現世(うつしよ)と幻(うつつ)の世界で……

ノベルバユーザー173744

閑話休題、穐斗がいなくなり、日本は大騒ぎになりました。

所で、日本では、日向ひなたから連絡を受けた醍醐だいごが、日本にいる穐斗あきとの様子がおかしいことを主治医に連絡した。
そして、診察をしようと聴診器を当てたとたん、穐斗の体がみるみる小さくなっていき、一株の植物に変化した。

「あ、穐斗‼」

本物ではないとはいえ、目の前で姿を変えた息子に、風遊ふゆは立ちくらみを起こす。

「な、何だって⁉こ、っこれは‼」

あわてふためく主治医に、醍醐は、

「せ、先生‼どう言うことなんです⁉な、何で、穐斗が⁉」
「い、いや、いや……わ、わからん‼どう言うことなんで⁉エェェ?」

主治医の横では真っ青を通り越して蒼白の看護師もいる。
すると、醍醐のスマホが鳴り、

「おい‼穐斗は、いるか?」

日向の声に、醍醐は、

「先生。イングランドにいる友人です。……あぁ、ひな‼穐斗がおかしいから、主治医の先生に見てもらっていたんです。そうしたら、何か……植物になってしまって……どういうことか私も、先生方も動揺して……」
「それが、テレビを。テレビを見てくれないか?」
「テレビ?」

ぎくしゃくとした動きで看護師がテレビをつける。

Changelingチェンジリングです‼現代の妖精物語‼」

テレビで叫ぶ声に、

「Changeling?どういうこと?」
MEGメグは、実は妖精で取り替え子だったんだ。本当の、穐斗のお姉さんはマーガレットさんと言うんだが、妖精に連れていかれていた‼しかも、モルガーナさんよりも年上の人から、果ては5才ほどの子まで、あの、アルテミス卿の子供が何人も‼」
「ちょ、ちょっと待って‼風遊」

ベッドに休ませて、メモに書き始める。

「MEGが、取り替え子で、本物のマーガレットさんが戻ってきた。で、穐斗のお父さんが何?」

書き込んでいく。

「はぁ?何人……で、ちょっとまち‼穐斗、双子って、ちょっと……穐斗が、兄弟の代わりに自分がって……穐斗が妖精に連れ去られた‼」
「あ、穐斗ぉぉ‼」

話を深く聞いていない……演技ができないだろうとあえて教えなかった風遊が、完全に気絶し、

「お、お母さん‼清水さん‼」

主治医は風遊をみる。

「……もどってきたのは、取り替え子や、実の父親が妖精に渡した女の子達……と、穐斗の双子の妹のほたる。穐斗は消えてしまった……って言うんか?こっちは、何か植物が残っただけや⁉どうして‼」
「こっちは、マーガレットさんを始めに、10人ほどいるんだ、女性が5才くらいの女の子も。でもまともに話ができるのが、マーガレットさんと、蛍や。でも、二人も弱っていて、それに、マーガレットさんはさきさんに抱きついて離れないし、蛍は寝込んでいて、祐也ゆうやが看病してる」
「は?さき兄さん?何で?」
「ん?何があったのか納得したいって。で、色々手を尽くしてくれている。二人でいたらうるさいのに、さきさん一人だと物静かと言うか口数が全くなし。でも、こっちにあるもので、お菓子をつくって、小さいこが喜んで……おわっ!」
『にーたーん‼だっこ‼』
『コーンフラワー(cornflower)‼グーはダメ‼痛かったぞ~?パーで‼』
『んーと、パー?』

スマホの向こうでは、日向がコーンフラワーと言う子供に言葉を教えているらしい。

『良くできました。コーンフラワーはお利口』
『おいこう?』
『いいこいいこだよ』

醍醐が聞いていると、日向が父親で、子供を可愛がっているように聞こえる。

「おーい、ひな、どうなっているんです?」
「あ、悪い。一番小さなコーンフラワーって言う名前の子供が、目を覚まして……。で、父親の引き起こしたことにモルガーナさんが……。旦那さんのガラハッドさんとウェインが頑張ってる。それとヴィヴィアン、紅も」
「そうなんですかと言うよりも‼穐斗の‼探すことはできないんですか‼」
「……姉妹皆の代わりにと……行ってしまったから」
「そんな‼まずは。こちらも捜索願い出します‼先生や看護師さんが証人です‼それで‼」

二三確認し、電話は切れた。

「まずは、先生‼看護師さん‼警察を‼」



静かな病院が大騒ぎになったのだった。

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