住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

聖戦当日、胡桃奮闘す 1

来ました、ついに来ましたよ……。
まだまだ冷える2月の早朝、毎朝やってる日課のジョギング、その最中にニヤニヤしちゃう私。
遂に当日ですよ、私にとってのハッピーデイズがやって来たんですよ!

あぁぁぁっ、良いですねぇ……わくわくが止まりませんよぉ。
うひっ……うひひひ……。

「っ! おっと、いけませんね……ニヤニヤしながら走ってると変態と間違われますね、自重しましょう」

これで、不審者だと思われ通報されたら洒落になりませんからね、気を付けないと……。

「でっでも、んっ……おっ抑えが、ききませんね」

どっどうしてもニヤけてしまいます。
これはあれですね、早々に切り上げた方がいいかもです。
という訳で帰りましょうか。


「長門さん、止さん、七瀬さん、おはようございます」

……はい、帰ってきました。
直ぐに部屋に戻ってシャワーを浴びてお店の制服に着替えて、いざ勤務開始です!

「うむ、おはよう」
「はよー」
「おはよう」

三者三様の挨拶を見て、開店準備……それが終わったら開店! ふふふぅ……皆さん、たぁくさんチョコを買うんでしょうねぇ。
いやぁ、チョコの他にも飴もありますからねぇ……あと、コンビニなのにケーキ屋さんで売ってる様なホールケーキも売ってますから、もしかしたらソレを買うかもしれません!

理由はなんであれ、甘い物を買う人は私のお仲間です! もちろん、甘い物好きの方も仲間! 甘味は偉大なんですよ!

「ねぇ……」
「なにぃ?」

おっと、今棚の整理をしてる所なんですけど……会話が聞こえてきましたね? えぇと、あの方たちは……20代の方たちですかね?

「あんたの彼氏にチョコあげんのぉ?」
「あげるぅ」
「えぇ、まぁじぃ? 手作り?」
「買ったやつぅ」
「まぁじぃ?」
「まぁじぃ」

……なっなんか、喋り方のせいでバカっぽく聞こえますが、バレンタインならではの会話な気がします。
チョコって、作るの手間が掛かりますよね、でも……手作りだろうがなんだろうが……私は貰えたら何でも嬉しいんですよ! だってチョコは美味しいんですから!

……おっと、いけない。
盗み聞きなんて趣味が悪いですね、仕事に集中集中。

「すいませぇん」

ん? お客様の声……はっ! レジの前に立ってますね。
だっ誰も居ないんですか? って、あぁ……今ここにいる止さんも、七瀬さんも手が離せないみたいです。

長門さんは、裏で作業中……よし、ここは私が行きましょう。

「はぁい、ただいまぁ」

とてとてと歩いてレジに立つ私。
おぉ、お客様はおじさんですね……ごま塩みたいなアゴヒゲがあります、剃り残し……ですか? まぁ、それは良いとして、会計をしましょう。

「……はうわぁっ!!」
「っ!!」

と、その時です。
私は驚きました……いや、これは驚かずにはいられませんよ。
お客様も私の声に驚きました、いや、そんなのどうだって良いんです!

だっだって、だって……この方、バレンタインデーなのに1つもチョコを買ってません! バレンタインデーなのに!!

私は、キッ! と眼を鋭くしカウンターをドンッ! と叩きます。
そしたら「ひゃわっ!」と声をあげるお客様……それをスルーして私はこう言い放ちました。

「なんで甘い物を買ってないんですか! 今日は……バレンタインデーですよ!」
「…………は? いや、えと……え?」

くっ、この方……全く理解してませんね。
バレンタインデーに買う甘味のありがたさと言うものを!

「良いですか! バレンタインデーに食べる甘い物は……特別なんですよ!!」
「…………はっはぁ」

くっ、全くわかってませんね……。
仕方ありません、ここは私がキッチリと教えましょう! バレンタインデーに食べる甘い物の魅力と言う物を!

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品