厨学二年の胡桃さん

切っ掛けは確か……そう、小学生の時に学校の帰り道に落ちていた漫画の本を拾ってからです。その本を見て、そこに出てくるキャラクターに憧れ、私はソレを真似る事にしたんです。

どんな真似かと言うと……。

「私は、誰も恐れる不良……。ここら辺りに敵はねぇですよ！」

はい。台詞で分かる通り、ヤンチャなキャラクターです。
一昔前の女の不良が着るような制服を着てました。学生カバンにはバット (プラスチック製)を詰め込み、口にはタバコ (チョコレート味のお菓子)をくわえ、通学用に使う自転車を段ボールとかを使って自分なりに格好良く改造して通学してました。

そんな、まさに真っ黒な歴史を辿っていた時期。青春真っ盛りの中学二年生……。

今は、太陽がキラキラ輝く田んぼに囲まれた畦道を、それはもう恥ずかしい台詞を吐きまくって自転車通学しています。

「ふっふっふっ……。私は悪です、煙草吸いながら自転車運転する悪です！！ このバットで沢山悪い事してやるですよ……ふふふふふふ」

……はい。もう、あれですね。ただの痛い女ですね。これが過去の私なんです。これ、今まで忘れてたんですよ？ だって、見てどう思いました？ ドン引きしたでしょ？

つまり、ですね……。成人して、過去を見返し、アレな記憶過ぎて忘れるように毎日毎日頭を叩いて……記憶を消したんです。もう……大変だったんですよ？ それも今思い出しました、ふふふ……。

「今日も伝説を作ってやるですよ！！」

もう作ってますよ。大いなる伝説をね……。

あ、言わずもがな、この時の私は近所で評判でした。変な娘だとね。もちろん、この時の私は全く気が付いてません……自分の世界に夢中ですからね……。

こうやって思い返しみると、こう思いますよ……。タイムマシンがあったら、この時の私をぶっ飛ばして「今すぐソレを止めやがってください」って言ってやりたいですよ。

「いぇいっ、うぇいっ、今日の私は絶好調！！ いつか、必ず我が校の番長になってやるですっ！！」

全校生徒40人の学校で何を言ってるのやら……。まぁ、絶好調ではありますね、私の台詞は……。

「っ！！ いっいま、超凄い必殺技を思い付いたです。こっこれは学校に着いたらノートに書かないと。こっこれは凄いですよぉ……多人数を一網打尽にするスッゴい技です！！」

はい、今ノートって言いましたよね。それが私が見られないように抱き締めたノートです。
つまり、あのノートは……この時、思い付いた必殺技の数々をヘッタ糞なイラストと共に書き記した"必殺技ノート"です。

因みに、タイトルは……。《秘伝 桜塚流格闘術 必殺技の書》です。このノートのタイトルを見て、思い出したんですよね……。

ほんっと、お母さんはとんでも無い事をやらかしてくれましたよ……ちっ。

「ふふっ、ふふふふふ……うふふふふふ」

突然笑いだしましたね。さっきから一人言言ったり、笑ったり……可笑しな人です。

では、本当は話したく無いんですけど……折角ですからほんの少しだけ話しておきましょう。私が中学生の時にやった数々の奇行を……。