FORSE

巫夏希

「……シナリオは何処まで進んだ?」

フィレイオは夜も深い森の中、声をかけた。

「……ようやく半分といったところでしょうか……。でも、次の段階が無事にクリア出来ればあとは時間だけが状況を作り上げてくれますよ」

「ほんとにそれでうまく行くのか?」

「行きますとも……。組織のシナリオは絶対です。方舟の発見に今回の刻印……。事はうまく進んでいます」

「……次に刻印すべき場所は?」

フィレイオが尋ねると、声は驚くこともなく、ただ言った。

「……レイザリー王国の首都にはそれは立派な城があります。ご存知ですか?」

「あぁ。確か今は国王が住んでいると聞いたが……」

「そうです。その地下にはかつて刻印がされた証が眠っています。それを起こしに行くのです。……胎動させるには少し早いですが、計画の範囲内ではあります」

「おいおい。お前の権力でそんなのしてあいのか? 可愛い上司が泣くだろ?」

「……あんなのは、ただの地位に、神殿協会の構成に貢献したからという家に生まれただけの猿ですよ。彼女が騒いだって、私に利害は発生しない」

「言うねぇ」

「……というわけで頼みますよ。一応あなたにはディガゼノン聖軍が追撃のために部下となります。どんな命令でもなんなりと話してくれれば」



『世界を、変えるのは我々だ』――ディガゼノン聖軍討伐戦(2/18)

「ディガゼノン聖軍……。くくっ。神に選ばれし賢者の名前を冠する軍が、一人間に指示させると? 僕は直ぐに舐められそうな気がしてならないのだが?」

「そこは任せていただければ。『遠隔操作』の暗示魔法を既にかけてあります。期限は一週間ですが、望めば符の力が消えるまで暗示は可能です。符には力を増強させる暗示や、痛覚を和らげる暗示も含めてます。まぁ面白くはなると思いますよ?」

「……毎度のことながら、流石だな」

「どうも」

「……それじゃ、向かうとしますか。今回はあいつ使えるの?」

「メタモルフォーズですか? えぇ、01~03までなら」

「そんないらんな。02だけ持って行くわ。……てか、00と仮設04~10は?」

「00は来るべき時に向けて調整中です。あれはまだ使う時じゃありませんからね。仮設のに関しても同様です」

「……なるほど。解った」

「簡単に解ってもらえると嬉しいです」

男はフィレイオの言葉にうっすらと笑いを浮かべた。

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