FORSE

巫夏希

25

そこにあった風景は凄まじい惨状であった。

槍に腹を貫かれたルビンはなんとか抜こうと力を入れ(それでも腹は穴があいているため、緑色のLSSではない液体が溢れ出していた)、しかしそれは出来なかった。

その時、空に声が響いた。

『更なる罪を! 更なる罰を! 聖槍せいそうよ、全てを貫け! そして神の使いよ! その肉を喰らい、血となり肉となり聖なる贄として昇華させよ!』

その声と共に、空が暗くなった。

空を見ると、そこにいたのは、

「メタモルフォーズ……!! まさかこんなにもいたというのか?!」

三体ものメタモルフォーズが空を飛んでいた。持っていたのは、槍。

「……まさか!!」

サリドは一番考えたくはない、その事を思い付いてしまった。

そしてそれは、現実となった。

刹那、メタモルフォーズはそれぞれが持つ三本の槍をまずルビンの(最初に腹腔に刺さった槍を抜こうとしている)右手に向かって投げた。

「ああああああああああああああああ!!!!」

絶叫が再び空に響いた。ルビンの右手は真っ二つに裂かれ、肩に突き刺さっていた。

そして次にメタモルフォーズは頭、そして心臓に槍を突き刺した。

「ライラ!!」

グラムが叫んでそこへ行こうとしたが、

「ダメだグラム!!」

サリドがそれを足止めした。

「ダメだ……。駄目なんだよ。今の俺らはこれを黙って見ているしか……ない。ヒュロルフタームが来るまでは……!!」

そうしている間にもメタモルフォーズたちは次の段階にシフトしていた。

まさに肉に群がる烏のように、槍を突き刺されたルビンのほうへ向かう。

まず、装甲を破壊。中にあった“筋肉”が姿を現した。まるで、メタモルフォーズのような。

「……ヒュロルフタームの中身は……メタモルフォーズ?!」

それを見てサリドの中には吐き気よりも驚愕の方が先に出ていた。

そしてメタモルフォーズは筋肉を喰らう。他のメタモルフォーズも装甲を剥がし、その中にあったまるで人間のような臓器を口で強引に引っ張り出す。その光景は、まるで地獄絵図だった。

そしてメタモルフォーズが最後に狙ったのは、

「よせ……。やめろ……!!」

装甲を外され、剥き出しとなった、コックピット。メタモルフォーズは躊躇なくそれを噛み砕いた。

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