住み込み就職 お仕事時々お遊び
恵さんは声高らかに言っちゃった 1
がっこが終わった。
そしたら一気に気が緩む、でも長くは緩んじゃダメ、だってバイトがあるもん。
暖かいコートに身を包んで、皆に「さよなら」を言った後、さっさと何時もの様にバイト先へ向かう。
でも、いつもと違うのは……あたしの友達が着いてきてると言うことね。
「けぇちゃん速いよぉ」
「ちょっ、待って……わっ脇腹いたっ痛い」
振り替えるとひぃひぃ息が上がってた。
はぁ、急ぐから走るけどそれでも良いの? って言ったのに、疲れるなら着いて来なければ良いのに。
「もぅ、だから言ったじゃん、着いてこない方が良いって」
「だって、イケメンなんでしょ? 一目見たいじゃん」
「そうだよぉ、見たいよぉ」
あたしは頭を抱えた、あぁ頭が痛い。
それも言ったんだよね、「胡桃さんは女って」でも聞いてくれなかった。
すっかり自分の世界に入っちゃってる、もうこうなったら実際合わせて気付かせた方が良いかな? と思ったから「急ぐから走るよ?」って条件の元案内してるんだけど……案の定疲れきっちゃってる。
「もぅ、分かったわよ、待ってあげるわよ、ほんっと仕方無いわねぇ」
「へへっ、ごめんね恵」
「ごめーん」
物凄くゆるゆるした謝罪を聞かされ、あたしは大きくため息をついた。
もぅ、早く行かなきゃなんないのに……胡桃さん、ごめんね。
 時と場所は移り変わる。
恵様親衛隊を率いる俺は、ある店の前にいる、現在は学校が終わり今は放課後……。
きちんと家に帰ってから私服に着替え隊員の皆に集まって貰ってる。
因みに、季節は冬で夜になるのが早いので、家が恵様がバイトしてる店から近い奴限定で来て貰ってる、総勢10名だ。
「山田隊長、作戦準備完了しております」
「そうか、なら手はず通りやるぞ」
「はい!」
店の前に横一列に並んで準備する。
皆暖かい私服に着替えてる、どうやらキチンと家に帰ってから着たようだな。
よしっ、ならば行くか。
俺が一番先に店に入ると、列を崩してわらわら入ってくる。
ここが恵様がバイトしている店、こんびにと言う名のコンビニだ。
外観はおっきなビル、その1階がコンビニになっている感じだ、そして内装は良くあるコンビニのそれだ。
一件普通のコンビニに見えるが実はそうではない、昼休憩の時に俺の隊員がこう言ってた「あの店の店員はヤバい」と。
昼休憩、この話題で持ちきりで、店員をどう攻略するかの話題が大きくなって、胡桃とか言う男をどう見極めるかの計画はあまりたてられなかった。
だから「なるようになるさ」と安易な物になってしまった。
その店員がどうヤバいかは詳しく聞かなかったが……親衛隊の皆がそんなに言うコンビニ店員、一体どんな奴等かんだろう。
「いらっしゃませ」
「いらっしゃませ」
「良く来たなっ!」
と、長々と物思いにふけっていたら店員達の挨拶、赤髪ショートヘアの店員に続けて青髪密編みポニーテールの店員が挨拶、そして最後に黒髪ロングヘアーの店員が威勢良く馴れ馴れしい挨拶をする。
なるほど、のっけから違和感を感じさせる店だな。
「たっ隊長」
ん? わが隊員が小声で何かを言って来た。
「あの黒髪の人、要注意です……気を付けて下さい」
「なに?」
要注意だと? コンビニにそんな人がいると言うのか? 有り得ない話だが……この隊員の怯えよう、まさか本気で言っているのか?
「そこの男子高校生諸君!」
あっ、黒髪の人が近付いてきたな。
ふむ……近くでみるとスタイルが良くて大人な女性じゃないか、まるで女社長の様な気品がある。
この人の何処が要注意人物だと言うんだろう? この店を利用した事のあるうちの隊員達は大きな勘違いをしてるんじゃないか?
