現世(うつしよ)と幻(うつつ)の世界で……
第36話、双子のお兄さんは好奇心旺盛です。
到着した車から、醍醐が穐斗を抱き上げると、スマホが鳴る。
「もしもし、ひなか?」
『あぁ、到着したわ。それよりなぁ……悪いけど、大原さんに連絡してくれるか?』
「ちょぉまちいや、今、穐斗を母屋に連れていくわ」
抱いていくと、
「あれ?大原はんや」
「あぁ、こんばんは。ちょっと聞きたいことがあって、それに顔を見に来たんですよ」
大原嵯峨は微笑む。
「じゃぁ、ちょぉ、かまんかろか?ひなが大原はんに言うて……」
電話を変わる。
「どうしました?一条さん」
『あぁ、こんばんは。大原さん。あの、この名前と、電話番号を残してもらえますか?』
「ちょっと待ってくださいね」
ポケットから手帳とペンを取り出し書き込む。
「はぁ?この人、外務省のエリートの人やないですか」
『祐也の実の親父です。祐也の父さんの妹の前の旦那で、10年前にありましたよね?日本人の少年がオーストラリアで行方不明。首都とは反対……西の方の町で発見された言うて。子供の名前は当然未成年ですから公表されませんでしたが、両親の名前出てこんかったでしょう?』
「そうでしたね。もしかしてその実の父親からなんかあったんですか?」
日向は祐也の話を説明する。
それも書き込み、
「それは、祐也くんも荒れるでしょう。恐怖もあるでしょうし……」
話す嵯峨の後ろから覗き込んだ双子が、
「あれぇ?こんひと、あてらのお店の常連はんのお嬢はんと婚約する言うとったお人やん」
「ほんとや。外交官の人で、今度お嬢はんがこの優しい旦那はんになるお人と、ニューヨークかワシントンに行くんや言うていいよったはずや。ちょっとお待ちいや」
標野が、電話を掛ける。
「あ、おかあはん。シィや。うん、うん、風遊はんとあきちゃんにおうたで。ん、写真はまた後で送るわ。それよりもなぁ。こんまえ、あの、隣町の、アァそうやそう。あそこんのお嬢はんの婚約がきもた言うとったけど、相手んかたは……アァやっぱり」
標野は、嵯峨をみる。
「おうとる。え?あ、おかあはん。実はなぁ……あんうちの人に聞いたんは、今回再婚で、前のお嫁さんとは子供がおらんかった言うてきいとったんやけど……あぁ、おとうはんから聞いたんか?でもなぁ……」
標野はにやっと双子の兄を見る。
代わった紫野は、
「おかあはん。そこの常連のおじいはんらには、あてらはよう世話んなっとるし、心配な噂を聞いたんや。ちょっと嵯峨もあの件でこっちにきとるんや。で、本当は守秘義務もあるんやけど、醍ちゃんも巻き込まれとるけん言うて、教えてもろたんや。相手の旦那はんになるお人なぁ。前のお嫁はんの前にも結婚しとんで」
『な、なんやてぇぇ‼』
裏返った声に、紫野は、
「しかもなぁ、10年ほど前にオーストラリアで、日本人の小学生の男の子が首都と反対の町で保護されたて事件あったん覚えとる?子供は未成年や、名前でんのは普通や。やけど親の名前は出てこんかったやろ?父親がそんひとや」
『それは、それはあかん‼あきまへん‼そげなおとこ‼』
叫ぶ母親に、
「でなぁ、実は、たいぎょうになった今回の件で、そん男が、電話を掛けてきよったんやと。自分の息子に。そん名前が、安部祐也くんや。祐也くんは、こんまい頃に両親が離婚して、父親に引き取られたんや。しかもなぁ、子連れの前妻はんと再婚した父親や前妻はん、血の繋がりのあらへん兄弟に虐待されとってなぁ……で、日本におる親戚にもおかあはんにも連絡できひんかって、逃げ出したんやと」
大原が、書き込んでいるメモを読んでいく。
「で、ヒッチハイクして、お手伝いとかなぁ……で、日本におったおかあはんは再婚しとったとは言え、息子が心配で連絡を取ろうとすんのに、父親や前妻はんに切られて、こもとったら、おにいはんが行って、甥の祐也くんのことを問い詰めたら、おらへん言うて、慌てて警察に連絡してなぁ、で、迎えに行ったんやと」
『なんてことや……そのぼんも、大変やったろに……怖かったやろに……』
涙声になる。
「でなぁ、その、叔父はんになる人が、連れて帰る言うて、もう二度と会うな言うたらしいわ。裁判して、親権も叔父はんに移して、養子になっとんやと。ほやのに、子供がおらんけん言うて、返してくれ言うてきたみたいやわ……ご両親が激怒して会うな言うたら、今度はこの件で、揉み消したる代わりに言うてきたみたいやわ」
「19才の子でも、大人になりきれんとこもあるやろし、それになぁ、そんなんうけとったら、怯えるとおもわん?」
標野はスマホに声をいれる。
『そら当然やわ‼あきまへん‼今すぐ、あてがそこんうちに電話するさかいに、さき、シィ。その代わりに……』
「「大丈夫や‼可愛い写真をぎょうさん送るさかいに、よろしゅうな~‼」」
電話は切れて、双子は、
「よっしゃぁぁ‼今日はいきひんけど、明日は写真を撮りまひょか」
「おかあはんがどうしても、着てもろたら言うとったんもあるんや~‼」
その声に、
「だんだんなぁ……おとうはんもおかあはんも……私の兄はこういう人なんです」
