FORSE

巫夏希

プログライト帝国。

世界一広大な国として知られ、その広さは『資本四国』とほぼ同じとまで言われる。

また資本主義国と社会主義国、どちらにも属さない、所謂『独立覇権』と呼ばれるグループのひとつである。

かつてはその豊富な鉱物資源から栄華を誇っていたが、今は影が落ちつつある。

先述のとおり、この国は資本主義国にも社会主義国にも属さない国である。

この世界は自らの信念、『資本主義』と『社会主義』を貫かんとする人間によって構成されている。

そして、その信念を世界に拡げようと戦争を起こす。

かつてはこの世界にも資本主義と社会主義が共存した時代があったという。

戦争も別の目的で起きていたという。

しかし、そんなことは今の世界を見る限りで有り得ない事実。しかしそれは真実。

そんな人間たちが、どちらにも属していない国ですること。


それは、なんだろうか?


「ビッグ・フロート?」

「ええ。プログライト帝国軍の砦と言われている場所よ。半径1.5kmの円に、高さ1kmの塔が立っている。そこを攻めて陥落させれば私たちの勝ち」

「でも海上に浮いてるんですよね? 海水の分子を崩して沈めたり、戦闘機で爆撃したり、水上戦に特化したヒュロルフタームを使ったりすればいいじゃないですか」

机を挟んで、三人。

サリドとグラムは不機嫌な表情だった。

しかしサリドは疑問に思ったので、今のことを机のむこうにいる上司――リーフガット・エンパイアーに尋ねた。

「そんなので壊せるなら15年も戦争を続けていないわよ」

「そりゃそうですよね」

「なにしろ、」

リーフガットの答えは予想を翻すものだった。

「分析できない謎の力の結界がそれを覆っているのだから」

「『分析できない謎の力』?」

「……彼らはそれを『奇跡の業』とでも言ってるらしいがね」

「しかしレイザリーは資本主義国の中ではトップクラスを誇る技術国。それくらいのことも簡単に」

「解らないから戦争が泥沼化しているんだ。さっさとわかれ」

サリドの言葉を、少しイライラしているのかリーフガットはぶつ切りにして言った。

「……で、俺らは実際にどうすりゃいいんです? まさかその『ビッグ・フロート』とやらにある結界を解除しろだなんて……」

「まさにグラム。あんたの言った通りよ」

サリドとグラムの目が同時に点になった。

「あんたらは『ビッグ・フロート』の結界を内部から破壊する、こと。それだけでいいわ」


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