どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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リヴァイとヴァームが帰って来たので次はメェときぃ君の番です! いやぁ……夜の林を好きな人と歩くのってロマンチックですぅ。

にひひひぃ……ざわめく木、綺麗な星々が静寂感を出してますねぇ、これメェのドキドキしてる心の鼓動がきぃ君に聞こえるんじゃないですか?

……あっ! 因みにちゃんと手は握ってるですよ? きぃ君の手は力強くておっきくて少しぷにぷにしててとても良い触り心地ですぅ。

「にひひぃ……」
「どっどどどっどうしましましたですかます?」
「何でも無いですよぉ」

つい小さく笑っちゃいました、そしたらきぃ君が心配したのかメェを見てきました。
物凄く緊張してますねぇ……そんなきぃ君が素敵です! でもきぃ君? どうしましたか? って聞いたですけど、きぃ君の方がどうした! って言いたいです。
でも……いつも通りなのでメェは気にしません!

「良い夜空ですぅ」
「そっそそっそっそうです……ね」

ガチガチと小刻みに上を向くきぃ君、相変わらずメェの前だとこうなっちゃいますねぇ……顔なんかもう真っ赤です、もう湯気が出そうな勢いです。

でもこの態度はメェを意識してるって事ですね? 違うならとんだ勘違い羊になるですが、メェはそう思ってるです!

「にひひ、きぃ君……」
「なっななっなんですかますか?」
「何でもないですよぉ」
「そっそっそうっですですか……」

にひひひぃ、あぁ……素敵ですねぇ、この挙動不審な感じ……しかもきぃ君はメェ好みの筋肉の持ち主、後々「きゃぁ! 恐いですぅ!」と言ってその大胸筋に抱き付いてやろうと思ってるです。

初めは不満しか感じなかった肝だめし、なんでメェも参加しないといけないんですか! ビーチバレーの件で嫌な思いしてるから直ぐに寝ようと思ったですが強制的に連れてかれて今に至るです……。
でも今回はロア様に感謝しないといけないです、ありがとですよロア様ぁ。


すたっすたっすたっーー
有頂天なメェは周りの景色を見るです、時折きぃ君を見て微笑んだりしてるです。
そしたらきぃ君も笑うんです、とてもぎこちない笑顔ですけど……気にしてはいけないですね。

そう言えば、きぃ君と初めて会った時もこんな感じでした……メェを見たきぃ君は、身体をびくっ! ってさせて直ぐにそっぽ向いちゃったんです。
初めは「無愛想です……」そう思ったんですが……きぃ君の料理や仕草や行動を見ていたら……いつの間にかそれが愛らしくなったです。

人に話したらきっと「変なの」って言われるですよね? でもそんなきぃ君が大好きなんです。
だって、きぃ君は格好良いんです!

少し過去を思い出したメェは表情をほっこりさせその顔をきぃ君にみせる。

「……っ!」

あっ、メェの顔を見たですけどまた直ぐに横向いちゃったです。
……その時です、メェの脳内で言葉が響き渡りました、優しく空気に溶け込む様に……ゆっくり『自分の気持ちを伝えなさい』はっきりその言葉が響いたのです。

そしたらメェは、急激に緊張してその場に立ち止まってしまった。

すると、きぃ君も足を止めてくれます。
そして「なっなにか……あっありましたかい?」そう聞いて来ました。

うっ……くっ……うぅ、なっなんですか今のは! 心の中にいるメェの気持ちの声って奴ですか? よっ余計なお世話ですよ! メェは今、きぃ君と2人きりでデートしてるんです! こっ告白なんて……。

どぎまぎするメェを不思議そうに見てくるきぃ君、いっ今はそんなに見ないで欲しいですぅ……。

「……っ」

こっここは適当に何か言葉を言って歩き始めるしかありません……。
いっいや待つです! これってもしかしなくてもチャンスじゃないですか? メェの事だからこんな時に告白しないと一生しない筈……いっ今しないと……次は無いかもしれないです! そっそんなの嫌だ!
でっでもだからと言って告白するのは……くっぐっぐぐぐぐ、どっどうすれば良いですか? どうしたらこの状況を打開出来るんです?

「えっえと、メェさん……あっあるっ歩きま……せんか? ほっほら、月が……綺麗ですますぜ?」

おっ! ナイスですきぃ君、良い感じに今の状況を誤魔化せる感じになったです! こっここは乗っからせて貰うです。

「そっそうですね……あっ歩くです! はっ早くしないと皆がしちゃうです!」

ふぅ……、メェは大きく安堵のため息をついたです。
何とか誤魔化せた……もうメェのバカ! なんであの状況であんな事思うですか! こっ告白は心の準備が必要なんです! もう少し自重しろ! 心の中で怒る私……とその時でした、何故かメェの脳内できぃ君がさっき言った言葉が響いてきました。

『えっえと、メェさん……あっあるっ歩きま……せんか? ほっほら、月が……綺麗ですますぜ?』

……はて、何故そんな事思い出しちゃったんです? 何の編鉄へんてつも無い普通の言葉ですよ? そう……何の編鉄へんてつも無い言葉……ん? ちょっちょっと待つです! 突然気にかかる事があったので先程の言葉を脳内で再生してみます。

『えっえと、メェさん……あっあるっ歩きま……せんか? ほっほら、月が……綺麗ですますぜ?』

……前半は普通、気になったのは後半です。

『ほっほら、月が……綺麗ですますぜ?』

そう、ここです……この『月が……綺麗ですますぜ?』です。

メェは思い出しました、ヴァームが持ってきた人間が書いた本の中でもそれが書いてありました……。
その時、メェの心に雷に打たれた様な衝撃を得ました。

こっここっこれって! 人間が書いた本に書いてあったです! つっ月が綺麗ですね? は……I love youって表すと! 
読んだ時は「ほえ? なんでですかね?」って思ったですが……なんか人間界では"月が綺麗ですね?"="I love you"って捉える様です。

って、それは兎も角ですよ? えっ……それをきぃ君が言った? もっもしかしてきぃ君はさりげなくメェに告白を?

…………いやいやいやいやいや! そっそんな筈ないですよ! きっと偶然です、明らかに偶然です! きぃ君はさりげなく告白するようなキャラじゃありません! 告白するなら盛大にキョドりながら目を白黒させてする筈です!
だっだから、だから顔を紅くするんじゃないですよ! あぁぁぁっ……もうっ!変に意識しちゃって歩き方が変になっちゃいました。


……メェときぃ君は2人仲良くぎこちなく歩いてスタート地点に戻りました。
そしたら、皆が変な人を見る目で見てきました……そんな目で見るんじゃないですよ! そう思ったメェはきぃ君の手を繋いだまま海の宿へと走って戻りました……。

この後メェは……恥ずかしさのあまりきぃ君の顔を暫く見れませんでした。

あっあの時、やはり告白してれば良かったです! してたらこんなに恥ずかしい事考えずに済んだのに! いっいつか……いつか必ず、きぃ君に告白してやるですよ!

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