魔術的生徒会

夙多史

間章(1)

「くくくくく、できた。つぅーいにできましたよぅ!」
 薄暗く湿った空気が満ちている研究室のような部屋に、男の陰険な笑い声が木霊する。
「魔力が芽生えて半年、よぉーやくこの段階まで上り詰めましたよぅ」
 薄汚れた白衣を纏ったその男は、縁なし眼鏡をクイッと指で持ち上げると、傍に置いてあった片手で持てるほどの壺状の容器を手に取る。男はその中を覗き込むと、口元に嫌らしい笑みを浮かべた。
「でぇーすが、くくく、こぉーんなもので満足する私ではありません」
 壺を持ったまま椅子を引き、彼は物音一つ立てずに腰かける。声とは真逆の静かな動作が、纏っている白衣や薄暗い部屋と相まって幽霊のような存在感を滲み出している。
 壺を置き、両手を乱雑に資料が散らばっている机の上で組むと、男は眼鏡の奥の目を細めた。
「さぁて、次はどぉーしましょうか? 一度失敗したこともありますが、今の私の魔力なら素材をかぁーなりレベルアップしても問題なぁーいでしょう。くくく、だから、そろそろ夢の挑戦を始めましょうかねぇ」
 彼は散らばっている資料の中から数枚の紙を抜き取る。それには奇妙な紋様や文字などが書かれており、何かの設計図のようにも見えた。
「……幸い、この辺りは魔脈のおかげで良質な材料が豊富ですからねぇ。まったく、奴らを見返すには最高な環境ですよ。この学園は」
 眼鏡のブリッジを押さえ、白衣の男はくつくつと嗤った。

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