住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

雨、その男はやってきた!

今日も今日とてコンビニ勤務。ちょっとぱらついた雨模様、寒い日に雨って……なぁんか嫌ですよね。

「はっはっはっ。そう照れるな、一回私にどどぉんっとアプローチしると良いっ」

そんな天気なのにも関わらず、長門さんのいつものお客様に対する迷惑な対応を見て「またですかぁ」と思う今日この頃。毎回毎回飽きもせず、何が楽しくてこんな事やってるんでしょうか。

「もぉ、長門さん! いい加減にしてください」
「ぐぇっ!? ぉっ、ぐっ……ぐるみっ!! くっ首……しっしめ……る、なぁ……」

だから、後ろから近付いて腕で首をぎゅっとしました。よし、大人しくなりましたね。

って、あ……お客様、悲鳴あげて逃げちゃいましたね。気にせずゆっくりお買い物していけば良いのに。

ん? 長門さん、腕をペシペシ叩いてますね……。そろそろ、離してあげましょう。

「ぶっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! あぁぁぁぁっ、空気っ! 空気だっ!! 酸素っ! 酸素美味しいぃぃぃぃっ! しっ死ぬかと思ったぁ……」
「もぉ、死ぬだなんて……大袈裟ですね」
「いや、大袈裟じゃないからな?」

おぅ、結構マジな眼で言われちゃいました。

「でも、それは長門さんがお客様に迷惑を掛けたからです!」
「なにぃっ、あれは迷惑じゃないぞ!」

ほほぉ、この人は睨みをすえながら中々ふざけた事をいいやがりますね。あれが迷惑行為じゃないと……。

「もう一度絞められたいですか?」
「っ!?」

あ、後退りしました。そんなに嫌がるならしなければいいのに。そしたら私は何もしませんよ?

「くっ胡桃ぃっ、むっむやみやたらに首を絞めたらダメだぞ! へっ下手したら危ないんだからな!」

……ふむ。でも言ってる事は正しいですね。確かに危ないです。

「分かりました。今後首は絞めません」
「お? ほんとか? はっはっはっ……分ければ良いのだ!」

分かりやすく笑っちゃってますね。これで心置きなくお客様にちょっかい掛けれるとか思ってるんでしょうか? ふふふふふ……そうはいきませんよ?

「ただし、今後お客様に迷惑を掛けたら…………全力で叩きます。グーで頭をゴツンッ! と……ね」

にぃぃっと笑って拳を見せ付けると、微笑んでた長門さんの表情がみるみる内に恐怖の顔に変わって、カタカタ震えました。そして……。

「うっうぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ、七瀬ぇぇっ。胡桃が脅してくるぅぅ」

そう言って、お店の奥にいる七瀬さんの所へ走っていきました。そしたら七瀬さんはクスリと笑って「よしよし」と長門さんの頭を撫でました。もぉ……甘やかしてぇ、厳しくいかなきゃダメですよ。

よし、ここはガツンッと言ってやりましょう! 甘えちゃダメです! と。そして、七瀬さんにも言ってやりましょう、甘やかしちゃダメですってね。

じゃ、今はお客様いませんし向かいましょうか…………って、あ。お客様来ちゃいました。
って、わぁぁ……背、高い渋いお顔の男の人ですね。それに……鼻が高いです。
もしかしなくても外国人、ですかね? 明らかに日本人の顔をしてません。

『すみませんお嬢さん。少し良いですか?』
「へわっ! あ、えっ……ぅえっ!!」

あ、おっ、はっ話し掛けられました。えっ英語で。どっどうしよう、私、英語なんて……分かりませんよ?

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