がいた。
その姿はカウボーイの格好をした男……とてもダンディだ。
「己は再びここに来た……なぜなら風が俺を呼んだから」
だが、妙な事を口走っている……首に巻いている焦げ茶色のスカーフが風でバタバタと靡く。
カウボーイハットを深く被り周りを見渡す変な人……クスリと笑いつつこう言った。
覚えてるだろうか? 以前の話に出てきた、神の息吹、久々の登場である。
「空気が淀んでいる、なにやら悪しき力を感じる」
淀んでいるのは貴方の言葉使いだと思うが……まぁ、そこは気にしないでおこう。
「風を感じる己としては放っておけない事だが……己はやる事がある、すまないな」
そう言って彼は颯爽と立派に建つ魔王城へと足を進めていく、なんか格好良い台詞を言って自分の世界に浸っている所悪いが、この場にいる全員が彼の事など見向きもしていない。
「ここが魔王城、風を感じる者としては1度来たかった場所だ……ふっ、血がたぎるぜ、これも風の影響か、ふふふふ」
イタイ、イタい人がいる。
で、そんなイタい自称、風を感じる人は魔王城の前まで来た。
彼はその城を見上げる……「さど恐ろしい者が住んでいるんだろう」と口ずさみ笑う。
まぁ言わせて貰うと、彼が想像している様な者はこの城にはいない。
ただハードスキンシップな魔王と、トマト大好きな魔王の弟、ドMのスライム、筋肉マッチョな鬼の料理人、マッドな羊の医者、コスプレさせるの大好きなドラゴン、魔王に誘拐された人間と、その人間を探しに来た残念でアホな人間がいるだけだ。
あぁ、忘れていた、あと1人……じゃなくて1匹いた。
「ん? 入り口の前にいるのはピンクのドレスを身に纏う女性と…………っ! 頭が3つある犬っ!」
そう、今まさに城の入り口にいる顔が3つある犬……ケルベロスだ。
って、え……隣にいる女性は誰だ?
そんな疑問が浮んだが、それに構わず神の息吹はその女性に近付く、すると……非常にのんびりした声が聞こえてきた。
「へぇそーですかぁ、主さん、お帰り遅くなるんですかぁ、大変ですねぇ」
「わんっ、わうわんっがうわぅっ」
「あぁそーですねぇ、一緒に連れてって欲しかったですよねー」
うふふぅ……と笑う非常にのんびりした雰囲気をもつ女性、目はとろーんとした形、酔った様な顔をしているが……酔っているのか?
「ばぅっ、わうわうっ! わぉんっ」
「はぁ、やっぱりさみしぃんですかぁ、だったら遊んであげましょぅか?」
と言うか、さっきから屈んでケルベロスのケールと話している様に見えるが……気のせいか?
そんな様子を見た神の息吹は微笑し「獣の声を聞く女、こちら側の人間か」と意味わからん事を言っている。
とその時だ、のんびりした女性が立ち上がって神の息吹の方を振り向く。
「私に何か様ですかぁ? 城下町にいた人ですよねぇ、気配を感じましたぁ」
また、うふふぅ……と笑う女性、神の息吹は驚いた様子で女性を見るが直ぐに睨みを返す、そして構えをとった……。
「気配を感じる……か、それが本当なら凄い事だ、貴様一体何者だ?」
「私ですかぁ、えとですねぇ、私はですねぇ、アヤネのお母さんですよぉ」
っ、知った名前が出てきた、あっアヤネのお母さんだと!?
「アヤネ? 誰だか知らんが、その母か……名前はなんと言う?」
「あっ、そぅでしたぁ……名前言わないとダメですねぇ」
ゆるーくそう言った後、女性は深々と頭を下げる。
「私ぃシズハ ブレイブと申しますぅ、はじめましてですねぇ」
言い終わった後、シズハと言う女性は顔を上げる。
にこっと笑って「よろしくねぇ」と答える……。
これが、シズハ ブレイブと神息吹ののんびりとした初対面である。
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