FORSE

巫夏希

12

ここは、救護室。

今は姫様の怪我を治療しに危険を省みずここまでやってきた。

「これで大丈夫かな」

サリドは包帯の巻かれた姫様の右足を見て、言った。

「……ありがとう」

「いいってことよ。とりあえずさっさと脱出しようぜ。援軍が襲ってくるかもしれねえ」

「グラムの言う通りだ。でもヒュロルフタームはさっきも言ったけどひとつしかない。それも紛い物のね」

「……あれが偽物なの? わたしが戦った感じからしてあれは『第2世代』のヒュロルフターム並みに強かったけど?」

姫様は続ける。

「それにあれが偽物とは有り得ない。ヒュロルフタームはヒュロルフタームでしか倒せない。その原則をやぶることになる。それを『社会主義国』が出来るとは思わないけど?」

「それはそうなんだよな……」

サリドは姫様の言葉に答える。


「そこが問題なんだよな」

サリドは続ける。

「まあ、ひとまずこれも手にいれたし。十分頑張ったんじゃないかね」

そう言ってサリドは透明のカプセルを取り出す。

「ああ。さっきの戦闘兵器の肉片ね」

グラムは素っ気なく答える。

「肉片?」

しかし、それに姫様が食いついた。

「ちょっと待って。なぜそれを先に言わないの? それじゃあヒュロルフタームの類いなわけないじゃない」

「黙ってたわけじゃない」

「……とりあえず、本国に帰ろう。もう俺は疲れたよ」

グラムのその言葉を聴いて、サリドたちはこっそりと救護室から外に出た。


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