作者にとって批判は毒か、それとも薬か

山外大河

作者にとって批判は毒か、それとも薬か

 まず初めに断っておきたいのが、此処に書くのは私個人の考えで万人に通じるものではなく、寧ろ少数派の意見だろうという事だ。色々と目を通してみた感じ、どうやらこの意見は一般論ではなさそうだし、この話はこういう考えを持っている人もいるという程度に捉えてほしい。
 それでは何となく気分が乗ったので普段なろうで書いている者としての『感想』についての話をしたいと思う。


 この小説家になろうというサイトに感想を書く機能がある事はこの文章を見ている方は皆ご存じだろう。とりあえずはそれを前提として話を進めたい。
 この感想を書く際、三つの項目がある。

 ・良い点
 ・悪い点
 ・一言

 この三つ。

 良い点に自分の作品を称賛する内容の感想が書かれて嬉しくないという人はいないと思う。私自身ブクマが増えた時と評価ポイントが増えた時。そして面白かったという風に褒めてくれる感想を頂いた時、静かに拳を握りしめて小さくガッツポーズをする。以前会社でそれをやった。結構恥ずかしかった。
 一言欄も同じで作品の事について書かれている所を見るのは悪い気がせず、些細な事でも書かれると嬉しいものだ。

 では悪い点に書かれた感想についてはどうだろうか。
 そこに自分の作品を徹底的に非難するような感想が書かれていたらどう思うだろうか?

 先に私の場合を書かせてもらうと、ふぇぇ……ってなります。
 そりゃ自分が最高に面白いと思って書いている物を面白くないと言われているのですから、それでそうですね面白くないですね、私も駄目な作品だと思います。なんて受け入れてしまえる訳がない。
 その程度の思い入れしかないのならば、プロットを作る様な段階で投げて投稿する事もないだろう。
 ショックは受ける。とてもショックを受ける。態々布団敷いて枕に顔を埋めて軽く唸る。仕事中ならば若干仕事に身が入らなくなる。その位にはショックを受けます。

 だけどショックは受けても、『作品』を非難されるという事は本来作者にとって大きなプラスになる事だと思うんです。毒にもなれば薬にもなります。

 その展開は作者がとても面白いと思って書いた展開に、読者がふざけんなと非難の言葉をぶつけてきたとしましょう。
 それをみればとても辛く、苦しくなる。だけど分かる事もあるんです。
 少なくともその展開を見て、そういう感想を抱く人が居た。
 その一つの事実を作者は知ることができるのです。面白いと思ったその展開を面白くないと思う人が居るという事を知れるんです。
 それはとても大切な事だと思いませんか?

 だって書かれなきゃわからないんですよ。書かれなきゃ作者の中でそれは面白い物語で終わってしまうんですよ。
 確かにそれでもいいのかもしれませんが、そういう人が居るという事を知る事によって初めて、自分の作品の作者自身が見えていない側面が見えてくるんです。
 そうでないと見えないんです。
 それが見えればある意味閉じていた世界が広がるんです。自分の作品に理解が深まるんです。
 確かに無茶苦茶な批難もあるでしょうけど、そうした中には正論を突いてきて作品の穴を教えてくれる者もあるんです。ダメージを与える代償として、作者に糧を蓄積させてくれるんです。

 だから決して悪い事ばかりではないと思うんです。批難の中にはそうして糧になってくれる物が沢山ある。これからの成長に必要なものが沢山詰まっている。作者にとっての収穫がそこにある。

 ……では薬にならないような非難はどうだろうか。根本的に何かがずれていて、とてもじゃないが糧にはならない。ダメージを与えるだけ与えて消えていくような感想。こういった感想に収穫があるかどうかと言われれば無いと言わざるを得ない。具体的にどういうのとは言わないが、ある筈だ。無茶苦茶で支離滅裂な感想が。

 だけどそう言った感想もまた、欲しいかいらないかで言えば貰えるに越したことは無いと、そう思うんです。

 何故ならそれは証です。世の中にはプロの面白い作品があふれていて、他にも娯楽が沢山ある。そんな中でアマチュア作品を読んで感想を書くに至らせた。その証。その内容がどうであれ、何も思われないのではなく確かにどんな形であれ爪痕を残せた。それって最高じゃないですか。

 確かに苦しくても、自分の作品を読んだ上でで思った事をぶつけられたら、何も反応が返ってこないよりも嬉しいに決まってるじゃないですか。自分の頭の中に留まって居た世界を外に出してその反応がもらえれば、何もないよりもずっといいじゃないですか。
 周囲からチヤホヤされたくて小説をかいているのなら、んな訳ねえだろ! って思うかもしれない。だけどそうでなければ反応は嬉しいはずなんです。少なくとも私の中では。

 だから読者は思った事をぶつけるべきだと思う。作者の人格を非難する様な真似は最早小説関係ないのでやっては行けない事だと思うが、作品を非難する事はどれだけだってしてもいいと思う。サブマシンガンで打ち抜く勢いで思った事をぶちまけるべきだと思う! そうだ、もっと感想を書こう。書いていこう。作者が傷付くかもしれないから書かないと思っているあなた。少なくとも私は喜びます! 苦しみながら喜びます!

 さて、恐らく無茶苦茶な事を色々書いていると思います。下手すれば軸がぶれまくって居て、言っている事がそれこそ支離滅裂で、この文章こそ批難されるべきなのかもしれません。数日たって冷静になれば自分でも何言ってんだコイツと思うかもしれません。
 だけど非難は作者にとってプラスでもあるという事だけは多分間違っていないし、数日後に読み返してもそこだけは同調できると思います。



 さて、長くなりましたがまとめに入りましょう。多分今回のエッセイで一番書きたかった事です。

 非難はしてもいい。それは少なくとも私の様な者にはプラスになる(作者そのものの非難はだめですぞ)
 つまりは私の作品は非難してもいい。
 だから作者ページから作品に飛んで読もう。そして思った事を感想欄に書きなぐれ!

 はい、つまり何が書きたかったかといえば、自分の作品のダイレクトマーケティングです。

 ではでは、ありがとうございました。

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