どうやら魔王は俺と結婚したいらしい
172
「アヤネぇ! ラキュぅっ!」
ガサッ……ガサガサッ!
草の根を掻き分けて叫ぶ、こう叫んだのも何回目だろうか? 恐らく沢山叫んでると思う。
それなのに一行に返事が無い……焦りだけがつのっていく。
「くっ……もっと奥に行かないと」
枝に服が引っ掛かり破れる……そんな事に構ってる場合じゃない、早く探し出す為に走りだそうとした。
「まっ待つのじゃシルク!」
だがそれをロアが阻止してきた、後ろから俺を羽交い締めして動きを封じる。
「離せよっ、こんな時にふざけてる場合か!」
「ふざけてなどいないっ」
暗い林にロアの叫びが木霊した……。
そしたら急に静かになる、俺は乱れる呼吸を調え真っ直ぐロアを見つめる。
「焦るのは分かるが……少し落ち着くのじゃ、もうボロボロではないか」
ロアの言葉を聞いて自分の身体を見る。
服とズボンがボロボロだ……さっきから枝を掻き分けたりしたからだろう……それに足が痛い、ずっと走り続けてたからだろうな……だが。
「ズタボロになろうが……早く探さないとダメだろ」
「そうじゃが……それでもしもの事があればアヤネとラキュ……いや、皆が悲しむじゃろ」
くっ……確かにその通りだ、ロアの言う事は正しい。
だけどアヤネは親友だ、もちろんラキュだってそうだ、だから早く見付けて助けたい。
理由は他にもある、あの2卓の時だ。
ロアとアヤネ、どっちと一緒に行きたい? そう聞かれ俺はロアと答えた。
理由は俺がたてた約束を守る為……それがあってロアを選んだ。
だが、ロアに言われた。
"その約束がなくとも、シルクはわらわを選んでくれたかえ?"
言葉につまった、何も言えなかった……。
アヤネが自分を選んでくれなくて走り去って行った光景が頭に流れた。
あの時俺は約束とかそう言うのを除外して真剣に選ぶべきじゃなかったのか? そう思ってしまった。
だが……そうなったとしたら俺は曖昧な返事をして2人を傷付けるだろう。
そんな事があって俺はアヤネを傷付けた、それでラキュにも迷惑が掛かった。
せめてもの償いで早く見付けないとダメなんだ。
「その心配は嬉しい……だが」
ロアの両肩を掴んだ、その時だ、突風が吹いた、草木を大きく靡かせ現れたのはヴァームだった。
「ヴァーム……」
「……」
驚いた様に口ずさむロアと無言で驚く俺、そんな様子を見つつメイド服を手で払いこう言った。
「こちらにいましたか……」
ふぅ……。
一息ついたあと、俺とロアに近付いてヴァームはこう言った。
「ラキュ様とアヤネさんが見付かれました……今、海の家にいます」
「っ!」
それを聞くやいな俺は走った、あちこち探してて体力が限界だったがそんなのは関係なかった……ロアが「まっ待て!」と言ったがそんな言葉を無視して林の中を走っていった。
アヤネ、ラキュっ! 怪我とかしてないよな?
心配になりつつも俺は海の家に急いだ。
頼むっ、無事でいてくれ!
