どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

139

「ふぅ……疲れた」

現在海の宿の一室、場所は海底……窓から海の中が良く見える。
当然ながら魚が泳いでる、たまに物語でしか見掛けない人魚まーめいどが気持ち良さそうに泳いでた。
胸には貝殻のビキニをつけていた、物語のまんまだなぁ……と思ってしまった、まぁそれは良い……そろそろ宿の内装を軽く言おうか、宿の見た目からしてそうだが入り口も古き良き宿見たいな感じだ、焦げ茶色の木の床板……渋味があって俺は好きだ。
そんな事を思いつつリヴァイの案内で部屋に案内された、リヴァイ曰く部屋は和室、落ち着いた造りになっているらしい。

で、その部屋は2人部屋だ、俺達は8人、リヴァイも泊まるらしいから9人、つまり部屋は4部屋用意された、ん? それだと1人あまるな? と思っただろ? 結果はどうなったか知りたいか? 結果は……俺、ロア、アヤネが一緒に住む事になった。
どう考えても身体が休む気がしない……まぁそれはさておき、部屋の内装を言おう。
簡単に言えば和室、床は畳み、天井は焦げ茶色の木の天井、味のある丸いテーブル、窓は丸くて海の中が見える、今は夕日が照りつけていて紅かったりオレンジだったり赤のグラデーションが見えとても綺麗だ。

「うぉぉっ! シルクシルク、これっこれは人間世界にある畳みと言う物ではないか?」
「そうだな、畳みだな……俺も実際見るのは初めてだ」

部屋でピョンピョン跳ねるロア、畳みがそんなに珍しいのか……まぁ魔界には無かったんだろうな。

「シルク、これ食べて良い?」
「良いんじゃないか? ルームサービスだから……っておい! 全部食べるな!」

テーブルの上のお菓子をぱくぱく食べるアヤネ、このままだと全部食べる勢いなので制止する。

「シルクっ、わらわは風呂に行きたい!」
「あぁ、だったら1人で……って引っ張るなぁ!」

とそんな事をやってたらロアが俺の腕に抱きついて引っ張って来た。

「くふふぅ、最近2人きりの時間が少なかったからのぅ……今こそラブラブな時間をぃだだだだっ!」
「離せ魔王、お風呂は私と入る」

ロアの後ろからアヤネがやってくる、そのままロアの胸を掴み揉みまくる。

「んなぁ!? きっきしゃまぁ……まっまだ、しりゅくにも触れられた事……無いと言うにぃぃっ」
「ちっ、私のよりあるしやらかい……憎い」

ガチで揉んでるアヤネ、くすぐったそうにロアは身をよじる、勿論俺は目線を反らした、だが俺も男……多少はどうなったか気になる、なので横見でチラリと見た、なんとアヤネはまだロアの胸を揉むのを中々止めていなかった。

「くっ……このっ! やめんかぁぁ!」
「止めない、その憎たらしいのがしぼむまで止めない」

むにゅんっむにゅんっーー
アヤネが手で揉む度にロアの胸の形が変形する、それに応じてロアは「あふっうぅっ」と小さく声をあげる、なんか……艶っぽい声だ。
その時だ、ガラッーーと扉が開いた、現れたのはヴァームだった。

「……あらあら、目覚めたのですか?」
「ヴァっちゃん、何言ってるの? 私は起きてる」

1つ言わせてくれ、急に入って来て言った言葉がそれか! 訳が分からないぞ!

「おっおいヴァームっ! あふんっ、訳の分からん事をうぅっ、言っておらんで早くひゃんっ、止めささんか!」

胸を揉まれ感じるロア、ヴァームは微笑みながらそんな2人に近付きアヤネを引き剥がした。

「ロア様、私女同士は良いと思いますけどあくまで男同士のを見るのが好きなんですからね?」

そして訳の分からん事を言った、満面の笑みで何言ってるんだ?

