FORSE
26
サリドたちは叫ぶ気力すら奪われた。
メタモルフォーズたちは捕食を完了し、残骸を残して立ち去っていった。
そして、それをせせら笑うように聖軍も何処かへと消えた。
「……き、救護班は急いでノータの手当てを行って!!」
言葉が失われた指揮官は激昂する。
「まさかやつらがメタモルフォーズを保有する総本山だったとは……、もうこの戦いは避けられなくなった、な」
指揮官はただそれだけを言いルビンの方を向いて小さく敬礼した。
†
誰がどう見ても、ライラは即死だった。
死因は出血多量。神経パルスの位相誤差が少なすぎたことが原因だった。
「……あれほど有能なやつはいなかったのにな……」
ガンテはヒュロルフタームのいなくなった保管庫にある椅子に腰掛け、煙草を吸っていた。
扉が開かれるのに、前置きはなかった。
ガンテが振り向く前に扉は閉まり黒いスーツを着た男が二人、入ってきた。背格好も顔もそっくりで双子のようにも見てとれた。
「……なんだ?」
「ライミュール・ガンテだな? お前を国家反逆罪で処刑する」
なに? とガンテが答える前に男は拳銃を構え、ガンテに躊躇いもなく弾丸を六発すべて撃ち抜いた。
「片付けろ」
その一言で後ろにいた黒ずくめの人間三人はガンテの亡骸を用意してあった寝袋に丁寧に包み込んだ。
「……君は知りすぎた。事実を、な。惜しい人材ではあるが……仕方がない」
男は、目に泪を浮かべていた。
「……隊長」
「あぁ。解っている。……さっさと処理せねばな」
そう言って男は部屋から出ていった。
血痕も体毛も一つ残さず、ガンテを殺して。
†
「……ついに贄が出たか。長かったな……。ここまでが」
暗闇の会議場でFA01は呟いた。
「……最終段階、といったところですね……!!」
FA02はその声を聞き、答えた。
「左様。遂にここまで辿り着いた。あとは聖軍が刻印を実行するのみとなった」
FA03がさらに続ける。
「古の封印から解き放ち、世界を再び空白に染める……!! その機会がついに到来したのだ……」
FA04は嗄れた声で述べた。
「そうだとも……!! 我らを神へと、神のいる世界へと、シフトさせるのだ!」
FA05はハキハキとした若々しい声で言った。
「……そうだとも、諸君。というわけで、ここで一つ新しい配役を用意してみるのも、どうかね?」
FA01が言った直後、彼らがいる空間の真ん中に光の柱が生まれた。
「何者だ……?」
そこにあったのは水槽だった。
そして、それに浮かんでいたのは人間だった。
「人間、だな?」
「これは、生き返った人間だよ」
謎の存在に、FA01は解答を差し出した。
「生き返った……?」
「そうだ。正確には生き返らせて、冷凍保存をされていた。多分旧時代から生きてはいるだろうが海馬などの記憶中枢がやられていた。恐らく記憶は保持してないだろう」
「だが、使えるのは確かなんだな?」
「あぁ。そこは大丈夫だ。任してくれたまえ」
「……名前はどうなんだ? 何かの実験とかでは作れそうにないものだが」
「そうだな。確か、」
「ウィンドとかいってましたかな?」
FA01はそう言って会話から離脱した。
メタモルフォーズたちは捕食を完了し、残骸を残して立ち去っていった。
そして、それをせせら笑うように聖軍も何処かへと消えた。
「……き、救護班は急いでノータの手当てを行って!!」
言葉が失われた指揮官は激昂する。
「まさかやつらがメタモルフォーズを保有する総本山だったとは……、もうこの戦いは避けられなくなった、な」
指揮官はただそれだけを言いルビンの方を向いて小さく敬礼した。
†
誰がどう見ても、ライラは即死だった。
死因は出血多量。神経パルスの位相誤差が少なすぎたことが原因だった。
「……あれほど有能なやつはいなかったのにな……」
ガンテはヒュロルフタームのいなくなった保管庫にある椅子に腰掛け、煙草を吸っていた。
扉が開かれるのに、前置きはなかった。
ガンテが振り向く前に扉は閉まり黒いスーツを着た男が二人、入ってきた。背格好も顔もそっくりで双子のようにも見てとれた。
「……なんだ?」
「ライミュール・ガンテだな? お前を国家反逆罪で処刑する」
なに? とガンテが答える前に男は拳銃を構え、ガンテに躊躇いもなく弾丸を六発すべて撃ち抜いた。
「片付けろ」
その一言で後ろにいた黒ずくめの人間三人はガンテの亡骸を用意してあった寝袋に丁寧に包み込んだ。
「……君は知りすぎた。事実を、な。惜しい人材ではあるが……仕方がない」
男は、目に泪を浮かべていた。
「……隊長」
「あぁ。解っている。……さっさと処理せねばな」
そう言って男は部屋から出ていった。
血痕も体毛も一つ残さず、ガンテを殺して。
†
「……ついに贄が出たか。長かったな……。ここまでが」
暗闇の会議場でFA01は呟いた。
「……最終段階、といったところですね……!!」
FA02はその声を聞き、答えた。
「左様。遂にここまで辿り着いた。あとは聖軍が刻印を実行するのみとなった」
FA03がさらに続ける。
「古の封印から解き放ち、世界を再び空白に染める……!! その機会がついに到来したのだ……」
FA04は嗄れた声で述べた。
「そうだとも……!! 我らを神へと、神のいる世界へと、シフトさせるのだ!」
FA05はハキハキとした若々しい声で言った。
「……そうだとも、諸君。というわけで、ここで一つ新しい配役を用意してみるのも、どうかね?」
FA01が言った直後、彼らがいる空間の真ん中に光の柱が生まれた。
「何者だ……?」
そこにあったのは水槽だった。
そして、それに浮かんでいたのは人間だった。
「人間、だな?」
「これは、生き返った人間だよ」
謎の存在に、FA01は解答を差し出した。
「生き返った……?」
「そうだ。正確には生き返らせて、冷凍保存をされていた。多分旧時代から生きてはいるだろうが海馬などの記憶中枢がやられていた。恐らく記憶は保持してないだろう」
「だが、使えるのは確かなんだな?」
「あぁ。そこは大丈夫だ。任してくれたまえ」
「……名前はどうなんだ? 何かの実験とかでは作れそうにないものだが」
「そうだな。確か、」
「ウィンドとかいってましたかな?」
FA01はそう言って会話から離脱した。
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