FORSE

巫夏希

ということで。

サリドとグラム、そして姫様を対象とした臨時のブリーフィングが開かれた。

姫様は他の人間のことも考慮して閉鎖空間にひとりぼっちでテレビ電話というシステムで行われることとなった。

それを見てサリドは少し悲しくなったが、そんな気休めばかりの言葉をかけても意味はないと、思った。

「とりあえず首都ウェイロック迄の計画を言うわね」

リーフガットが目の前の机に大きく地図を広げた。

「ウェイロックはここから西方70km。そう遠くはないわ。軍用車を貸すからたぶん三日とかからずに着く筈よ」

「問題はそれから、ですね」

サリドの言葉にリーフガットはしおらしげにうなずく。

「シスター部隊は何処かの宿屋に停留しているらしいわ。白地に赤の十字架の旗がかけられているはずだから、それを目印に」


「それじゃあ、オーケー?」

リーフガットの言葉に三人ははっきりと頷いた。


「それじゃあ、行こうか」

次の日、サリドとグラムは軍用車に乗り込んでいた。

後ろの座席は取り外されてベッドが置かれている。そこに寝かされているのは姫様だ。今日は調子がいいのか上半身を上げ、ぼんやりと外を眺めていた。

「大丈夫かい? 姫様」

助手席に座っていたサリドが後ろを向いて言う。一応いってはおくが運転するのはグラムだ。

「……大丈夫。今日は気分がいい」

「無茶しちゃ駄目だよ。寝れるときに寝ておいてね」

「……分かった」

サリドは微笑みながら、後ろのとびらを閉めた。

「サリド、ほんとにこの道であってるんだよな?」

グラムはサリドが姫様と会話を終えるのを見計らって言った。

「ん? 合ってると思うけど……? ちょっと待って。地図見てみる」

そう言ってサリドは助手席の前にある収納スペースから少し埃がついている古い軍用の地図を取り出した。

「えーと……今はLS76だね。このまま行けばウェイロック首都自治区に入るからあとは道なりに行けば」

「りょーかいっ」

そう言ってグラムはアクセルを踏み込んだ。

「にしても、辺鄙な土地だよなぁ。誰も彼もやる気がないみたいだ」

「みた感じ雨があまり降らない土地みたいだし農業を諦めてるんじゃないかな? 土地も随分栄養がなくて痩せ細ってるしね」

サリドはまたも雑誌を読みながら言った。

「サリド。お前はほんとに雑誌を読むのが好きだな……。ってか今は何の本なんだ?」

「ん? えーと確か……『ラミアーの電気学が丸ごとわかるガイドブック』だけど」

「なんじゃそりゃ」


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