住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

お酒のお付き合いの話し 8

間近で見る長門さんは、普段の長門さんと違って見えます。
そりゃもう、近くにいるので、普段は見えない所がハッキリ見えちゃってる訳です。

「うっ、うぅっ、足絡めて来ましたぁ……これじゃ、離れられませんよぉ」

暗い私の部屋、そこにあるベットに寝るのは私と長門さん。
あっ暖かい、とっても暖かい! お布団も掛け布団も暖かいですが、長門さんも暖かいです!

って、何思っちゃってるんですか! そんな事思ってる場合じゃないでしょう。

でっでもです、でもですよ? 今の長門さんを見てくださいよ……。

「くぅ……かぁ……すぅ……ぴぃ……」

凄く気持ち良さそうに寝息をたててます。
それに、きゅっと優しく私を抱いて、時折抱きつくのが少しだけ強くなったかと思いきや、直ぐに力を緩めてくれる。

長門さんの優しい寝息、すぅ……すぅ……って、まるで子供の様な息使い、あっ愛くるしい。
とっても愛くるしいですっ、私にはっ、とてもじゃありませんが、こんな状態の長門さんを無理矢理起こす事なんて出来ません!

「でっでも、おっ起こさないと七瀬さんが……ひゃんっ!?」

ここは、心を鬼にして起こしましょうっ、と、決心した時です。
さわわっ、と横腹にくすぐったさが現れました。

なっななっ、なんですか今のは! いっいや、何ですかも何も、かっ確実に長門さんがくすぐったんでしょう。

全く、七瀬さんを部屋に運ばないといけない時に悪戯して……こう言うのは、寝ても起きても変わりませんね。

じぃっと、長門さんを睨むと、長門さんは「んっ……ぁぅ」って呟いて、腕を私の背中の方に持ってきました。

そのまま、ぎゅぅっと自分の方に押し付けて来ます。それと共に感じる豊満で柔らかな感触が、私の胸に当たってきました。
そりゃもう、むぎゅぅって感じでしっかりと……。

「……あははは、なんでしょう、私、喧嘩売られてるんですかね? 良いですよ? 買いますよ? 相手が寝ていても容赦はしませんからね?」

静かに拳を握りながら、笑顔で長門さんを見る。
……って、ダメですダメです、殴るのはダメですよ!
いかに、自分にとって不愉快な感触を感じたからといって、暴力はダメです。

「まぁでも、デコピン位なら構いませんよね? このままじゃ、イライラしっぱなしですし、イライラしてたらいけませんしね」

と、自分にとって都合が良い様に解釈して、握った拳を開いて、デコピンをする構えを取る。

さぁて、狙いは長門さんのオデコ辺り……よしっ、狙いはバッチリ! 喰らいやがりなさいっ、怒りのデコピンっ。

「てぃ……ぁひゃん!?」

てぃやっ! と、掛け声を上げるつもりだったのに、私は恥ずかしい声を上げてしまいました。
その理由は至極簡単な事でした。

「にゃっ、にゃぎゃと……しゃ……んっっ!」

まっまた、また長門さんが……私の横腹を触ってきてますっ。
さわっさわって、撫でては私の胸に顔を埋めて「んんっ、抱き心地……しゃい……こう」て寝言を言ってます。

「あっ、んんっ……らっらめっ、ひゃめっ……あぅっ!」

もごもごと足を動かす私、でも長門さんはそれを止めるかの様に足を絡めて来ます。

あっあぁ……くっくすぐったいのにっ、動き回らないと我慢できないのに、うっうぅ。、なっ長門さん、ねっ寝てるのに手付きがやらしいですよぉ……本当に寝てるんですか?

「はぁ……はぁ……はぅっ!?」

声を上げてしまった私は口を押さえます。
いっいけない、私……横腹触られるだけでもダメなのに、そっそんな上下に擦られたり、もみもみされたら……こっ声が、恥ずかしい声が出ちゃいますよぉぉっ。

「すぅ……すぅ……むにゃむにゃ」

必死に声を押さえる私は、小刻みに身体を横に振るいます。
でも、長門さんがしっかり私を抱き締めているので振り払えません。

なので、手で長門さんの肩を押すんですが……くすぐったさの性で力が出ません。
はぁ……はぁ……だっだめ、せっせめて、違うところ触って下さいよぉ。

もっもう身体が熱くなって、おっ可笑しくなっちゃいます……。

長く横腹に触れられた性で私の身体は火照っています。
写る景色も、ぽぉっとボヤけて、長門さんが発する寝息と寝言が霞んで聞こえてきます。

そっそれに……今の私は全身が敏感になっているのか。
長門さんが脚を動かす度に私の脚と擦れるのですが、それでも「ひゃっ……」と言う恥ずかしい声が出ちゃうんです。

あぁぁぁっ、こっこんなの抜け出せる訳が無いです。
きっと、私は朝までこの状態が続くんです。

うっうぅぅぅっ、恥ずかしいっ、くすぐったいっ、熱いっ、そして……目の前にいる長門さんが憎い! こっこれは朝一番に説教では済ませません。

きっキツい一撃を脳天にかまさないと気がすみません! 物騒な事を考える私は熱い呼吸をしながら、長門さんを見ます。
すると、ずりずりと身体をずらしてくるではありませんか……。

んっ、かっ身体が擦れるっ。
くっくすぐったい……って! 顔ちかぁっ、なっななっ長門さん!? いっ今、顔が間近にありますよ? こっこれじゃ、動き次第では、きっキスしちゃいますよぉぉっ!

慌てる私は、身体を後ろに反らします。
そしたら、長門さんは目を瞑ったまま嫌そうな表情になり私を引き寄せて来ます。

あっあぁっ、やばいまずいやばいまずいやばいまずい!
どっどどっどうしよう、これっどうしようぅっ!

せめて顔だけは……と思って、軽く頭を後ろに反らす私。
その時、長門さんの口元がもごもご動きました。

「ぁむっ」

そう小さく呟いた後、長門さんの顔が、私の顔に近付いて来て……。
パクっと、私の耳を甘噛みしてきました。

「ひゃぁぁっ!?」

身体全身が痺れます、目の前が白と黒とに光った感じがします。
もう声を我慢できない位の感覚を得た私は……長門さんを強く抱き締めてしまいました。
そうする事で、何かを我慢するダメです。

あぁっ、あぁぁぁっ、痺れてる、身体が痺れてる。
ふぅっふぅぅっ、だっダメ、呼吸が荒くなってる。

うっ、くぅぅぅっ、こっこんな時に……なっ長門さんの手が動いてますっ。
さわさわって、私の横腹撫でて来てるっ。

「うっ、くぅぅっ、はぁ……ひぃ……もぅらめぇ、わたひ……逃れられなひ……」

もう全身が変な感じになった私は、とろぉんっとした目で長門さんを見ます。

ごめんなさい七瀬さん、私……迎えに行けそうに無いです。
ですので、1人で……なんとか……してください……ね。

がくんっ……。
身体の力が抜けた私は、そこで意識が途絶えました。
明日から新しい月が始まると言うのに、こんな恥辱的な事が起きるなんて思いもしませんでした。

明日はきっと、物凄く騒がしくなるんでしょうね……あはははは、はぁ……。

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