FORSE

巫夏希

リフディラ民主主義共和国。

15年前、レイザリーから独立した新興国である。

レイザリーの国土の半分にも満たない小さい国であるものの、資本主義国としてヒュロルフタームも保有している立派な国家である。

しかしながら、現在、社会主義を追求する反乱軍からの攻撃を受け、政治は不安定である。言うならばやじろべえのようなものか。

「そのやじろべえが完全に崩れるのを防ぐのが今回の我々の仕事だ」

ブリーフィングで、まるで大学の講堂のような広い部屋で、マイクを持って話すのはリーフガット・エンパイアーだった。

「まず鉱山にクーチェをセットする。相手はこの前のような巨大生物兵器を保持している可能性が高いとみている。みんな、心してかかるよーに」

挨拶とも叫びともとれる声を兵士たちは発して、一礼し、どんどん去っていく。

「おいおい。いくらなんでも早すぎやしないか?」

「何言ってるんだ。グラム。侵攻は深夜だよ。みんなは今から床につくの」

「……寝るのかよ!! というかこの雰囲気の中寝るとかある意味猛者だな!!」

「何言ってるんだ? 一番先に眠る君が言うセリフじゃないだろ?」

グラムの驚きとは裏腹にサリドは少し馬鹿にするように笑っていた。




そして、辺りが宵闇に包まれた頃。

「……眠い。サリド、コーヒーくれ」

「そんなものないよ」

「それじゃ、お前が今手に持ってるいかにも暖かそうな湯気を出したカップに入った黒い液体はなんだ?」

「これはリーフガットさんの。さっき、持ってこいって命令されたんだ」

サリドは退屈そうに言った。

「……!! サリドいつの間にそんな関係を作り出してたんだ?!」

「すごく意味が違う風にも捉えられるからやめてくれないかな」

大きな欠伸をしながら、サリドは言った。

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