隊員達が怯える中、俺はまじまじとその黒髪の人を見る、そしてその人は俺達に向けてこう言ってきた。
「私に壁ドンしてくれないだろうか?」
……店内が凍り付いた。
明らかに年上の女性が「壁ドンしてくれ」とお願い。
唐突過ぎる、なんだこの人、こいつは何を言ってるんだ!?
多大な焦りを感じる俺、隊員達に至っては「でたっ、意味不明な絡みが来たぞ」とかそう言う風な事を言っている。
意味不明な絡み、なるほど……確かに隊員の言う様に意味不明な絡みだ。
だが、対して怯えるほどの事ではない。
「なんだ? 全員硬直してるな……まさか揃いも揃って全員、桜ん坊男子か」
っ、なっなんなんだこの店員、ニヤついてグングン来るじゃないか。
「若いんだからグングン行けっ、私はカベドンを体験したいんだ!」
めっ面倒くさい、この絡みは面倒くさい! なるほど、隊員が怯える理由はこれか……。
これをやられるとトラウマになる、ピュアな男子はこの絡みは上手くかいぐれない。
俺はこの店員に恐怖を感じていた。
が、その時だ……不適に笑う赤髪の店員が黒髪の店員に近付いてくる。
そして、赤髪の店員は黒髪の店員の後頭部を掴む。
「店長、そんなに壁ドンされたいなら私がしてあげますよ」
ハスキーボイスのその声は冷えきっていた。
赤髪の店長は笑ってはいるが氷の様な冷ややかさがあった、それを俺達が感じた時だ。
赤髪の店長が腕に力を加え、黒髪の店員を思い切り地面にビタァァンッ! と叩き付けた。
「ぐべばぁぁぁっ!!」
悲惨な悲鳴をあげる黒髪の店員、それを満面の笑みで見る赤髪の店員はこう言った。
「どうです? 望んだ壁ドンではありませんが床ドンです、胸キュンしましたか?」
……辺りは静寂に包まれた。
黒髪の店員は足をピクピクさせて「う……あ……」と呻いている。
この店員、別の意味で胸がキュンっとなってるな。
なんだこの店、色々とヤバい店じゃないか! こっこんな店で恵様が働いていると言うのか?
はっははっ、恵様のメンタル強すぎだわ。
そしたら一気に気が緩む、でも長くは緩んじゃダメ、だってバイトがあるもん。
暖かいコートに身を包んで、皆に「さよなら」を言った後、さっさと何時もの様にバイト先へ向かう。
でも、いつもと違うのは……あたしの友達が着いてきてると言うことね。
「けぇちゃん速いよぉ」
「ちょっ、待って……わっ脇腹いたっ痛い」
振り替えるとひぃひぃ息が上がってた。
はぁ、急ぐから走るけどそれでも良いの? って言ったのに、疲れるなら着いて来なければ良いのに。
「もぅ、だから言ったじゃん、着いてこない方が良いって」
「だって、イケメンなんでしょ? 一目見たいじゃん」
「そうだよぉ、見たいよぉ」
あたしは頭を抱えた、あぁ頭が痛い。
それも言ったんだよね、「胡桃さんは女って」でも聞いてくれなかった。
すっかり自分の世界に入っちゃってる、もうこうなったら実際合わせて気付かせた方が良いかな? と思ったから「急ぐから走るよ?」って条件の元案内してるんだけど……案の定疲れきっちゃってる。
「もぅ、分かったわよ、待ってあげるわよ、ほんっと仕方無いわねぇ」
「へへっ、ごめんね恵」
「ごめーん」
物凄くゆるゆるした謝罪を聞かされ、あたしは大きくため息をついた。
もぅ、早く行かなきゃなんないのに……胡桃さん、ごめんね。
 時と場所は移り変わる。
恵様親衛隊を率いる俺は、ある店の前にいる、現在は学校が終わり今は放課後……。
きちんと家に帰ってから私服に着替え隊員の皆に集まって貰ってる。
因みに、季節は冬で夜になるのが早いので、家が恵様がバイトしてる店から近い奴限定で来て貰ってる、総勢10名だ。
「山田隊長、作戦準備完了しております」
「そうか、なら手はず通りやるぞ」
「はい!」
店の前に横一列に並んで準備する。