「……何いっとんじゃお前」

俺と同じ事を思ったロア、するとヴァームが「こほんっ」と咳払い、ここに来た訳を話始める。

「夕飯の準備が出来ました」
「おぉ、それなら早くそう言わんか」

夕飯と聞いた瞬間、明るい笑顔を見せる。

「実は待ってた、ご飯は人魚?」
「恐ろしい事を言うなよ」

じゅるりっとよだれを垂らすロアを軽く小突く、そんな訳無いだろ、出てくるのは魚料理かなんなだ……いや、人魚も魚と言えば魚……まさか出ないよな? 若干の恐怖を感じているとヴァームはくすくすと笑いだす、あっ……聞こえたのか知らないが窓から見えていた人魚マーメイドが一気に逃げたな、危機感を感じたのか?

「人魚は出ませんがイカはでますよ?」

良かった……それを聞いて安心した、本当に人魚料理が出てきたらどうしようかと思った、しかしイカか……海の中の宿だから鯛とか出るのかな? と思っていたがイカか……少し意外だ、だが人魚以外なら安心して食べるさ。

「イカ!? それ何イカ?」
「クラーケンです」

はい前言撤回、海の怪物を食べるとか恐怖以外の何物でもない、普通の料理を出せ。

「くらーけん……美味しそう」

また、じゅるりっとよだれを垂らすアヤネ……お前クラーケンが何か分かってないな? お伽噺とかに出てくる超でかいイカだぞ? それを食べるんだぞ? 分かってるか?

「はい、とても美味しいですよ? では行きましょうか」

ヴァームは部屋を出ていく、それに着いていく俺達、扉を開けてくれるヴァーム、有り難く通らせて貰う。
ロア、アヤネとヴァームの横を通りすぎ、俺が横切った瞬間ヴァームは俺に囁いて来た。

「今夜は熱い夜になりそうですね」

……本当になりそうで怖い、って何を思ってるんだ俺は! 直ぐ様俺は「阿呆か」と囁き返した。


「おぉ来たか、まぁ座って食えや」

ヴァームに案内された場所は中くらいの広さの部屋、少し豪華な部屋だ、そこには既にラキュやメェ達が座っていた、なので俺とロアとアヤネも座らせて貰う、勿論席順はロア、俺、アヤネとなった。
因みにアヤネの右隣はラキュだったりする。

「……イカ」

が、そんな席順よりも気になる物があった、鯛の刺身、マグロの刺身、数々の海の幸が並ぶ中、中央に置かれ他の料理よりも遥かな存在感を放つ料理があった。
それは……超巨大なイカの足だった、これヴァームの言ってたクラーケンだよな? ははは……以外とぷりぷりしてて美味しそうって阿呆か! 未知の生物なんて食える訳ないだろうが!

「てめぇ等座ったな?」

と心の中で突っ込みを入れてたらリヴァイが座って声をあげた、隣にはヴァームが座っている。

「残さず食えよ? 残したらシバく」

鋭い眼光で皆を睨むリヴァイ、その睨み……怖すぎるぞ?

「はい、皆様手を合わせましょう」

一転してヴァームはにこやかだ、皆はヴァームが言った様に手を合わせる。

「「いただきます!」」

合唱した俺達は目の前の海鮮達を堪能した、刺身、あら汁、魚介の炊き込みご飯どれもこれも美味しいかった、だがただ1つ……クラーケンだけは俺は食べなかった、可笑しな事に皆は旨そうに食べていた。
アヤネなんかは「んまい」と言ってバクバク食べてた、皆も気にせず食べる、あれ? 俺が可笑しいのか? とか思ったが決してそうじゃない! 
だって料理として出されてるのにあれはまだウネウネ動いてるんだぞ? しかも灰色だ! 灰色のゲソがウネウネと動いてるんだぞ? 食指なんて進む訳がない! 食べる奴が可笑しいんだ、俺は可笑しく無い!
と文句は口に出さない、食べれる料理は沢山ある、なのでそれ以外を食べさせて貰った、あぁ……旨いなぁ。
こうして食事の時間は過ぎていく……あっ、この夕飯が終わったら次は風呂か? 確実に何かが起きそうだな……心して掛かるとしよう。

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