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わいず

負けられぬ戦い、そして現れるちびっ娘 2

突如現れたその黒髪ツインテールの娘は、慣れた手付きでクレーンゲームを操作します。

「きしし……こんなのイージーだぜ」

かしっ……。
アームはしっかりとアイスを掴みました。
そのまま落とす事なくアイスを出口へと持っていきます。

「はい、一丁上がりっ!」

そして、アームは開かれアイスを落とします。
ガコンッ……って音がした後、取り出し口に手を入れてアイスをとった後、私にアイスを手渡してきました。

「はい、お姉さん!」
「え、あっ……あの」

どっどうしましょう。
これ、くれるんですかね? もの凄い微笑ましい笑顔で言ってますけど……これ、受け取って大丈夫なんでしょうか?
とっと言うか、この娘、あのアイスをたった1回で取りましたね……凄いです。

「えと、あの……有り難いんですけど、うっ受け取れません、それは貴女の物ですよ」

なんて事を思いつつ、笑って言いました。
正直そのアイス……めちゃくちゃ欲しいです。
奪い取ってでも物にしたいです、今すぐにでも味わいたいです。

でも……流石にそれはダメです。
ここは大人な対応をして、きっちり断りましょう。
本当は欲しいんですけどね……。

「ですから、私が貰うわけにはいかないですよ」

にこっと微笑んで言うと、その娘は……。

「お姉さん……おれの目は誤魔化せないぜ!」

まるで、某名探偵の様なポーズを取り私を指差す黒髪ツインテールさん。
キリッと決めポーズを取ってドヤ顔を決めます。

わ、なんか可愛い……思わず抱き付きたくなりますね。
なんて危ない事を考えた時です、その娘は言いました。

「お姉さん、必死にアイスを取ろうとしてたじゃん?」

……へ?

「なんかブツブツ言ってたじゃん? 元がどうのって……」

……えと、もっもしかして、私……口に出しちゃってました? 

「それ見ててさ、あぁ……アホな散財してんなぁって思ったんよ。でさでさっ、ここはおれが何とかすべきかな? って思って出て来た訳だぜ!」

あっアホときましたか。
この娘、笑顔で酷い事言ってきますね……軽く傷付きました。
って言うか、そもそもこの娘は何者なんですか?

「あはは、そっそうですか……」
「きししっ、ゲーマー足るもの、ゲームして損をする人は見逃せないっ、だからこれはお姉さんのだぜ」

ずいっと、アイスを前に持ってくるその娘……こっ困りましたね。
断り辛いし、受け取り辛い……いっ一体どうしたら?

「おっお姉さん? そろそろ受け取ってくんないか? 手がちめたい……」
「あ、そっそうですよね、すみません!」

私は慌ててアイスを受け取ります。
すると、その娘は悪戯っ娘の様に、にやりっと笑います。

「ふふっ、受けっとたな? それもう、お姉さんのだなんな」
「え、あっ!」

あまりにも冷たそうだったんで、つっつい受け取っちゃっいました……。

「まんまと引っ掛かったな! おれの作戦勝ちだぜっ」

してやったり! って言いたげにVサインを見せ付けてくるその娘は、くるっと後ろを向いた後……顔だけを私に向けて言ってきました。

「お姉さん、おれがクレーンゲーム攻略法教えてやるぜ!」
「あっえと……わっ私、急いでるんで良いです。お気持ちだけ受け取っておきますね」

このまま去るのは申し訳無い感じがしますけど……私は今、人探しをしています。
……その事を先程思い出しました、なのでそれをしないといけません。

「アイス、取ってくれてありがとうございました」

にこっと笑った後、頭を下げます。
そしたら、その娘は、むっとした顔をしてこっちに来ます。

なっなんですか? そう言おうとしたその時です。

「お姉さんには後、3900円分楽しんで貰わないとダメだ。そうじゃないとおれの気がおさまんねぇっ。って、事でいっくでぇ! あ、まずアイス食べないとなっ」

私の腕を掴んで早口でそう言った後、その娘は走り出しました。

「えっ、わっ、きゃっ!」

そんな悲鳴を上げる私は何処かへ連れていかれました……。
なっなんでしょう、このやりたい事だけやってる感じは。
何処かの誰かさんに凄く似ています。

って、そんな事を考えてる場合じゃないですよね? 私は早く止さんを探さないといけないのに……。

そんな事を考えを、謎の黒髪ツインテール娘さんは知るよしも無くゲームセンター内を駆けていくのでした。

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