住み込み就職 お仕事時々お遊び

わいず

止さんと恵(けい)さん 2

日向ひなた けい、17歳金髪ショートヘアのしっかりした娘よ」
「へぇ高校2年生なんですね」

和やかに七瀬さんの話を聞いていると、店員さんが空いたお皿を持っていきました。

「そう、けいは高校生、住み込みでアルバイトをしてるわ」
「それさっきも聞きましたけどどう言う事ですか?」

高校生で住み込みで働くってかなり訳ありな感じがします。

けいは学校からかなり遠いわ、困っていたら学校側からこのお店を紹介されたの」

あぁなるほど、つまりこのお店が寄宿舎みたいな感じになってる訳ですね?

「長門は働き手が増えて喜んで、けいは目指してた学校に行けて尚且つ働いてるからバイト代が貰えて喜ぶ、winwinの関係ね」
「なんか出来すぎてる気がしますが志望校に行けるのは喜ばしい事ですね」

笑顔でこたえると七瀬さんはいきなり遠い目をしました、長い髪の毛をゆらゆら揺らしながら斜め上を見上げます。

「そう、喜ばしい事なの、でもねけいは私に対して冷たいの」
「……え?」

七瀬さんに対しては冷たい、どっどう言う事でしょうか? イタズラ好きな所とスキンシップが多いのがたまに傷ですけど、七瀬さんは良い人です、そんな人に冷たくするなんて……どうしてでしょう?

けいはね、とっても可愛いの」
「そっそうですか」

うっなんかほっぺに触れてきましたね、そんなにむにむに触らないで欲しいです。

「とってもマジメで喋り方が素敵、例えるならばツンデレ」
「つっツンデレですか」

かっ勘違いしないでよね? 別にあんたの為なんかじゃないんだからねっ! って奴ですね?

「可愛い物が好きで辛い食べ物を好むわ」
「え、辛い物……ですか」

私は苦手ですね……だって舌がヒリヒリするじゃないですか。
って……あれ? この話を聞いてるとけいさんが七瀬さんに対して冷たくする理由は分かりませんね。

「趣味はショッピング、よく1人で縫いぐるみのお店に行く、決まってお昼は激辛の食べ物のお店に行って他のお客の度肝を抜いてほくほくした顔で店を出ていくの」
「うっうん」

あれ? なんか、聞いてたら違和感が出てきましたね、なんか身の毛がよだつ様な感覚をえちゃいました。

「お店では本当にテキパキ働いてくれるわ、要領が良い娘よ、でも接客が苦手みたい」
「そっそうなんですか」

七瀬さんの表情が蕩けています、可笑しい……何か分かりませんが冷や汗が出てきました。

「お風呂の時、恵が一番最初に洗う所は右腕、次に左腕、そしておっぱ」
「なっ七瀬さん!? そっその、あっあの!」

慌てて言葉を遮りました、こっこんな公共の場所でなんて事言ってるんですか!

「まだ話してる最中なのだけど?」

うっ、もの凄く不機嫌な顔をされちゃいました、でも止めなきゃいけません、あのまま続けていたら色々ヤバい気がしたんです。

「すっすみません、えとっ七瀬さんは良く恵さんの事を見てるなぁと思いまして、えへへへ」

愛想笑い、それをした後コップに入った水をごくりと飲む私、じぃっと七瀬さんが私を見てきます、因みにまだ私のほっぺに触れています、いい加減離して下さい。

「えぇ1秒足りとも恵の一挙手一行動を見逃さない様見ているわ、だってあの体格があれば誰しもみいってしまう」

あっやっと離してくれました、って七瀬さん席から立ち上がりましたね、そんな事したから皆に注目を浴びちゃってます。

「高2にして素晴らしい巨乳を持つ女性なのだから」

うっとりした表情の七瀬さん、それを苦笑しながら見上げる私の表情が一瞬にして凍りつきました。
巨乳、きょにゅう、キョニュウ、脳内に何度も何度も響くその言葉、ひたいに青筋が出てきました。

「恵は素晴らしいくてとても可愛がりがある女性、私はそれに魅了されたの、だからこそ仲良くなりたい、だからこそ何度もアプローチした、だけどその全てがスルーされた」

今私の耳に七瀬さんの声は届いていません、今の私は憎悪、怒り、嫉妬に溢れていやがりました。
巨乳、ふふっ、ふふふ……そうですか、巨乳ですか、ふっふふっふふふふふ。

「でも私はめげない、何度だってアプローチする、勿論胡桃にもこれ以上に仲良くなれるようアタックしていくつもりよ」

にこっ……。
優しく微笑み掛けてくる七瀬さんに私は、にたりっと笑って返してあげる、すると七瀬さんはブルッと身震いしました。

「胡桃、恵は巨乳で素敵だけど、貧乳……いえ、無乳には無乳の良さが」

ガタッ!
音を立てて立ち上がる私は七瀬さんに歩み寄りました、そのまま顔を耳元まで近付けこう囁いてあげます。

「七瀬さん、取り合えずお店から出て お話しませんか?」
「あっ、はっはい」

そしたらやけに蕩けた声を出して私の言葉に従ってレジの方に向かう七瀬さん、その時私は周りを見てみると皆私を見て震え上がってました、はて? 何ででしょうねぇ?


で、あの後私と七瀬さんはお店を出ました、その後は人通りの無い静かな所で穏やかにお話をしました。
え? どんな内容かですか? それはご想像にお任せしますっ、ふふっふふふふ。

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