どうやら魔王は俺と結婚したいらしい

わいず

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あれから昼食、暇潰しに会話や読書、夕食、入浴と色々挟んで翌日……あの後ロアやアヤネが押し掛けてくるかと思ったがそんな事は無かった、珍しくゆっくり身体を休める事が出来た……本当に珍しい、明日は隕石でも降ってくるんじゃないか? そんな事を思いながら太陽を眺める……この部屋には俺1人、部屋の主であるロアは今頃ラムと一緒に朝を向かえているだろう。
昨晩寝る前に「いぎゃぁぁぁっ!」とロアの悲鳴が聞こえて来たがまぁ……ロアなら大丈夫だろう、あいつは強い、元気でやっているさ。

「そろそろ誰かが向かえに来てくれそうだが……来ないな」

時刻は午前7時、何時もの様に1人じゃ廊下を歩けないから誰かが来るのを待っている、だが今日は来ない……何時もならもう来る位なんだが……何かあったのか?

「仕方ない本でも読むか」

来ないなら仕方ない……そう思って本棚に向かい赤い表紙の本を手に取る、本を読んでれば何時かは来るだろう……まさかこのまま来ないなんてことは……ないよな?

「そうならない事を祈るか……さてこれは何の本だ?」

苦笑いしながらタイトルを読んでみる、だが……。

「うん、読めないな……」

まるでミミズがブレイクダンスしてる様な文字、これが魔界の文字と言うのか? いや、ただ単に字が絶望的に汚い様に見えるのは俺の思い違いだろうな……この城は魔界にあった、当然文字は魔界の物……ん? だったら何で魔物達あいつらは人間界の言葉が通じるんだ?普通に話したりしてるよな? こんな時に深い謎が出て来てしまった……よしっ今度それとなく聞いてみよう。

「読めない本読んでも仕方ないか」

今は待たされているこの時間をいかに過ごすかを考えなければいけない、本を本棚に戻した俺はその場で腕組みして思考してみる、うん駄目だ、何にも思い付かない……どうしよう、そう思ったまさにその時だった。
ガチャンッーー
勢い良く扉が開く、何事だとその方を見てみると……何故か服装がはだけているロアと恍惚な笑みを浮かべ、身体から蒸気を出しているラムがそこにいた。
ろっロアが服装をはだけさせたら今以上に露出度が高くなってえらい事……いやこの場合はエロいの方が表現的にあってるか……何考えてるんだ俺は! 頭に浮かんだいけない事を振り払うかの様に頭を振りロアに話し掛ける。

「おはようロア……どっどうかしたか?」

目を反らし気味に話す、ロアは肩を揺らし「でぃ……でぃ……」と息を乱している、本当に何があったんだ?

「おっおはようなのじゃ……シルク、べっ別に……何も無い……ぞ」

だいぶやつれれた顔だ……確実にラムに何かされたんだろう……ここは察しておくのが良いだろうな。

「くふふふっ……では早速……朝食……くっそろそろ離れんか!」
「あんっもっと蹴ってくださいましっ!」

げしげしってラムを蹴飛ばすロアだが、何時もの様にラムには効果が無い……暫くして無駄だと悟ったのか俺を手招きしてくる、今ラムに寄り掛かられてるから歩くのもままならないんだろう……そう思って近付く。

「ラムよ……シルクに変な事をした時、貴様の命は無いと思え」
「分かっていますわロア様!あたしはそこの所はきちんと理解していますのっ」

ぷるぷる身体を震わしてすりすりとロアの頬に自分の頬を擦り付ける、ロアの眉がピクピクしてる……相当怒ってる。

「えっえと……そろそろ連れて行ってくれないか?腹が減ったんだが……」

怖いので空気を変える事にした、俺の言葉にロアが「それもそうじゃな」と同意して食堂へと移動する、いつもの様にお姫様抱っこ、後ろにはラムが引っ付く様にロアの背中に張り付いている、その時ロアが溢したとある一言を俺は聞き逃さなかった……その言葉とは「必ず勝つ」であった。
最後の勝負の時が刻々と近付いてくる……俺は勝負しないのに緊張してくるのは何故だろうか?
……これで勝負がつく、そしてこの勝負が終わったら何が始まるのか? ロアの呟きを聞いて考えたが何も考え付かなかった……だが1つだけ分かるのはロアもアヤネもこの勝負、本気で取り組んでいると言う事だ、そんな事を思いながらも俺はお姫様抱っこで食堂へと運ばれるのであった。


「では2人共準備はよろしいですか?」
「とっくに出来ておる」
「出来てるよ」

あれからヴァームに会い、ロアの服装を見た瞬間、一瞬にして魔法で修復させる、そんな事があった後、俺達は軽い朝食を済ませて俺達は城の外にいる。
外といっても城の入り口前なんだが……そこにいた。
食事をしてる時も2人の間にはピリピリした空気が漂っていたが今のこの瞬間もその空気は変わらない、バチバチと火花が飛び散るかの様に睨み合うロアとアヤネ。

「では最後の勝負の内容を伝えます」

ヴァームが2人の前に立ちそれを言った時、ごくりっ……皆が生唾を飲む、一体何を競うのか?

「勝負内容は力……これを安全な方法で競ってもらいます」

そう言えばアヤネは言っていたな、最後に「力?」って? を付けていた奴だ……それでいいのか? まぁ2人が良いならそれで良いんだが……。

「その勝負内容とは!」

……ヴァームはかっと目を見開く!

「城内外回り1周マラソンです!」
「それ良い女関係無くないか!」

うん、そう突っ込んでしまうのは仕方無いと思う、だって鬼騎やメェ、ヘッグですらずっこけてるんだからな……約1名ずっこけ方が異様に華麗なのはふに落ちないがな。

「よっしゃぁーっ、やってやるのじゃぁ!」
「力は得意分野……きっと勝つ!」

俺の突っ込みは見事にスルーされ流れる様に準備運動を始めるロアとアヤネ……その時ラキュが俺の肩をぽんっと叩いてくる。

「突っ込みスルーされたね」
「言うな、結構辛いんだから……」

そんなラキュの言葉が心に深く突き刺ささる、それすらもスルーされ最後の勝負 マラソンが開始される、最後の最後で変な勝負になったと思うのは気の性だよな?

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