と溜息をついたのだった。
「もしもし、ひなか?」
『あぁ、到着したわ。それよりなぁ……悪いけど、大原さんに連絡してくれるか?』
「ちょぉまちいや、今、穐斗を母屋に連れていくわ」
抱いていくと、
「あれ?大原はんや」
「あぁ、こんばんは。ちょっと聞きたいことがあって、それに顔を見に来たんですよ」
大原嵯峨は微笑む。
「じゃぁ、ちょぉ、かまんかろか?ひなが大原はんに言うて……」
電話を変わる。
「どうしました?一条さん」
『あぁ、こんばんは。大原さん。あの、この名前と、電話番号を残してもらえますか?』
「ちょっと待ってくださいね」
ポケットから手帳とペンを取り出し書き込む。
「はぁ?この人、外務省のエリートの人やないですか」
『祐也の実の親父です。祐也の父さんの妹の前の旦那で、10年前にありましたよね?日本人の少年がオーストラリアで行方不明。首都とは反対……西の方の町で発見された言うて。子供の名前は当然未成年ですから公表されませんでしたが、両親の名前出てこんかったでしょう?』
「そうでしたね。もしかしてその実の父親からなんかあったんですか?」
日向は祐也の話を説明する。
それも書き込み、
「それは、祐也くんも荒れるでしょう。恐怖もあるでしょうし……」
話す嵯峨の後ろから覗き込んだ双子が、
「あれぇ?こんひと、あてらのお店の常連はんのお嬢はんと婚約する言うとったお人やん」
「ほんとや。外交官の人で、今度お嬢はんがこの優しい旦那はんになるお人と、ニューヨークかワシントンに行くんや言うていいよったはずや。ちょっとお待ちいや」
標野が、電話を掛ける。
「あ、おかあはん。シィや。うん、うん、風遊はんとあきちゃんにおうたで。ん、写真はまた後で送るわ。それよりもなぁ。こんまえ、あの、隣町の、アァそうやそう。あそこんのお嬢はんの婚約がきもた言うとったけど、相手んかたは……アァやっぱり」
標野は、嵯峨をみる。
「おうとる。え?あ、おかあはん。実はなぁ……あんうちの人に聞いたんは、今回再婚で、前のお嫁さんとは子供がおらんかった言うてきいとったんやけど……あぁ、おとうはんから聞いたんか?でもなぁ……」
標野はにやっと双子の兄を見る。
代わった紫野は、
「おかあはん。そこの常連のおじいはんらには、あてらはよう世話んなっとるし、心配な噂を聞いたんや。ちょっと嵯峨もあの件でこっちにきとるんや。で、本当は守秘義務もあるんやけど、醍ちゃんも巻き込まれとるけん言うて、教えてもろたんや。相手の旦那はんになるお人なぁ。前のお嫁はんの前にも結婚しとんで」
『な、なんやてぇぇ‼』
裏返った声に、紫野は、
「しかもなぁ、10年ほど前にオーストラリアで、日本人の小学生の男の子が首都と反対の町で保護されたて事件あったん覚えとる?子供は未成年や、名前でんのは普通や。やけど親の名前は出てこんかったやろ?父親がそんひとや」
『それは、それはあかん‼あきまへん‼そげなおとこ‼』
叫ぶ母親に、
「でなぁ、実は、たいぎょうになった今回の件で、そん男が、電話を掛けてきよったんやと。自分の息子に。そん名前が、安部祐也くんや。祐也くんは、こんまい頃に両親が離婚して、父親に引き取られたんや。しかもなぁ、子連れの前妻はんと再婚した父親や前妻はん、血の繋がりのあらへん兄弟に虐待されとってなぁ……で、日本におる親戚にもおかあはんにも連絡できひんかって、逃げ出したんやと」
大原が、書き込んでいるメモを読んでいく。
「で、ヒッチハイクして、お手伝いとかなぁ……で、日本におったおかあはんは再婚しとったとは言え、息子が心配で連絡を取ろうとすんのに、父親や前妻はんに切られて、こもとったら、おにいはんが行って、甥の祐也くんのことを問い詰めたら、おらへん言うて、慌てて警察に連絡してなぁ、で、迎えに行ったんやと」
『なんてことや……そのぼんも、大変やったろに……怖かったやろに……』
涙声になる。
「でなぁ、その、叔父はんになる人が、連れて帰る言うて、もう二度と会うな言うたらしいわ。裁判して、親権も叔父はんに移して、養子になっとんやと。ほやのに、子供がおらんけん言うて、返してくれ言うてきたみたいやわ……ご両親が激怒して会うな言うたら、今度はこの件で、揉み消したる代わりに言うてきたみたいやわ」
「19才の子でも、大人になりきれんとこもあるやろし、それになぁ、そんなんうけとったら、怯えるとおもわん?」
標野はスマホに声をいれる。
『そら当然やわ‼あきまへん‼今すぐ、あてがそこんうちに電話するさかいに、さき、シィ。その代わりに……』
「「大丈夫や‼可愛い写真をぎょうさん送るさかいに、よろしゅうな~‼」」
電話は切れて、双子は、
「よっしゃぁぁ‼今日はいきひんけど、明日は写真を撮りまひょか」
「おかあはんがどうしても、着てもろたら言うとったんもあるんや~‼」
その声に、
「だんだんなぁ……おとうはんもおかあはんも……私の兄はこういう人なんです」
と溜息をついたのだった。
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