FORSE
37
その頃、とある場所。
「中隊長! 扉が目の前に見えてきました! ……とても広い大きな門です!」
「そんなことは報告がなくとも解る。……にしても何てところに作ったんだ……。鍛えているはずのこの身体がこんなにも早く音をあげるなんぞ……」
中隊長は息を荒げて言った。鍛えている、というのは建前ではなく筋骨隆々としたその身体を見てその言葉を疑う人間はいなかった。
「中隊長大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。……ともかく、門を開けよ!」
中隊長の声と同時に百人余りいた兵士は一斉に石で出来た巨大な門を押し始めた。
しかしそれでも門が動くことはなかった。日々鍛錬を行っている兵士が百人いても、だ。
「物理的に動かないとなると……、やはり魔術的な何かが働いているのか? えい、魔術師はいるか?!」
「ここに、います」
中隊長の声とほぼ同時に少し離れたところからすっきりと、しかしはっきりと声が響いた。
「おぉ! そこにいたのか!」
中隊長は兵士の大軍を掻き分け“わざわざ自分の方から”魔術師に会いに行った。
「はい。魔術師、ドビュッシー・マークス、今ここに居ます」
「……君なら、あの門にかけられた魔法を解析出来るだろう? さぁ、解析してくれ」
「既に、解析は終了しています」ドビュッシーは歌うように、「ここにかかっているのは第一級防御障壁魔術が一千と二十四重にもなってあります。さらにその門の向こうを透視出来ないようにもされていますね」
「ならば、これを解くことは可能か?」
中隊長は魔術の解析結果なんて関係なかった。
ただこの魔術が解除できるか否か。
それだけを彼は望んでいた。
だから、魔術がどうこうなんて前置きは必要ない。要は、そういうことなのだ。
「可能ですが、」ドビュッシーはこほん、と咳払いして、「ただ障壁魔術の数が多いので三十分ほど時間を頂きますが、それでも?」
「構わん。さっさと行え。これは命令だ」
「かしこまりました。では、暫くお待ち下さい」
ドビュッシーは被っていた帽子を外し、笑って言った。
「中隊長! 扉が目の前に見えてきました! ……とても広い大きな門です!」
「そんなことは報告がなくとも解る。……にしても何てところに作ったんだ……。鍛えているはずのこの身体がこんなにも早く音をあげるなんぞ……」
中隊長は息を荒げて言った。鍛えている、というのは建前ではなく筋骨隆々としたその身体を見てその言葉を疑う人間はいなかった。
「中隊長大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。……ともかく、門を開けよ!」
中隊長の声と同時に百人余りいた兵士は一斉に石で出来た巨大な門を押し始めた。
しかしそれでも門が動くことはなかった。日々鍛錬を行っている兵士が百人いても、だ。
「物理的に動かないとなると……、やはり魔術的な何かが働いているのか? えい、魔術師はいるか?!」
「ここに、います」
中隊長の声とほぼ同時に少し離れたところからすっきりと、しかしはっきりと声が響いた。
「おぉ! そこにいたのか!」
中隊長は兵士の大軍を掻き分け“わざわざ自分の方から”魔術師に会いに行った。
「はい。魔術師、ドビュッシー・マークス、今ここに居ます」
「……君なら、あの門にかけられた魔法を解析出来るだろう? さぁ、解析してくれ」
「既に、解析は終了しています」ドビュッシーは歌うように、「ここにかかっているのは第一級防御障壁魔術が一千と二十四重にもなってあります。さらにその門の向こうを透視出来ないようにもされていますね」
「ならば、これを解くことは可能か?」
中隊長は魔術の解析結果なんて関係なかった。
ただこの魔術が解除できるか否か。
それだけを彼は望んでいた。
だから、魔術がどうこうなんて前置きは必要ない。要は、そういうことなのだ。
「可能ですが、」ドビュッシーはこほん、と咳払いして、「ただ障壁魔術の数が多いので三十分ほど時間を頂きますが、それでも?」
「構わん。さっさと行え。これは命令だ」
「かしこまりました。では、暫くお待ち下さい」
ドビュッシーは被っていた帽子を外し、笑って言った。
コメント