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わいず

山田、本性? を知り驚く

恵様を見守る為に活動した我々は胡桃さんを知る事が出来て任務を終えた。

恵様親衛隊隊長である俺は現在、自分の家に帰っていた。
時刻は夜の7時、もうすぐ夕飯が出来る頃だ、そんな中俺は、自室の勉強机に向かい俺は机に肘をたてて手で頭を押さえていた。

この仕草はあれだ、あまりの衝撃的事実に動揺している故の仕草だ。

「くっ、まっまさか……あっあんな事になっていたとは」

あれは本当に衝撃的だった。
親衛隊達も度肝を抜かれていた、信じられない、嘘だろ、まさか、あの時うっかりこの言葉が出そうだった。

ぎりりっと歯を食い縛り頭を抱える、あぁぁ、やはり学校で言ってた「好きだ」は嘘ではなかった。

何故なら恵様は、店内で堂々と言ったんだ「今の胡桃さんが好き」だと、紛れもない事実が俺の心を締め付ける。
恵様に好きな人がいてショックだ、だが、それよりも重大な事がある。

なんと胡桃は女だった、驚いた、てっきり男だとばかり思ってた。
親衛隊達もそう思ってたに違いない、と言うか、そう思わざるをえなかった。
何故なら人は男と女で愛し合うものだからだ、しかし、世の中には違う恋愛感情を持っている奴がいる。

例えば男と男だったり、女と女だったり……まぁ同性愛って奴だな。
うん、えと、つまりだ、何が言いたいかと言うと。

恵様は同性愛者だった、だって人が賑わってる店で堂々とあんな事言ったんだ、間違いないだろう。

しっしかしそうなってくると、恵様のイメージが随分と変わってくる。

普段の明るくて活発なイメージに、よっ妖艶さ? と言うのか? そう言う風なのが加わってくる。

「……」

結論から言うと、その、あれだ、今でもドキドキしてるよ、恵様の本性をかいまみてな。

「まっまぁ、個人の恋愛だしな、文句は言わないさ」

バッーーと、顔を上げて気持ちを落ち着かせる。
そう、何もそんなに驚く事じゃない、好きになった相手が女だったってだけだ。
何も問題はない、深くは突っ込んではダメだ。

「うんうん、いいじゃないか百合カップル」

双方が幸せならそれで構わない、俺はそう思う。
同性だったとしても、恵様に彼氏、じゃなくて彼女が出来た事を喜ぼうじゃないか。

と、言う風に考えなんとか平静を保つ、そのお陰でさっきよりはマシになった。
やっぱりな、同性愛者を見掛けると多少なりとも驚くんだよ、ダメだなこんなんじゃ、平静を保って微笑ましく見なければいけないのにな、反省しよう。

「よし、学校についたら親衛隊達には解散の命を出そう、側で見守ってくれる人がいるんだからな」

俺達が監視したら邪魔になってしまう、なので身を引くべきだろう。
悲しいが恵様がいなくなる訳じゃない、これはけじめなのだ!

「胡桃さん、ハスキーボイスで格好が良かったな、きっとそこに惚れたんだろう」

俺を目を瞑り、胡桃さんの顔を思い出す。
年上で赤髪ショートヘア、目付きは少し鋭い感じで怖い印象、だが優しそうだ。
体格はスマート、特に胸の辺りなんかは、まな板と同じ、つまり、ぺったんこと言う事だ。

「ふむ、恵様が可愛い系なら、胡桃さんは格好良い系だな、お似合いカップルじゃないか」

二人で手を繋ぐ様子を想像したら絵になる、百合好きの人が見たら鼻血ものだろう。

「しかし、気になるのは、2人はどこまでいってるのかって事だな」

手を繋ぐ様子を想像したら、ここまで想像してしまうのは仕方の無い事だろう。

「手を繋ぐはあのイチャつきっぷりを見ればしてるだろう、ならば軽いボディータッチ、一緒に食事はしてそうだな」

考えて見ると、出てくる出てくる勝手な妄想が。
ふむ、ここまで豊かに妄想出来るとなると、俺は百合が好きなのか? まぁそれは置いとこう。

「いやしかし、恵様は恋愛に関しては初な感じがする、もしかしたら手すら繋いでないかもしれない……だが、相手の胡桃さんはやり手な感じがする、優しい口調の奴は強引な奴が多いからな」

アニメとかではだがな。
と、なると考えうるシュチュエーションは。

『恵さん、手繋ぎませんか? 断っても繋ぎますけど』

始めは胡桃さんが切り出してくる、それを聞いた恵様は恥じらって顔を真っ赤にするんだ。

『えっ、ちょっ、やだ、恥ずかしいっ』
『うふふふ、恥じらった顔、可愛いですね』

そんな恵様を見て悪戯に笑ってからかう。
そしたら軽い力でぽこぽか胡桃さんを殴るんだ、涙目でな。

『かっ可愛いって言うなぁぁ!』

そう叫ぶも胡桃さんは微笑んで見つめるだけ、と、こんな感じだろう。
で、その後は、これでもかってくらい恥じらった挙げ句最後には侃に手を繋いじゃうって奴だな……やばい、萌えてきた。

「てっ手繋ぎはそんな感じだとして……やはり気になるのはキスだよな?」

そう、そこが一番気になる。
思春期真っ先りの男は誰だってきになるのだ、だから妄想してしまうのはダメな事じゃない、だが、一応心の中で謝っておこう、ごめんなさい恵様、胡桃さん。

「キスは……やはりあれか? 胡桃さんが強引に、いや、普段恥ずかしがってる奴はキスになると勇気を出す、そんなアニメを見た事がある、それを踏まえて考えると……」

『キス、キスしよ!』
『……え、いっいきなりなんですか?』

突然恵様がそう叫んで胡桃さんを壁ドンするんだ、背は胡桃さんの方が高いから恵様は背伸びして胡桃さんの顔に近付くんだ。
当然、恥じらいながらな、目なんか、うるうるさせてるんだろうな。
緊張のあまり今にも泣いてしまう、そんな感じだ。

で、急に壁ドンされた胡桃さんは取り乱して慌てる、身体は硬直して抵抗が出来なくなってしまう、そこを恵様がゆっくりした動きでキスをする。

…………やべぇ、これやべぇ、まじでやべぇわ。

「おっ俺の妄想……凄まじいな」

ここまでくると当然、あれを想像したくなる、だって思春期だもの、仕方ないだろ? うん仕方ない。

あっ、因みにあれとはあれだ。
その、えと、ほらあれだよ、分かるだろ? 夜ベットで抱き合うあの行為の事だ。

男なら誰しもが興味がある、ねぇよと言う奴は嘘をついている、男は誰しもがエロ妄想をするもんだ! と言う訳で想像してみる。

…………。
………。
……。
「ごぶはっ!」

その時だった、俺は鼻血を吹き出した、くっぐぅぅ。
溢れ出るピンク色の妄想に俺の精神が耐えきれなかったんだろう。
いや、しかしだ……鼻血を吹いた位で妄想を止めるのはどうかと思うんだ。
だって、偉い人が言ってただろ? やった事をやり掛けのまま放っておくのはダメだと。

だから俺は妄想し続けた。
その夜、俺は色んな考えが頭を過って眠れなかった。
で、その翌日……俺は貧血で学校を休んだのであった。

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