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わいず

目覚ましドッキリはこうやっても面白いと思う 2

それは今朝の事だった。
がっこに行く為、速めに起きようって思ってる私は……その思いとは裏腹にぐっすりと寝ていた。

「んんっ……ぅぅぅぅ」

布団の中でもぞもぞと動く私……あぁ、部屋の中なのに寒いぃ。
布団被ってるのに……それに、あたし朝弱いから余計に辛いのよね。

しょうがない、5分……あと5分経ったら起きよ。
そしたら、がっこ行く準備しよ。

そう決めた私は寝返りを打つ。
そしたらだ……むにょんっ、何か柔らかいのに当たった。

「んぁ? なによぉ……」

寝る時には枕以外何も置かないあたしは、気になって眠た眼でその方向を見る。

「おはよう、寝坊助さん……気持ちの良い朝ね」

そこには、にこっと微笑む七瀬が私の側で寝そべっていた。
その瞬間、眠気が吹き飛びそいつを蹴飛ばす。

蹴飛ばされた七瀬は「いやんっ」って言って怯む。
あたしは、直ぐにベットから降りて七瀬から距離を取る。

この動きで汗が一気に吹き出た。
あっ焦るわぁ……朝からこんな事が起こるなんて……寝起きドッキリみたいじゃん。

ってな事を考えて我に帰る。

「なっなっななっ、なんであんたが此処にいるのよ!」

顔を真っ赤にして言うと、七瀬は、くすっと笑った後、眼鏡をくいっと上げてクールに応える。

「こっそり入って来たのよ」
「誰かぁぁっ、不法侵入者が此処にいるぅぅぅぅっ、助けてぇぇぇ」

一気に鳥肌がたった。
あぁぁぁっ、もぅっ、最悪!

「そんなに怖がらなくていいじゃない、傷付くわ……と言うか、恵の怯え顔、素敵ね」
「うっさい、黙れっ!」

嫌悪感丸出しの表情かおで睨む。
くっ……七瀬の奴、寝起きで何て事してくれたのよ。
お陰で、最悪の目覚めになったし……。

「ふふふ、恵ったらそんな表情かおも出来たのね……怒った顔も素敵よ」
「黙れって言ったの聞こえなかった? あと近付いてくんな!」

うわぁ……凄く緩みっきた表情かおしてるし。
あたし怒ったのに、なんでそんな顔出来るの? 怒られてる自覚が無いの? それても怒られて嬉しいわけ? そうだとしたら……ドン引きだわ。

「あら、冷たいのね……私と恵は一緒にお風呂に入った仲なのに……」
「誤解される様な事言うなっ、それあんたが今みたいに不法侵入して来たからでしょ!」

ふぅ……ふぅ……。
息を切らせつつ、怒りをあらわにしてるに、七瀬は緩みっきった表情のまま。

これ、普段七瀬が変態的な言葉使わなかったら、素直に素敵って思ったんだろうなぁ……。
でも変態だからそうとは思わない、だからその表情は嫌で嫌で仕方ない。

と、そんな事より……聞かないといけないことがあるじゃん。

「つか、こっそり入ってきたって言ったけど、なんで部屋に入れるのよ! 鍵掛かってなかったの?」

ビシッ!
指を指して言い放つと、ゆっくりと私の方へ近付いてくる七瀬が立ち止まり、ズボンのポケットに手を入れる……そこから何かを取りだし、それをあたしに良く見える様に見せ付けてきた。

「マスターキー……」

艶かしい口調で語る七瀬……。
かっ顔が青ざめてきた、こっこんな感覚初めてかも。
て言うかマスターキー? それ、あんたが作ったの?
いや、まじでキモいんだけど。

「あ、そのさげすむ顔も素敵……写メ撮って良い?」

あたしは何にも言ってないのに、パシャッ! と七瀬はスマホであたしを撮ってくる。

不愉快極まりないし……まじで気分最悪だし。

「とっとと出てけ」

だから冷たく言ってやる。
七瀬には効果が無いけど言った。
そしたら、七瀬はにこって笑ってスマホをしまう。

「ふふふ、ごめんなさい……少しからかい過ぎたわ」
「いや、少しじゃないし」
「大切な話があるの」

うわ、無視された……。
てか、急に真剣な表情かおしないでくんない? 少しビビるじゃん……。

「1度しか言わないから良く聞いて欲しいのだけど……準備は良い?」
「良くない、だからさっさと帰ってくんない?」

なんで、真剣な表情かおしてんのか分かんないけど、あたしはこれ以上あんたと居たくない。
だからさっさとかえって欲しいのに、七瀬はまた無視して話を続けた。

「好きよ、愛してる、私と結婚しましょう」

ピシッ……。
そんな音が聞こえた気がした。
え? なに? あたし告白された? 不法侵入されて? 告白?
はっははは……なにそれ、まじ笑えないんだけど。

「……ふざけんな」

乾いた笑いをしたあと、真顔で言い放つ。
ほら、やっぱりろくな事言わなかったじゃん……七瀬が「大事な話があるの」って言った時は毎回こう。
最近あったので言っちゃうと「あたしと寝ましょう」だった。
なんか全裸であたしのベットにいたから、あたしは悲鳴を上げた後、思い切り蹴り飛ばしたのを覚えてる。
でも今回のは……それ以上にキッツいわ。
まじで最悪な告白されたわ……気分が落ちたわ。

「勿論答えはyesよね?」
「ねぇ……なんでyesだと思ったの? 普通にNOだから! バカじゃないの?」

力の限り叫ぶあたし。
その叫びは部屋中に響いた……七瀬はそれを聞いて「しまった、フラグがまだ立ってなかった」とか言った。

フラグとか立つわけないし! 立つとしたら腹よ! あたしはあんたに腹がたって仕方無いわ!


と、これがあたしが目覚めた時に起きた事……これがあってあたしは気分が落ちてる。
同時に不機嫌でもある……あぁあ、こんな気持ちでがっこに行きたくなかったなぁ。

はぁ……。
友達2人が勝手にあたしが落ち込んでる理由を話してる中、ため息を吐いた。

あぁぁ……決めた、今日は学食でやけ食いしよ、太るとか関係なし。
この怒りは食事で解消してやる!
そう心に誓ったあたしは、固く拳を握った……。

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