皆暖かい私服に着替えてる、どうやらキチンと家に帰ってから着たようだな。
よしっ、ならば行くか。
俺が一番先に店に入ると、列を崩してわらわら入ってくる。
ここが恵様がバイトしている店、こんびにと言う名のコンビニだ。
外観はおっきなビル、その1階がコンビニになっている感じだ、そして内装は良くあるコンビニのそれだ。
一件普通のコンビニに見えるが実はそうではない、昼休憩の時に俺の隊員がこう言ってた「あの店の店員はヤバい」と。
昼休憩、この話題で持ちきりで、店員をどう攻略するかの話題が大きくなって、胡桃とか言う男をどう見極めるかの計画はあまりたてられなかった。
だから「なるようになるさ」と安易な物になってしまった。
その店員がどうヤバいかは詳しく聞かなかったが……親衛隊の皆がそんなに言うコンビニ店員、一体どんな奴等かんだろう。
「いらっしゃませ」
「いらっしゃませ」
「良く来たなっ!」
と、長々と物思いにふけっていたら店員達の挨拶、赤髪ショートヘアの店員に続けて青髪密編みポニーテールの店員が挨拶、そして最後に黒髪ロングヘアーの店員が威勢良く馴れ馴れしい挨拶をする。
なるほど、のっけから違和感を感じさせる店だな。
「たっ隊長」
ん? わが隊員が小声で何かを言って来た。
「あの黒髪の人、要注意です……気を付けて下さい」
「なに?」
要注意だと? コンビニにそんな人がいると言うのか? 有り得ない話だが……この隊員の怯えよう、まさか本気で言っているのか?
「そこの男子高校生諸君!」
あっ、黒髪の人が近付いてきたな。
ふむ……近くでみるとスタイルが良くて大人な女性じゃないか、まるで女社長の様な気品がある。
この人の何処が要注意人物だと言うんだろう? この店を利用した事のあるうちの隊員達は大きな勘違いをしてるんじゃないか?
隊員達が怯える中、俺はまじまじとその黒髪の人を見る、そしてその人は俺達に向けてこう言ってきた。
「私に壁ドンしてくれないだろうか?」
……店内が凍り付いた。
明らかに年上の女性が「壁ドンしてくれ」とお願い。
唐突過ぎる、なんだこの人、こいつは何を言ってるんだ!?
多大な焦りを感じる俺、隊員達に至っては「でたっ、意味不明な絡みが来たぞ」とかそう言う風な事を言っている。
意味不明な絡み、なるほど……確かに隊員の言う様に意味不明な絡みだ。
だが、対して怯えるほどの事ではない。
「なんだ? 全員硬直してるな……まさか揃いも揃って全員、桜ん坊男子か」
っ、なっなんなんだこの店員、ニヤついてグングン来るじゃないか。
「若いんだからグングン行けっ、私はカベドンを体験したいんだ!」
めっ面倒くさい、この絡みは面倒くさい! なるほど、隊員が怯える理由はこれか……。
これをやられるとトラウマになる、ピュアな男子はこの絡みは上手くかいぐれない。
俺はこの店員に恐怖を感じていた。
が、その時だ……不適に笑う赤髪の店員が黒髪の店員に近付いてくる。
そして、赤髪の店員は黒髪の店員の後頭部を掴む。
「店長、そんなに壁ドンされたいなら私がしてあげますよ」
ハスキーボイスのその声は冷えきっていた。
赤髪の店長は笑ってはいるが氷の様な冷ややかさがあった、それを俺達が感じた時だ。
赤髪の店長が腕に力を加え、黒髪の店員を思い切り地面にビタァァンッ! と叩き付けた。
「ぐべばぁぁぁっ!!」
悲惨な悲鳴をあげる黒髪の店員、それを満面の笑みで見る赤髪の店員はこう言った。
「どうです? 望んだ壁ドンではありませんが床ドンです、胸キュンしましたか?」
……辺りは静寂に包まれた。
黒髪の店員は足をピクピクさせて「う……あ……」と呻いている。
この店員、別の意味で胸がキュンっとなってるな。
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