「はぁ……はぁ……」
息を切らしながらたどり着いた、一旦呼吸を調え灯りが付いてる海の家に入っていく。
「アヤネっ! ラキュっ! 無事か!」
そこにはアヤネ、ラキュ、ノース……ラムがいた。
俺が来たのに気付いたのか皆は俺の方を向く、アヤネは椅子に座りながら俺を見て目を見開いた……。
「シルク……」
「っ!」
ちょこん……呆けた目で俺を見つめるアヤネにかけよる俺、言いたい事は沢山あるけどまずはこの言葉を言おう。
「無事で……良かったっ」
「うん、私は平気……っ! シルク……それどうしたの?」
アヤネは俺を指差した、えらく驚いているな……。
あっ、そう言えば身に付けてる物がボロボロになっていたな、そりゃ驚くか。
「ちょっと色々あってな……何でもないから気にするな」
「切り傷ついてるけど、平気……なの?」
切り傷? あぁ、頬についてる小さな奴か。
指摘されて痛みが出て来た、だがこんなのは放っておけば治る。
「あぁ平気だぞ?」
「シルク……」
うつむくアヤネ、もごもごと口を動かした後立ち上がり俺の元に勢い良く寄ってくる。
「迷惑かけてごめん……あと、探してくれてありがと」
ぎゅっと俺に抱き付いて弱々しく呟いた、迷惑か……アヤネが迷った原因を作ったのは俺だ……だから俺も謝らないといけない。
だが、今ここで俺が謝ったらきっとアヤネは「そんな事ない!」……そう言って悲観するに違いない、だからここは素直にこう言うことにした。
「どういたしまして」
「っ……」
アヤネの顔が紅い、何故かは知らないが……助かって泣きそうになっているんだろう。
「傷だらけになってまで……探してくれた……嬉しい」
「ん、何か言ったか?」
「何も言ってない」
? そうか、何か喋った気がするが……気のせいか。
「ラキュ、お前も無事で良かった」
「くふふふ……そうだね、お陰さまで無事だよ」
ラキュも椅子に座っていた。
苦笑しながら斜め上を見ている、ん? タキシードが濡れてるな、まさか海にでも落ちたのか?
「らっ……」
「えと、色々聞きたいと思うけどさ……取り合えず今日は寝ようよ」
言葉を遮られてしまった、だがラキュの言う通りかも知れない。
今日は色々あって疲れた、聞きたい事や言いたい事が沢山あるが……今は休む事が大切だろうな。
「賛成ですわ、軽く話を聞いただけですが、今は色々考えるよりゆっくり眠るのがベスト、皆様への報告はあたしに任せてくださいの」
そう言ったあと、ラムに「分かったらとっとと寝てくださいのっ」そう言って追い出される様に海の家から出されてしまう。
「寝ようか……」
「そうだな」
「うん」
俺達は頷き宿へと戻った。
この後、ロアも遅れて宿に戻ったのか途中で起きたら隣にロアが寝ていた……。
夜が明けて、まずする事はなんだろう、そんな事を考えて俺は眠りについた。
ガサッ……ガサガサッ!
草の根を掻き分けて叫ぶ、こう叫んだのも何回目だろうか? 恐らく沢山叫んでると思う。
それなのに一行に返事が無い……焦りだけがつのっていく。
「くっ……もっと奥に行かないと」
枝に服が引っ掛かり破れる……そんな事に構ってる場合じゃない、早く探し出す為に走りだそうとした。
「まっ待つのじゃシルク!」
だがそれをロアが阻止してきた、後ろから俺を羽交い締めして動きを封じる。
「離せよっ、こんな時にふざけてる場合か!」
「ふざけてなどいないっ」
暗い林にロアの叫びが木霊した……。
そしたら急に静かになる、俺は乱れる呼吸を調え真っ直ぐロアを見つめる。
「焦るのは分かるが……少し落ち着くのじゃ、もうボロボロではないか」
ロアの言葉を聞いて自分の身体を見る。
服とズボンがボロボロだ……さっきから枝を掻き分けたりしたからだろう……それに足が痛い、ずっと走り続けてたからだろうな……だが。
「ズタボロになろうが……早く探さないとダメだろ」
「そうじゃが……それでもしもの事があればアヤネとラキュ……いや、皆が悲しむじゃろ」
くっ……確かにその通りだ、ロアの言う事は正しい。
だけどアヤネは親友だ、もちろんラキュだってそうだ、だから早く見付けて助けたい。
理由は他にもある、あの2卓の時だ。
ロアとアヤネ、どっちと一緒に行きたい? そう聞かれ俺はロアと答えた。
理由は俺がたてた約束を守る為……それがあってロアを選んだ。
だが、ロアに言われた。
"その約束がなくとも、シルクはわらわを選んでくれたかえ?"
