FORSE

巫夏希

11

「なんだ?!」

ニンジャのひとりはクナイ――彼らがよく使う小刀のことらしい――を構えて言った。

「……お出ましだな」

サリドはそう呟き、ウエストポーチからなにかを取り出した。

「おまえ、なにを……!!」

「手榴弾だ。場合によってはこれを投げて目眩ましのかわりにする」

ズゥゥゥン、と地響きが、さらに大きくなっていく。

「……ヒュロルフタームか? それともグラディアで闘った生物兵器か?」

「『メタモルフォーズ』ですね」ニンジャは端的に答えた。

「メタモルフォーズ?」

「ええ。一般には、神の使い手、とも呼ばれる、巨大な獣。一説によれば、一回の砲撃で、国がひとつ消せる、とも言われるくらいらしい」

ニンジャの声はとてもまっすぐで冷たく、まるで機械のような声だった。

それは彼らに潜む恐怖を後押しするような、そんな感じでもあった。

ついにそれは、姿を見せた。

「これは……魔神?!」

サリドは思わずそう呟いた。

壁を崩して出てきたのは、人形の何か。しかし、そんな簡単に明言できるものではなく、例えば肩には大きな棘が五、六本生えていたり、顔は般若の面のような険しい顔をしていた、要するに『人のようで人でない』何かが、そこにはあった。

「おいおい…… いくらなんでもこいつらは倒せねーぞ?!」

グラムが頭を抱えながら。

だが。そう呟いて彼は何故かかけていたサングラスを外して投げ棄てた。

「やるっきゃねぇんだろうな。なんせそれが俺らの仕事であり命令だからな」


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