FORSE
3-16
とりあえず裏通りを歩き、戦争前の腹ごしらえをしようと思っていたのだが、何処も閉まっていて――みんな競技を見に行ったのかもしれない――サリドたちは空腹を満たすことができずにいた。
だがようやく発見できた蕎麦屋で、食事を食べているところだった。
「よく食べるねぇ。軍人さんかい?」
「あぁ。最近目標を見失いがちの学生でもあるけど」
店の店主の質問に、サリドは口に蕎麦をかっこみながら言った。
「に、しても空いてるな。今はまだ休憩中な筈なのに」
「なんでも、ドーム内の飲食店ですましちゃう人間が大多数らしいよ。あそこはショッピングモールにビジネスホテルに、なんでもあるからね」
そう言ってサリドたちは噎せないように一気に食べた。こういうところが蕎麦やうどんといった麺類の長所である。
「ごっそさん」
ものの五分とかからないうちに二人は蕎麦を完食してしまった。
「毎度ありーっ」
お代を払って、外を出る。サリドが携帯端末内蔵の時計を見ると、九時二十分前をさしていた。しかしながら、お分かりのとおりこの携帯端末に入っている時計はデジタルで、短針とか長針といったものは組み込まれていないのだが。
「……そろそろマンションに戻るか」
「そうだな。彼処なら大体のものが一望出来る。そこを作戦基地代わりにすればいいだろう」
サリドの携帯端末が着信を知らせる電子音を鳴らしたのは、その直ぐ後だった。
「……? リーフガットさん?」
そう疑問に感じつつも、サリドが通信に応答した。
「もしもし。こちら、サリド・マイクロツェフですが」
『そんなもの、言われなくても解っている。とりあえず報告をしに』
「ライズウェルトさんに行っておけば良かったじゃないですか」
『今判明したことなのよ。……いい? よく聞きなさい?』
そう言ってリーフガットは先程の会話であったこと――この戦いには最小限の戦力しか割けないこと、その代わり第三世代とクーチェがくるのでフランシスカにも臨戦態勢で臨ませること――を話した。サリドはそれを「えぇ」とか「ふむふむ」とかただ無機質に応答していただけだった。
「……つまり、今回は僕らで半ばやるようなもんなんですね?」
『あぁ。……まぁ、本国の誤解が解ければ戦力を増加させるとは言っていたが……。この状況では、その可能性は考えない方がいい』
サリドの質問にリーフガットは応答する。
「……解りました。とりあえず、僕らこれからフランシスカのいるマンションに行くんで、そこで作戦会議……はどうでしょうか?」
『いい考えだけど諦めなさい。多分この通信は盗聴されている可能性があるわ。……少なくとも今の場所は使えない』
「……解りました。ならば?」
『彼女が、そっちに向かってるはずよ』
リーフガットは答えた。
「やっほ。久しぶり」
サリドたちにそんな雲のようにふわふわな能天気ボイスが聞こえたのはその直後だった。
「まさか……、」
「姫様?!」
サリドとグラムはそれぞれの反応を示し、それぞれ喜んだ。
「というか……、姫様いいのか? まだ『透明病』の治療も終わってないんじゃ……、」
「……それを兼ねてのリハビリみたいなもの、ってシスター部隊の人が」
「あぁ。確かに、鈍っちゃうもんね」
ともかく姫様が戻ってきた、これは二人にとってはとても喜ばしいことでもあった。
だがようやく発見できた蕎麦屋で、食事を食べているところだった。
「よく食べるねぇ。軍人さんかい?」
「あぁ。最近目標を見失いがちの学生でもあるけど」
店の店主の質問に、サリドは口に蕎麦をかっこみながら言った。
「に、しても空いてるな。今はまだ休憩中な筈なのに」
「なんでも、ドーム内の飲食店ですましちゃう人間が大多数らしいよ。あそこはショッピングモールにビジネスホテルに、なんでもあるからね」
そう言ってサリドたちは噎せないように一気に食べた。こういうところが蕎麦やうどんといった麺類の長所である。
「ごっそさん」
ものの五分とかからないうちに二人は蕎麦を完食してしまった。
「毎度ありーっ」
お代を払って、外を出る。サリドが携帯端末内蔵の時計を見ると、九時二十分前をさしていた。しかしながら、お分かりのとおりこの携帯端末に入っている時計はデジタルで、短針とか長針といったものは組み込まれていないのだが。
「……そろそろマンションに戻るか」
「そうだな。彼処なら大体のものが一望出来る。そこを作戦基地代わりにすればいいだろう」
サリドの携帯端末が着信を知らせる電子音を鳴らしたのは、その直ぐ後だった。
「……? リーフガットさん?」
そう疑問に感じつつも、サリドが通信に応答した。
「もしもし。こちら、サリド・マイクロツェフですが」
『そんなもの、言われなくても解っている。とりあえず報告をしに』
「ライズウェルトさんに行っておけば良かったじゃないですか」
『今判明したことなのよ。……いい? よく聞きなさい?』
そう言ってリーフガットは先程の会話であったこと――この戦いには最小限の戦力しか割けないこと、その代わり第三世代とクーチェがくるのでフランシスカにも臨戦態勢で臨ませること――を話した。サリドはそれを「えぇ」とか「ふむふむ」とかただ無機質に応答していただけだった。
「……つまり、今回は僕らで半ばやるようなもんなんですね?」
『あぁ。……まぁ、本国の誤解が解ければ戦力を増加させるとは言っていたが……。この状況では、その可能性は考えない方がいい』
サリドの質問にリーフガットは応答する。
「……解りました。とりあえず、僕らこれからフランシスカのいるマンションに行くんで、そこで作戦会議……はどうでしょうか?」
『いい考えだけど諦めなさい。多分この通信は盗聴されている可能性があるわ。……少なくとも今の場所は使えない』
「……解りました。ならば?」
『彼女が、そっちに向かってるはずよ』
リーフガットは答えた。
「やっほ。久しぶり」
サリドたちにそんな雲のようにふわふわな能天気ボイスが聞こえたのはその直後だった。
「まさか……、」
「姫様?!」
サリドとグラムはそれぞれの反応を示し、それぞれ喜んだ。
「というか……、姫様いいのか? まだ『透明病』の治療も終わってないんじゃ……、」
「……それを兼ねてのリハビリみたいなもの、ってシスター部隊の人が」
「あぁ。確かに、鈍っちゃうもんね」
ともかく姫様が戻ってきた、これは二人にとってはとても喜ばしいことでもあった。
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