言葉につまった、何も言えなかった……。
アヤネが自分を選んでくれなくて走り去って行った光景が頭に流れた。
あの時俺は約束とかそう言うのを除外して真剣に選ぶべきじゃなかったのか? そう思ってしまった。
だが……そうなったとしたら俺は曖昧な返事をして2人を傷付けるだろう。
そんな事があって俺はアヤネを傷付けた、それでラキュにも迷惑が掛かった。
せめてもの償いで早く見付けないとダメなんだ。
「その心配は嬉しい……だが」
ロアの両肩を掴んだ、その時だ、突風が吹いた、草木を大きく靡かせ現れたのはヴァームだった。
「ヴァーム……」
「……」
驚いた様に口ずさむロアと無言で驚く俺、そんな様子を見つつメイド服を手で払いこう言った。
「こちらにいましたか……」
ふぅ……。
一息ついたあと、俺とロアに近付いてヴァームはこう言った。
「ラキュ様とアヤネさんが見付かれました……今、海の家にいます」
「っ!」
それを聞くやいな俺は走った、あちこち探してて体力が限界だったがそんなのは関係なかった……ロアが「まっ待て!」と言ったがそんな言葉を無視して林の中を走っていった。
アヤネ、ラキュっ! 怪我とかしてないよな?
心配になりつつも俺は海の家に急いだ。
頼むっ、無事でいてくれ!
「はぁ……はぁ……」
息を切らしながらたどり着いた、一旦呼吸を調え灯りが付いてる海の家に入っていく。
「アヤネっ! ラキュっ! 無事か!」
そこにはアヤネ、ラキュ、ノース……ラムがいた。
俺が来たのに気付いたのか皆は俺の方を向く、アヤネは椅子に座りながら俺を見て目を見開いた……。
「シルク……」
「っ!」
ちょこん……呆けた目で俺を見つめるアヤネにかけよる俺、言いたい事は沢山あるけどまずはこの言葉を言おう。
「無事で……良かったっ」
「うん、私は平気……っ! シルク……それどうしたの?」
アヤネは俺を指差した、えらく驚いているな……。
あっ、そう言えば身に付けてる物がボロボロになっていたな、そりゃ驚くか。
「ちょっと色々あってな……何でもないから気にするな」
「切り傷ついてるけど、平気……なの?」
切り傷? あぁ、頬についてる小さな奴か。
指摘されて痛みが出て来た、だがこんなのは放っておけば治る。
「あぁ平気だぞ?」
「シルク……」
うつむくアヤネ、もごもごと口を動かした後立ち上がり俺の元に勢い良く寄ってくる。
「迷惑かけてごめん……あと、探してくれてありがと」
ぎゅっと俺に抱き付いて弱々しく呟いた、迷惑か……アヤネが迷った原因を作ったのは俺だ……だから俺も謝らないといけない。
だが、今ここで俺が謝ったらきっとアヤネは「そんな事ない!」……そう言って悲観するに違いない、だからここは素直にこう言うことにした。
「どういたしまして」
「っ……」
アヤネの顔が紅い、何故かは知らないが……助かって泣きそうになっているんだろう。
「傷だらけになってまで……探してくれた……嬉しい」
「ん、何か言ったか?」
「何も言ってない」
? そうか、何か喋った気がするが……気のせいか。
「ラキュ、お前も無事で良かった」
「くふふふ……そうだね、お陰さまで無事だよ」
ラキュも椅子に座っていた。
苦笑しながら斜め上を見ている、ん? タキシードが濡れてるな、まさか海にでも落ちたのか?
「らっ……」
「えと、色々聞きたいと思うけどさ……取り合えず今日は寝ようよ」
言葉を遮られてしまった、だがラキュの言う通りかも知れない。
今日は色々あって疲れた、聞きたい事や言いたい事が沢山あるが……今は休む事が大切だろうな。
「賛成ですわ、軽く話を聞いただけですが、今は色々考えるよりゆっくり眠るのがベスト、皆様への報告はあたしに任せてくださいの」
そう言ったあと、ラムに「分かったらとっとと寝てくださいのっ」そう言って追い出される様に海の家から出されてしまう。
「寝ようか……」
「そうだな」
「うん」
俺達は頷き宿へと戻った。
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